株式会社ティーエルエス・株式会社ステイジ
/ 代表取締役 社長 髙田和弘 氏
髙田紙器株式会社
/ 代表取締役 副社長 髙田和弘 氏
髙田和弘氏は、髙田紙器株式会社で副社長を務め、そのグループ企業である株式会社ステイジ、株式会社ティーエルエスで社長を務める経営者である。髙田紙器の主事業は化粧箱や紙箱、紙製の店舗什器などの製造、ステイジはデザイン性の高いパッケージの企画・製造・販売、ティーエルエスは主に人材派遣と業務請負(オペレーション事業)、ワークサポート事業を行う。

いいチームをつくる、たった一つのシンプルな哲学
それぞれに事業領域がある3社だが、経営者として各社へのアプローチの仕方はどれも同じだ。髙田社長は「会社はいかに、いいチームを作れるか」が大事だという。
いいチームを作るためにやることは、実はあまり変わらないように思うんですよ。正直、ステイジのメンバー、ティーエルエスのメンバーの仕事の能力値は、私より圧倒的に彼らの方が優位性があって優秀です。私がやるべきことは、彼らがいいチームになって、最終的にお客様の求めているものに対して答えを、成果を出す。それを、どう導くかだけですから。スポーツにたとえても、同じだと思うんですね。サッカーも野球も、選手の方が監督より技術的には絶対に上手じゃないですか。監督はそんな選手たちをまとめて、どうチームを勝たせるか。外部からご覧になられると違うように見えるかもしれませんが、私にとってはどれも同じなんです
従業員に求めるものの根本も、すべて同じ。それは彼ら、彼女たちに、1日でも長く働いてほしいと願うことだ。
私は本当に、そう思っています。ものすごく底辺のことを言っているのかもしれませんが、会社に居続けてほしいという思いがすごくあるんです。そうしてもらうためには、会社側が従業員の役に立つように働きかけないといけないし、従業員も会社とお客さん、地域の役に立たないといけない。また私には、1日でも長く会社を存在させたいという思いがあります。そのためには、従業員にいてもらわないといけません。雇用関係というのは法律云々ではなくて、人間同士なんですよ。人間の感情はその時々で揺れ動く、グラデーションのような面があると思います。それに対応して、『この会社で頑張りたい』と思ってもらえる環境を、私がどれだけ作り続けられるか。それを、大事にしています

困難な案件こそ期待の表れ
仲間とともに、求めに愚直に応え続けること
3社の最前線に立つ髙田社長に、自身の経営哲学を訊いてみた。「正直、哲学を語れるほど深くはないのですが」と謙遜しながら、言葉を紡いでくれた。そのキーワードのひとつは“仲間”だ。
私は周りに人がいないと、仕事ができないんです。一人で部屋にこもって、何かを研究するタイプではありません。ありがたいことに、常に周りに仲間がいるから頑張れている。仲間とは従業員をはじめ、同じ目標に向かって進んでいるメンバーを私はそう定義しています。ですから会社の方々は、自分の仲間なんです
顧客から受けた依頼には、仲間とともに全力で対応する。期待には常に、必ず応える心構えでいる。

弊社にご依頼していただけるのは、期待を込めてのものだと思うんです。それにお応えする要になるのは、期待値を裏切らない行動をしていくこと。私はそれが、人様の役に立つことだと思っています。お客さんからの問い合わせは、すなわち試され事なんです。『ティーエルエスさん、ステイジさん、髙田さんならできるのとちゃう?』と思ってくれていることしか、お客さんからは言われないと思っています
その言葉に続けて、もうひとつのキーワードが姿を現した。それは、求めには愚直に答え続けること。
今の私に、ジャンボジェットを操縦してくださいという依頼は来ないはずです。できると思われていないし、現にできない。ただ、ジャンボジェットに乗るお客さんに提供する、特別なお菓子の箱を作ってという依頼は来る可能性がある。それは、できるんです。お客さんは私や弊社を見て、まったくできない案件は絶対に依頼されないんですよ。できそうだと思うことしか、言われません。それに対してできることを愚直にやり続けていくことが、自分のなかの哲学といえば哲学かもしれませんね
子どもの未来を育む事業
本来の事業領域と離れた保育園、療育園を開園させるに至る思い
ティーエルエスは2019年1月に、新たな事業を立ち上げた。それは、人材派遣や業務請負を主体としていた同社のこれまでの事業領域とは異なるワークサポート事業(保育事業)である。その開始に至った経緯を、こう話す。

物流センターで働く女性は我々にとって、とても貴重な戦力です。ですが出産に伴って、離職せざるを得ないケースが多々ありました。彼女たちからも『職場に託児所が作れませんか。あったら、ここで働き続けます』という声が以前からあったんです。当時は実現性が低かったので、私も『あったら、いいね』などと軽い受け流しにとどまらざるを得なかったのですが、そのことはずっと頭の片隅に残っていました。その後に待機児童が全国的に問題になり、弊社のような一般企業でも保育園を作っていいという企業主導型保育園制度ができました。まさか我々が保育園を運営できるとは思っていなかったのですが、チャンスがあるなら私の目が届く範囲、この八尾でやろうとゴーサインを出したんです。それが、始まりですね
2024年には新たに二つ目の保育園を開園し、今秋には療育園(※1)も開設する。幼児に療育が必要かの判断を下すのは非常に難しいことだが、保育園の運営経験からそれは必要なことだと実感した。保育園で得た知己と経験を、そこに投入して運営にあたる。

※1 保育園と療育園は、どちらも子どもの成長をサポートする施設ですが、目的や対象、支援内容が異なります。保育園は、保護者が仕事などで日中不在の際に子どもを預かる施設で、0歳から小学校就学前までの乳幼児を対象としています。一方、療育園は、発達に遅れや偏りがある子どもを対象に、専門的な療育や支援を提供する施設です。
今は二つの保育園で0~2歳のお子さんを、合計して30数名お預かりさせていただいています。そのなかで療育が必要だと思われるお子さんも実際におられまして、世の中にはそのための施設が必要だと感じています。療育に関しては、ナーバスな面があります。当園の保育士も保育の専門的な知識はありますが、療育のそれとはまた違うんです。専門的な知識のない者が、保護者さんに正しくお伝えするのは非常に難しい。そこで保育園の運営をしている我々が療育の施設も運営し、療育に関して専門性のある先生に来ていただくことで保護者さんにご安心いただき、場合によっては弊社が関連している・いないに関わらず、そのお子さんに適した施設をご紹介できる。そうすることが、ご利用いただく方にとって親切だと感じまして開園を判断しました
3社の経営ばかりか保育園、療育園の運営も指揮する。そんな髙田社長の名刺に記されている自身のこだわりは、“一心”。

仏教用語の一心ですね。そこに込めた意味合いとしましては、『心ひとつに』ということです。お客様ともそうですし、従業員ともそう。心ひとつの思いで、すべてのことをやっていきたいと思っています
座右の銘とも捉えられるこの言葉を背負って、髙田社長はこれからも前進する。
