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度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長
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度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

2026.06.24
株式会社マックス

株式会社マックス / 代表取締役社長 大野範子 氏



度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

幼いころから大好きだった家業の会社に入ることを希望するも、当時社長だった実父に拒まれ、やむなく一般企業に就職。そこで3年の月日を過ごしたある日、今度はその父から帰ってくるように懇願され、戻ることを決意する。そして2009年に、父の跡を継いで社長に就任。しかしその半年後に、子宮ガンに罹患していることが判明する。それから幾度も転移を繰り返し、一度は余命宣告を受けた。それでもあきらめず懸命に治療に取り組み、2013年に治療を終了。今も経営の最前線に立っている。今回はそんな波乱万丈の人生を生きる女性社長、株式会社マックスの大野範子氏が主人公の物語である。

マックス社は大阪府八尾市に本社を構え、主業となるのは石鹸や入浴剤などのスキンケア製品の開発と販売。1905年に創業し、120年余りの歴史を持つ。現在は製造を終了しているが、同社のかつての看板商品はレモン石鹸。小学校の手洗い場などに、ネットに入って吊るされていたレモンの形をしたあの石鹸といえば、「あれか」とヒザを打つ人も少なくないはずだ。大野社長は5代目であり、先代の父親が入社を要請してきたのは、バブル崩壊から下落してきた業績を回復させる手を打つためだった。

度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

私が入社する前のマックスは贈答用ギフトが主力商品で、会社の屋台骨だったんです。ですがバブル崩壊以降は社会習慣に変化が表れ始めて、お中元やお歳暮を送る習慣が縮小してきました。贈答市場がシュリンクするイコール、それを主力の事業としていた当社も当然、売り上げが縮小していく状況でした


度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

新規事業として社が着目したのはOEM事業(※1)。その舵取りが、大野氏に任された。

※1   OEM事業とは、他社ブランドの製品を製造するビジネス(または製造された製品)のことです。自社工場を持たない企業がOEMメーカーへ製造を委託し、自社ブランドとして販売する仕組みを指します。製造業、化粧品、アパレル、食品など幅広い業界で広く普及しています。
それまで積極的ではなかった化粧品会社さんなどとのOEM、つまりは父は下請けの事業をやろうと考えたんです。私はマックスに入社する以前は、香料会社で営業をやっていました。香料会社の営業というのは、香料をオーダーメイドで作っていく仕事なんです。そこで私なら、新しいOEMの事業を引っ張っていけるのではないかと感じたんだと思います

大野氏はOEM事業の陣頭指揮を執り、売り上げを社全体の4割にまで伸ばすなど、順調に成長させてきた。しかしある日、寝耳に水の出来事が起こる。

お取引先から突然、契約を終了すると告げられたんです。どういった理由かは教えていただけませんでしたが、先方さまの方針で、このブランドの商品を終えますと。当時の経営の大きな柱になっていたので、とても困惑しました。それと同時に、契約が打ち切られることが起こり得る事業であることを、痛感しましたね

次の事業を模索したが、なかなか答えが見つからない。

度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

当時は平日の夜間にビジネススクールに2年間通ってMBAを取得しましたが、それでも答えを見つけ出すことができませんでした。その時期に父から『100年近く続いてきている会社だから、これからの100年も続く会社にしてほしい』ということを言われました。私が社長に就任する2年前に、社長になってくれと言われましたので、そのころですね。これから100年も続く会社って、どんな会社なんだろうと本当に悩んだ時期でした。同時に、会社の状況が良くない悩みも抱えていましたね


5代目社長に就任したその半年後、
ガンに罹患していることが判明する



明確な答えが出せないままに、父から社長のバトンを受け取った。その半年後に、子宮ガンであることが判明する。どれほどの衝撃があったかは、想像すら及ばない。それでも必ず会社に戻ると強く決意し、辛い治療にも懸命に取り組んだ。

闘病しながらも会社に戻りたいと、常に強く思っていました。主人も治療計画を、しっかりと立ててくれていたんです。主人だけでなく、周囲の支えを素直に受け入れることで、自分ひとりでは得られないような大きな価値と結果を得られました。それが、闘病を通じて得たものですね。あとは、あきらめない精神。絶対にあきらめないぞと、良くなるための道を調べ続けていました

