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和裁士からITコンサルへ!「わかりやすい言葉」で中小企業のデジタル課題を解決
大阪市中央区情報・教育・サービス新着女性社長

和裁士からITコンサルへ!「わかりやすい言葉」で中小企業のデジタル課題を解決

2025.09.10
グロスト舎





グロスト舎  / 代表 粕谷 香澄 氏



中小企業向けのIT導入、DX支援を手掛けるグロスト舎。代表の粕谷香澄氏は、和裁士としてキャリアをスタートした異色の経歴を持つ。「ITの専門教育を受けていないからこそ、専門用語を使わずわかりやすく説明することができます」と話す。
限られた資金と人材でIT化に挑む中小企業。それぞれの企業が抱える課題に寄り添い、伴走する粕谷氏に、これまでの歩みや事業にかける思い、今後のビジョンについて伺った。

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祖母に導かれた和裁の道



粕谷氏の出身地は兵庫県丹波市。子どもの頃から祖母とリカちゃん人形の服を作ったり、料理をしたりと、家で過ごすことが多かったという。
地元の小・中学校、高校を卒業後、奈良の和裁専門学校に入学。「手に職をつけたら一生食べていける」。祖母からのアドバイスだった。 和裁技術を4年間かけて徹底的に叩き込まれた粕谷氏は、卒業後、和裁士としてキャリアをスタートさせた。しかし、結婚・妊娠というライフステージの変化で、このまま和裁士の仕事を続けるべきか迷いが生じる。

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着物という高額な商品を扱う以上、ミスは許されません。そのプレッシャーと、絹針が部屋に落ちる危険性を考えると、育児との両立は難しいと考えました

和裁士を引退した粕谷氏。子育てに専念していた時期、目に留まったのがApple社が販売したカラフルなiMacだった。

ママ友が持っていたiMacがかわいくて。私もオレンジ色のiMacを買いました。パソコンは未経験でしたが、友だちに教えてもらい、使えるようになりました。これが私のIT人生のスタートでしたね


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ハンドメイド作家の仲間とビジネスをスタート



最初はキーボード入力のゲームから始め、やがてウェブ制作などを手掛けるようになる。スキルを活かし、求人広告制作会社でのパート勤務もスタート。就職後、IllustratorなどDTPツールのスキルも身につけた。しかし、その会社は入社後半年で倒産してしまう。

当時はハンドメイドブームの真っ最中。自身の作品をECサイトで販売する傍ら、フリーランスとして仲間のウェブサイト制作や名刺デザインも手掛けるようになったんです

この頃、忘れられない思い出がある。ハンドメイド作家の仲間と婦人服のオリジナル型紙と布をセットにしたソーイングキットを開発し、ECサイトで販売すると、爆発的に売れたのだ。

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そこで、その事業に振り切って注力すればよかったのですが、その勇気がなくて。尻込みしてしまったのは、今でももったいなかったと思います

ハンドメイドの通販事業はその後フェードアウト。その頃、日本のIT業界には大きな波が押し寄せていた。

“場づくり”から生まれたスマホ教室という新事業



大きな波、それはスマートフォンの登場である。 粕谷氏はiPhoneの存在を知った時、「体中に電気が走った」と振り返る。「手のひらにパソコンがきたら、世界が変わる」と直感し、いてもたってもいられず購入した。
周囲にその利便性と可能性を説いて回った粕谷氏。しかし当時はスマホ教室などもなく、操作に困る人が多かった。教えてほしいという声を受けてスマホ教室を開始する。中でも印象深いのが、高齢者向けのITサポートだったと明かす。

ロータリークラブ(※1)のメンバー向けにスマホ教室を開きました。平均年齢は75歳。LINEの使い方や写真の送り方など、生活に直結する内容をわかりやすく伝えるレッスンです


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※1  ロータリークラブとは、世界中の様々な職業のリーダーたちが集まり、地域社会と世界に奉仕する活動を行う、国際的な奉仕団体です。会員同士の親睦を深めるとともに、職業における高潔な道徳基準を奨励し、貧困、識字率向上、環境保護などの世界的な課題解決に取り組むことを目的としています。
 
何度も同じことを教える根気、IT初心者に対して専門用語を使わず丁寧に伝える手法は高く評価された。講座は単なる「操作の習得」にとどまらず、定期的に人が集まり、社会との接点を保つ“場”としても機能していた。
また、Zoomをはじめとするオンラインツールにも早期から着目。コロナ禍でオンライン化が加速した際には、すでに環境が整っており、講師としての依頼が相次いだ。中小企業経営者とのネットワークもここから広がり、IT講師としての地位を確立していく。

「誰でも変われる」ことを証明する未来へ



その頃、粕谷氏にとって大きな転機が訪れる。異業種交流会「倫理法人会(※2)」で女性委員長に抜擢されたのだ。

※2 倫理法人会は、経営者が自己変革を通じて企業の健全な繁栄と地域社会の発展を目指す社会教育団体です。純粋倫理を基盤とし、朝礼などを通じた倫理経営の学びと実践を行うことで、経営者自身の「心の経営」を深め、社員や社風の改善、そしてより良い世界の実現に貢献することを目的としています。

大阪だけでも4000社が参加する会です。その中の女性リーダーなので、ほかの女性に憧れられるような存在にならないと、と言われたんです。そのためには見た目も大事だと考えました。パーソナルコーディネーターを依頼して、自分自身をリブランディングしました


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今後の事業でどんなターゲットにサービスを提供したいか、どういう自分になりたいかといったコンセプトを練り、洋服や化粧、持ち物まで「こうありたい自分」になるよう再構築したという。 内面・外見の変化は粕谷氏を次のステージに押し上げた。企業や業界団体を対象としたIT・AI・DX支援事業を本格化。中小企業団体中央会などと連携し、現場のIT導入、業務の効率化、AI研修などを手がけるようになる。

中小企業のほとんどは、ITやAI、DXの各システムの連携がうまくいっていません。そんな社内課題の点と点をつなぎ、業務効率化につながる線にしていくことが私の使命です

と力を込める。 現在は法人化を視野に入れ、社員採用や事業拡大にも着手する。「これまで、事業の飛躍のチャンスは何度か巡ってきたにもかかわらず、怖気づいてものにできなかった」と後悔を口にする粕谷氏。「今の流れは最後のチャンスだと思っています。この機会を掴み取りたい」と目を輝かせる。 近年は、自身が片耳難聴(※3)であることを公表し、講演会などで伝えるなど積極的な発信も始めた。聞こえにくさという見えない障がいに対する社会の理解を広めることも、今後のミッションのひとつとして掲げている。

※3 片耳難聴(医学的には「一側性難聴」)は、片方の耳の聴力が正常な一方で、もう片方の耳が聞こえにくい、またはほとんど聞こえない状態を指します。両耳が聞こえることを前提とした社会では、片耳難聴の人が抱える困難はあまり知られていません。主な症状として、方向感覚の喪失や、騒がしい場所での聞き取りにくさ、聞こえにくい側からの呼びかけに気づきにくいこと、そして疲れやすさなどがあります。

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「人はいつでも変われる」ーその信念を体現し、自らの変化を武器に、人と企業の変革を支援していく。粕谷氏の挑戦は、今もなお現在進行形である。

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