Vision Match Osaka
世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』
大阪市浪速区小売・流通新着

世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』

2025.11.18
タビオ株式会社

タビオ株式会社 / 代表取締役社長 越智勝寛 氏


大阪市に本社を構え、靴下を主役にした専門ブランドとして国内外に約270店舗を展開するタビオ株式会社。
二代目社長 越智勝寛氏は、現場の声を経営に生かしながら、変わらない品質を守り続けてきた。
その根底にあるのは、規模ではなく品質で世界一を目指すというビジョンだ。
変わらぬこだわりと進化を重ねた歩みを、越智氏に語ってもらった。

世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』


靴下を主役に据えた品質と専門性。「靴下屋」「Tabio」の現在地


靴下ごときに、命をかけています。

そう語る越智勝寛氏。服売り場の一角で扱われることが多い靴下だが、これを主役に据えて専門店を展開する企業は珍しい。

「靴下屋」「Tabio」
など複数のブランドを展開し、日本全国の主要駅ビルや商業施設を中心に約230店舗、海外でも約40店舗を展開。靴下に特化する専門性を武器に国内外で支持される靴下ブランドへと成長してきた。

世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』


世界進出の皮切りとなったのは2002年のロンドン出店です。
最初は本当に手探りで、西洋のファッション市場に通用するのかも分からなかった。でも現地で試行錯誤を重ねるうちに「Made in Japan の靴下でも勝負できる」と評価してもらえて、それが大きな自信につながりました。


人気の理由は時代やトレンドに左右されない品質の高さにある。
タビオの靴下は「商品の信頼性」「履き心地の良さ」で知られ、長年愛用するリピーターも多いという。

履き心地の良さを支えるのが、社内でも重要視されている「ダブルシリンダー」と呼ばれる編機を使った製法。上針と下針でゆっくりと編み立て、伸縮性に富み、ふっくらとした風合いを生み出す。この編機は操作に熟練を要するために、その能力を引き出せる企業は限られている。

弊社のものづくりは、弊社がオリジナルの特別なものだと思われることもあるのですが、そういうわけではありません。かつての日本の工場で当たり前に行われてきたものづくりを、今も続けているだけなのです。


タビオでは、この技術を生かすために長年のパートナーである国内の提携工場と連携し、厳しい品質基準のもとで製品を仕上げる。価格設定においても、まずは工場が適正な利益を得られることを前提にし現場のものづくりが持続できる環境を大切にしている。

弊社ではJIS規格(日本産業規格)よりも厳しい社内基準を設けています。熱湯に浸けて縮みや色落ち、型崩れがないか確認する耐久試験や、抜き打ちの品質検査を繰り返して、全部クリアしたものだけを店頭に並べています。


商品の多様性も、タビオの魅力の一つだ。地域限定の「ご当地ソックス」や、企業・キャラクターとのコラボレーションなど、バリエーションに富んだ商品開発がファンの心をつかむ。

さらに、かつては赤字だったというEC事業も、コロナ禍を機に越智氏が本腰を入れて立て直し、現在は黒字化を果たしている。

最近注力しているのは、Webでバズ(急速に拡散)った商品をいかに早く店頭で展開するか。今もさまざまな改革を進めている途中です。


世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』

現場を信じ、発想で挑む二代目社長の経営哲学


タビオ株式会社を率いる越智氏は、自身の経験から「現場の感覚」を重視する姿勢を大切にしている。

大学でデザインを学び、飲食店などでのアルバイトに明け暮れる日々。卒業後はいずれ家業に戻ることを視野に入れつつ、株式会社ハウス オブ ローゼ(※1)に入社した越智氏。約3年間にわたり、化粧品の販売や店舗運営の実務経験を積んだ。
当時、現場の肌感覚で仕入れや売場づくりを工夫したところ、目に見える成果が出たことがあったという。一方で、組織としての方針と食い違い、思うように評価されないことも経験した。

すごくもどかしかったですね。現場の声を生かさないと、せっかくのチャンスも活かせない。あの時の経験が、今の僕の考え方の土台になっています。

(※1)株式会社ハウス オブ ローゼ:東京都に本社を置く化粧品等の輸入・販売会社。東京証券取引所上場。


1997年に家業であるタビオに入社した越智氏は、その信念と “ 販売員の感覚や声 ”を軸にした店舗運営を徐々に実践へと移していく。

2002年に海外進出としてロンドンへの出店が決まり、最初は店に並べる商品の色や価格を本部で細かく決めていました。でも、全然売れなくて。
そこで現地の販売員に聞くと、「もっとカラフルなものを置いた方がいい。黒やグレーのような地味な色は売れない」「価格が安すぎる。気軽に手に取ってもらいたいかもしれないが、これでは品質を疑われる」という予想外の声が上がったのです。
それならば現場の感覚に任せてみようと方針を変えてみると、ちゃんと売れた。やっぱり現場の人が一番よく見ているんだなと、あの時改めて思いました。


社長就任は2008年。現在では、中国に展開する30以上のフランチャイズ店舗でも、商品構成からSNSでの発信まで現地に任せるスタイルをとっているという。

ビジネスには勝ち負けがあるし、戦略が必要で、スポーツと似ている部分があると感じます。僕が好きでよくやるのがSWOT(スウォット)分析(※2)。自分たちの弱みや外部の脅威を見つけては、どう対応するかを考えるのがおもしろいです。
未来の需要を読むには、SF小説も参考になりますよ。「社会はこう変わっていくのでは?」という仮説を立てると、商品やサービスのヒントが見えてくることもあります。

