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「塗装って、気持ちがいい!」 国内有数の技術力を誇る塗装会社の挑戦精神
大阪市生野区製造・メーカー新着

「塗装って、気持ちがいい!」 国内有数の技術力を誇る塗装会社の挑戦精神

2025.12.22
株式会社日研工業所

株式会社日研工業所 / 真田直彦 氏



塗装業と聞くと、どのような仕事姿を想像されるだろうか。住宅の外壁を塗っている様子をイメージされる方も、少なくないだろう。もちろん、それも間違いではない。だが株式会社日研工業所が行う仕事は、そんな一般的な塗装業とは一線を画す。
同業他社にはない自社の強み、次世代への想いなどを代表取締役社長 真田直彦氏が語る。

「塗装って、気持ちがいい!」 国内有数の技術力を誇る塗装会社の挑戦精神


一般的な塗装は、塗料メーカーが作られている市販の材料をもとに行っていくんです。弊社もお客さまからご指定があった場合は、市販の塗料を使用します。とはいっても、それは2割ほどですね。全体の8割は、自社で作ったオリジナルの塗料で塗装をさせていただいています。こちらから提案させていただくものに使うのは、すべて自社製品。自社製の塗料を使うのは、同業では少ないんじゃないでしょうか。


社の創業は1950(昭和25)年。真田氏の祖父が、大阪市生野区で興した。その当時から、塗料を自社で開発していたという。

その当時の日本製の塗料は安いけれど、海外製に比べて性能がとても低かったそうなんです。とくに小物に関しては塗装しても色が載り辛かったので、創業者がいろいろと工夫して開発していった。今の国産塗料は自動車にも使われていて、耐久性もすごく良くなっていますが、当時は白色だとすぐにくすんでしまったりと結構、問題があったんです。そこで創業者は、耐久する材料を練り込んた塗料を開発して他社と差をつけていった。発注元の企業(プレス・鋳物メーカーなど)の方でもいろいろと試験をされるのですが、弊社の表面処理塗装が群を抜いて良いと評価をいただき、どんどん採用してもらったと、そう伝え聞いています。


今では塗装業としては国内屈指の技術と実績を持つ会社になった。現在の取引先は1000社にも及ぶ。取り扱うのはアパレルで使われるボタンなど指先サイズの小物から、建物の内装に用いられる2mサイズまで、実に多岐にわたる。そんな日研工業所が第一にこだわるのは、製品のクオリティ。
お客様から値下げの要請も、もちろんあります。それにお応えするために単純に品質を下げるのではなく、たとえば一度に塗れる数をいかに増やすかなど工夫をします。それでも無理だったら、材料のスペックを少し落としてお客様のほうでテストしていただく。そこでOKをいただければ、製造コストを下げることができます。弊社からは最初に安価なものと、最高級のものの二つを提案します。そこからお客様としっかり膝を突き合わせて、どういった内容で、どれくらいのコストをかけられるのかを話し合いながら、すべてを決めていきます。


「安くしようと思えば、いくらでもできます」と真田社長。ただしその見返りとして、耐久性や品質が低下する。日研工業所は自社のプライドにかけて、決してそれを善しとはしない。

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新たな塗装の研究開発に邁進し、顧客の要望に全力で応えるのが社の姿勢


また機能性を持たせた塗装が行えるのも、日研工業所の特徴のひとつ。
これは先代である父親の時代の話ですが、ノートパソコンの塗装を請け負いました。当時のパソコンは使用しているとすごく熱を持つんです。白人の方がヒザの上に置いて使用していると、低温やけどすることが少なくなかった。それを改善しようと、国内大手メーカーが弊社に相談に来られたんです。それを受けて父親はいろいろと考えて、断熱塗料を開発しました。その後アメリカの警察で使うパソコンにも採用されて、長く使用されたそうです。


こういった開発精神は今にも受け継がれている。研究開発のはじめは、顧客からの要望。それに応えるべく、全力で取り組むのが社の姿勢だ。そうやって顧客の要望に応えることで知見を広げ、技術力を高めてきた。

研究開発はやみくもに作ってもしょうがないので、リサーチをしたり、お客様からご相談をいただいてスタートします。弊社に来られるお客様の多くは、塗料メーカーに相談に行ったけどできないと断られ、「大阪の生野区にある日研工業所さんに行ったら、なにかしらやってくれるんじゃないか」と言われたとおっしゃいます。なので、他社からの紹介で来ていただけるケースが多いですね。その都度お題(課題)をいただいて、お答えできるサンプルを提出。そこからやりとりを繰り返して、研究開発の段階に入ってきます。


