株式会社 友安製作所 / 代表取締役社長 友安啓則氏
大阪府八尾市に本社をおく『友安製作所』は、インテリアやエクステリア、DIY商品の製造・卸売・輸入・販売などを行っている。新型コロナウィルスの影響でリモートワークや時差出勤、外出自粛など自宅で過ごす時間が増えるのと比例するように、“おうち時間”をより快適にしようとインテリアに興味を持つ人も増加。同社の商品需要も益々高まっている。「全世界の人々の生活の一部に自社製品を」を企業理念に掲げる三代目・友安啓則社長。インテリアの裾野を広げる新事業を着々と展開させる同社長にお話を伺った。

父が守ってきた家業が危機に。
米国帰りの三代目が奮闘
『友安製作所』は1963年1月に現社長の祖父・正美氏が木ねじやヒートンの製造会社として設立。父・宏明氏(現会長)が1989年に二代目社長となり、線材加工品の製作を行っていた。
啓則氏(現社長)は高校1年の2学期からアメリカ・シアトルへ留学。高校・大学・大学院と進み、MBAを取得。現地の商社に就職し、充実した日々を送っていた。そんな啓則氏が商社を退職して友安製作所に入社したのは2004年2月のこと。父宏明氏が体調を崩したことが帰国を決断させた。
「子どもの頃の私にとって、工場で働く父はたくましい理想の男でした。そんな父が守ってきた家業を終わらせたくないと思ったんです。ただし、父は大反対でした。『せっかくMBAまで取ったのに』という想いがあったのではないでしょうか」。
MBA: 経営学修士(けいえいがくしゅうし、Master of Business Administration、MBA)は、経営学を修めたものに対して授与されることのある学位。英米圏においては実務経験(AMBAは3年と規定)を有する社会人を対象としたマネジメントプログラムを提供するビジネススクール(経営大学院)、日本においては大学院(修士課程または専門職学位課程)が、これを授与する。
啓則氏が入社した当時はバブル崩壊からの不景気で、全盛期40名いた社員は啓則氏を入れて6名、平均年齢50歳以上という厳しい状態。しかも入社の条件として父宏明さんが出した条件は、「既存の仕事をせずに、半年間で月15万円の自分の給料を稼ぎ出せ」というものだった。
一人で3商品から始めたブランドが
スタッフ90人超と1万アイテムへ
「自分に何ができるだろうと考えて、興味のあったインテリアを一生の生業にしていこうと思いました」。
目標が定まると動きは速かった。マーケティングをしてみると驚くことばかり。まず、値段が高い。業界では有名でも一般には知られていないブランドが売り場を占領している。中間業者が多いことも、価格を上げている要因であることが分かった。


「良い商品を作る、もしくは作っているメーカーから買い付けて直接販売すれば、より良い物を安く提供できるはず」と考えた啓則氏は、即実行。「Colors」というブランド名で、オリジナルカーテンレール3種類の販売を開始しました。
新商品は、誰かの『困った』から生まれるものなので、作り出すのは非常に難しい。そこで弊社では『今あるものをどう格好良く、簡単にするか』をコンセプトに商品開発をしています」。
啓則氏がたった一人で始めたカラーズブランド。カーテンレール3種類が、今やタイル・壁紙・エクステリア商材など10,000点以上に。さらにスタッフも大阪・東京を合わせて90名以上に。入社の際に厳しい条件を出した父から、時々助言はあったものの基本的には「知らんぷりをしてました(笑)。でも、経験豊かな父がそばにいてくれるだけで正直心強かったですね」。
インテリアとDIYに興味が湧く
複合体カフェを開業
2004年のインテリア部門に続き、2009年にはエクステリア部門を立ち上げる。順調に業績を上げていく啓則氏だったが、次の一手を打って出る。インテリアとDIYとカフェが合体した「友安製作所Café」の開業だ。

友安製作所Café&Bar阿倍野

友安製作所Café 浅草橋
「商材の売り上げは、インターネット販売が約7割を占めるんです。インターネットは便利ですが、インテリアに興味がない人は利用しません。カフェなら老若男女、誰でも入ることができますから」。
2015年に「友安製作所Café 浅草橋」が、2017年には「友安製作所Café&Bar阿倍野」がオープン。インテリア雑貨やDIYアイテムに囲まれたお洒落な空間でいただけるのは、こだわりのフードやドリンク。内装には様々な販売商品が使用されているので自宅のコーディネートの参考にすることができるし、気に入れば併設されているショップで購入もできる。さらにDIYスペースが併設されていて、壁紙の貼り方やペンキの塗り方といった初心者でも簡単に楽しめるワークショップも開催しているという。ここではゆったりお茶を飲みながら手軽にインテリアやDIYに触れる機会が得られるので、新たな購買者層を発掘・育成できるというわけだ。まさに一石二鳥どころではない画期的なプロジェクトといえるだろう。
事業体が密接にリンクして
「友安経済圏」を形成
「友安製作所」の快進撃は止まらない。インテリア事業・カフェ事業のほか、工務店事業(友安製作所工務店)・レンタルスペース事業(カシカシ)・メディア事業(トモヤスタイムズ)…と、様々な事業展開を行っている。

「それぞれの事業、一見ばらばらのようで、これらは全て密接にリンクしているんですよ」
例えば、カフェやレンタルスペースでお洒落な空間や家具に触れた人がインテリアや空間づくりに興味を持ち、工務店事業を利用した人がレンタルスペースに興味を持ち…といった具合。
「友安製作所というブランドがあり、インテリア事業を幹にしてあらゆる事業があらゆる場面で結びつく。私たちはこれを『友安経済圏』と呼び、相互成長していければと考えています」。
豆腐の意志で新事業を次々と。
次の一手はホームパーティー
現在、啓則氏が力を入れているのが2019年6月に立ち上げた「ホームパーティー推進委員会」だ。日本でも少しずつ定着しつつあるホームパーティーを日本の文化にまで普及させようと発足したもの。

「これだけ競合他社があればマーケットがシュリンクするのはどうしようもない。それなら自分たちで需要を作ろうと考えました。約10年間アメリカで暮らした経験から、ホームパーティーの楽しさをもっと知ってもらいたいと思ったんです。自宅にお客さんが来るとなれば、きれいにしますよね。インテリアへの関心も需要も高まるのではないかと」。
同委員会では趣旨に賛同する企業・団体・個人を募集。そもそもホームパーティーとは?といった基本からその極意まで、様々な分野のプロフェッショナルと共にコンテンツと情報発信のほか、今後はイベントも開催していく予定だ。
「私は豆腐のような軟らかい意志の持ち主なので、周囲に言って回ることで自分を追い込んでいます」。
話を聞けば聞くほど、人間力を感じさせてくれる啓則氏を中心に、人財の輪が広がっていくのが見えてきます。