(※2)SWOT分析:企業や組織が事業戦略を立てる際に、自社の内部環境と外部環境を分析するためのフレームワーク。強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素が軸となる。

現場を信じ、販売員の声に耳を傾けながらも、越智氏は経営者として独自の思考スタイルも磨いてきた。 その柔軟な発想力が、タビオの次なる展開への推進力をもたらしている。
世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』

父とぶつかり合いながらも受け継いだ「ものづくりの哲学」


「靴下は自ら選ぶことのできない苛酷な生涯を送る。この小さな命に温かい愛情と細やかな配慮をするのは、 職業人として当然の心構えである。」(ホームページより)

タビオの成長を語るうえで、創業者 越智直正氏の存在は欠かせない。
中学卒業後に丁稚奉公で靴下問屋に入り、以来、靴下一筋の生涯を送った人物だ。
息子であり、現社長をつとめる越智勝寛氏にとって、直正氏は圧倒的な影響力を持つ存在だった。

会長(直正氏)と社長といっても、実質は“社長と部長”みたいな関係でした。


苦笑まじりに振り返るように、越智氏が社長に就任して以降も、経営判断の多くには創業者 直正氏の意向が色濃く反映されていた。

目指す方向こそ同じだったものの、営業畑で育った二代目勝寛氏は時代に合わせて手法を柔軟に変えたい一方、細部にまでこだわる創業者とのあいだで考えがすれ違うことも少なくなかったという。
会長とは経営判断でよくぶつかりました。そのたび、けっこう厳しい言葉を受けていましたね。株式上場してからはますます社外からの目も厳しくなり、会長も持ち前の明るさをどこか失い、ピリピリした空気をまとっていたように思います。
だから僕は、“怒られる役は自分が引き受けよう”と。前に立って責任を取るのも、二代目の私の役割だと考えました。


そう語る越智勝寛氏は、販売の現場感覚を活かし、ルミネ全店への出店などで成果を上げ、商品としての靴下の価値を高める取り組みに力を注いだ。

一方で、会長とどれだけ意見がぶつかっても、越智氏が決して口にしなかったことがある。それは、会長の「ものづくりに対する姿勢への否定」だ。品質に一切の妥協を許さなかったその精神は、タビオの企業理念<不易流行>(※3)にも息づく。
変えるべきものと、変えてはならないもの。その見極めこそが、世代を超えて受け継がれるタビオの強さとなった。
(※3)不易流行:時代を超えて変わらない本質的なもの(不易)と、時代や状況に応じて変化する要素(流行)の両方を大切にする考え方。

世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』
靴下一筋だった創業者 越智直正氏



会長が亡くなってすぐに、総務部に映像チームを作りました。撮影した様々な場面での映像をデジタル・リマスタリング(最新のデジタル技術を用いて再原盤化)して、社内で共有できるようにしたんです。方言が強すぎて聞き取りにくいところもありますが(笑)。あの独特の語り口や身振りに、観る者はやっぱり伝わるものがあるんですよね。
100年後も300年後も、未来の社員たちが創業者 越智直正の言葉へ直に触れられる環境を残すことには、大きな意味があると思っています。


取材中、越智氏は直正氏のモノマネを交えながらいくつものエピソードを語ってくれた。その表情には、ぶつかり合いながらも、父を深く尊敬し、愛おしむ気持ちがにじんでいた。


「靴下といえばタビオ」を目指して。未来を創る新たな挑戦で靴下の世界基準へ


タビオでは最近、信頼する外部工場との連携に加えて、グループ内にも製造機能を備えた「タビオファクトリー」を立ち上げた。
昔ながらの丁寧なものづくりを土台に、さらに高度な品質管理と技術検証を追求していく。

また、販売員の業務を支援するAI活用型のロボットの導入計画も進行中だ。このロボットは案内機能を備えており、商品説明や接客の補助といった場面でも活躍。現場の負担軽減につながることが期待され、今後の導入を目標に準備が進められている。

こうした取り組みの先にあるのが、タビオが掲げるビジョン「世界一の靴下総合企業の実現」だ。
とはいえ、越智氏が語る“世界一”とは、決して売上やシェアの意味にとどまらない。

例えば「ファスナーといえばYKK」と思いますよね。僕らは「靴下といえばタビオ」と思い出してもらえる存在になりたいんです。品質が良いと感じてパッケージを見たら「やっぱりタビオだった」。逆に、ちょっと違和感があるなと思ったときは「これはタビオじゃないな」と気づいてもらえる。そんな“品質の基準”としてのポジションを目指しています。


すでに海外展開を進めているタビオだが、水面下にはさらなるグローバル戦略への構想もあるそうだ。

誰もが当たり前に履く靴下にこそ、本当のこだわりを込めたい。


創業者が築いた靴下への想いを未来につなぎながら、タビオは今、“世界の基準”となる道を着実に歩み始めている。

世界基準の靴下へ!創業者の想いと<不易流行>で進化し続ける 『Tabio』
導入計画が進められている「AI活用型ロボット」





タビオ株式会社
本社:大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークスタワー16階
オフィシャルサイト:https://tabio.com/jp/corporate/
Tabioオンラインストア:https://tabio.com/jp/