そうして真田直彦氏の代でも、新たな製品を開発した。
私の代では、エックス線を遮蔽する塗料を開発しました。医療用の眼鏡に用いられるもので、エックス線を遮るレンズはあったのですが、正面以外は対応できない。上や下からも飛んでくるエックス線を、従来のフレームでは止められません。フレームを鉛製にするのもひとつの手段ですが、それでは重くなり過ぎる。「これもエックス線を遮蔽する塗装ができませんか」と、ご相談をいただいたことがきっかけでした。そこから開発に着手し、約1年をかけてエックス線を遮蔽する塗料を完成させました。


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働く父親の背中に憧れて、幼いころから事業継承を思い描く


真田社長は幼いころから色の配合に興味を持ち、父親の事業を継承することも気持ちのなかにあったという。
僕は絵が好きというより、絵の具がすごく好きだったんですよ。会社には母親も働いていたので、学校から帰ると家の鍵を会社に取り行くんです。そこでいつも、塗装している父親の背中を見ていました。今でもその作業現場はあって、職人3人が並んで塗れるんです。父親はいつもその真ん中にいて、幼心にカッコいいなと思っていましたね。


大学卒業後は大阪梅田にある大型家電量販店に勤め、携帯電話の販売に従事する。それも実は、事業継承を考えてのことだった。
僕は人と話すのが、すごく苦手だったんです。だけど父親の会社を継ぐなら、絶対に人と話ができないとアカン。そう思ったので、家電量販店に就職しました。そのうちに仕事が面白くなってきたのですが、そのころに母親と常務から「いつ戻ってくるんや」と言われたんです。そのときは弟も含め、同世代の5人ほどが先に入社していました。そこに長男である僕が戻れば、必ず揉める。それを母親に打ち明けると「揉めてもみんなで手を取りあって、頑張ってやっていけば大丈夫」と言われたので、日研工業所に入社することにしました。
後で聞けば父親は戻ってきてもらいたかったそうですが、入社することを伝えたときは目を合わせず「まあ、頑張れよ」と言って部屋に戻っていった。その背中は、今でも覚えていますね。


家業に入って、想像していたとおりに人間関係には苦労した。時間はかかったが社内の売り上げ新記録を達成するなど実績を重ねるうちに、風向きは変わってきた。
そして2018(平成30)年に3代目社長に就任。2代目である父親が、病に倒れたことがきっかけだった。
僕が社長になる1年ほど前に、父親が会社で倒れたんです。脳出血でした。一命をとりとめて今も元気にしているのですが、リハビリを始めたころに「こうなった以上、仕方がない。あとは、よろしく頼む」そのひと言だけでしたね。
僕はこの会社に入らせてもらったときから後継者を目指していたので、気持ちはすぐに切り替えることができました。ただ実際に社長になってみて、すごく大変やなと思いましたね。



経営と現場の仕事が、まったく違うことを身をもって知った。設備投資にしても現場の社員だったころは「思い切ってやるべきだ」との考えだったが、経営者の立場で先を見据えるとそう簡単には決断できない。経営者は目先ではなく、10年や20年先を見て行動しないといけない。経営者としての経験を重ねてきた真田社長が見据える、社の未来とは?

僕は社長になったときに自分が50~55歳の段階で、次の世代をどの人にするを決めておきたいと思いました。今も現場を見ながら、後継者として誰がふさわしいのかをつねに見ています。僕には息子がいますが、必ずしも同族継承でないといけない考えはありません。むしろ一度は、同族ではない人に任せてみたい気持ちは強くありますね。


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次代に受け継ぐべきは、挑戦する精神


次世代に受け継いでもらいたいのは、挑戦する精神。創業者が自らオリジナルの塗料を開発したように、日研工業所には何事にも挑戦する精神が宿されている。
やはり、その精神は重要ですね。僕も今の段階で、まだ開発できていないものがあります。でもこれは失敗しているのではなく、今はまだ成功できていないだけ。いつか必ず、成功すると思っています。新しい方法を発見して、来年か再来年にはできるかもしれない。あるいは今できなくても、次の時代にできるかもしれない。とにかく、あきらめないことなんです。そういう気持ちを持っている人に、バトンタッチしたいと思っています。


経営者となった今も、塗装の仕事には人一倍の愛着がある。
キレイかつ均一に仕上げることは、今も僕を含めて現場のスタッフも強く意識していることです。いつもお客様に「日研さんの塗装は、すごくキレイです」と言っていただけのはとてもうれしいですし、大きなやりがいでもあります。鉄製品の場合、鉄の素地から塗っていくと、色がキレイに出てくる様がわかるんですよ。もともとの素材は、なんの温かみもない鉄の塊。それをキレイに塗り上げていくと、温かみを持つようになる。その様子には感動を覚えますし、もっともっと追求していきたくなるんです。塗装って本当に、すごく気持ちがいいんですよ。


塗装を愛し、塗装に愛される3代目社長が、自分の代で日研工業所をどんな色に塗り上げていくのか注目したい。

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株式会社日研工業所
本社:大阪市生野区中川東2丁目3ー20
オフィシャルサイト:https://www.nikkenkogyosho.com/