闘病期間は心身ともに負担は大きかったが、その過程で仕事に通じるヒントが大野社長に降りてきた。

抗ガン剤治療をしていましたので、肌がすごく荒れていたんです。入浴の際に当社の商品で無添加に近くて刺激が少ないものを使っても、肌がすごくヒリヒリして、痛くてお風呂に入れない状況に陥っていました

入浴している時間は、癒やしのとき。それを楽しめないのは、ストレスでもあった。

今後は肌が弱い方の人口もどんどん増えてこられますし、ふたりにひとりガンを患う時代になるともいわれています。私のように薬を使って治していくとなれば、同じような思いをされる方が増えてくるでしょう。だったら、バスタイムをリフレッシュやリラックスの場にできるような商品を作っていきたい。これからのマックスは、そういうことをすべきではないかとの考えが、私のなかに降りてきたんです

自ら研究開発部門に難しい要求をリクエストし、開発がスタート。苦戦しながらも、時間をかけてようやく製品化が実現した。

度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長
合成香料、合成色素、パラベンフリー 炭:吸着成分


とはいっても、ある程度限られた方にアプローチするニッチな商品ですので、その商品そのもので会社全体を支えていくのは難しいと思っていました。ですが、会社がどういう方向に進むべきかに悩み続けてきた答えが、ここで見出せたんです

マックス社はこれまでも、消費者がより幸せな気持ちになれるような商品を出してきた。

そこに新たに、悩みを持たれている方にお役立ちできるような商品。悩みに寄り添う商品もご提供していって、当たり前の生活を取り戻していただくための一助になれればという思いが加わりました。その考えが生まれたのは、会社が進むべき方向を定めるうえで、大きかったと思います


度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

事業の柱を作るよりもある意味で大事かもしれない、会社のアイデンティティや根幹になるようなものが確立できた。創業時の石鹸の時代に始まり、ギフトの時代、OEMの時代を経て、マックス社にまた次の新しい時代の扉が開いた。大野社長が新たに得た考えは、「商品・サービスを通じて、お客様の悩みを解決し、お客様に笑顔をお届けする」として、マックス社の経営理念のひとつに掲げられることになった。

将来ビジョンは総合化粧品メーカーへの進化
ガンを乗り越えた女性社長は、社を次の時代へ進ませる



新しい時代の扉を開いたマックス社は、今後は総合化粧品メーカーへの進化を目指していく。
当社は石鹸やボディソープ、シャンプーなど洗い流す商品が多くあります。それは今後も伸ばしていきながら、今後は新たな商品でお役立ちさせていただきたい。お客様に24時間寄り添えるような、メーカーとしての役割を果たしていきたいと考えています。そういった意味合いでの、総合化粧品メーカーと位置付けております

そこに向けて「MAX VISION 2026」を掲げた。これには「お悩み別商品の深化」「社内体制の改革」が含まれる。そうして脱石けんメーカーを果たし、高利益・高付加価値を生み出す総合化粧品メーカーへと進化していく。
度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

総合化粧品メーカーになっていき、お客様の役立ちの幅を広げていくわけですから、事業規模も必然的に大きくなっていかなければならないと思います。会社が育っていくなかで、トップダウンでこういう商品を作りましょうではなく、ボトムアップのように自然発生的に新しい事業や商品が生まれてくる。そのような風土の、会社にしていきたいと考えています

総合化粧品メーカーたるマックス社は、どんなところを自社の特徴や強みにしていく考えなのか。

ここが特徴であるとまでは、まだ具体的に申し上げられる段階にはありません。ただマックスならではの商品で、総合化粧品メーカーになっていこうとは考えています。たとえばニッチでもいいと思いますが、そうであればニッチトップをいくつ準備できるか。そこにはマックスらしさや、マックスの優位性を発揮できる領域があるはず。そういったところを我々が自分たちで創出したり、発見できるかですね

新たな領域へと歩みを進めても、120余年の歴史のなかで大事にしてきた、メーカーたる社の根幹は守り続ける。

これまでも大事にしてきたことではありますが、当社の商品には、お客様に『なるほど』納得していただける機能があります。これなら毎日使い続けられると、お客様が納得できる機能と、なおかつ納得のいく価格。この絶妙のバランスの磨き上げですね。それを大事にしてきて、自社商品はここまで成長してきています。今後もそこを大切にしていきながら、総合メーカーとしていろんな商品もご提供していき、お役立ちの幅を広げていきたいと思っております


度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

父から次の100年を託された5代目は、マックス社の新しい時代の扉を開いた。自らが見舞われた苦難を不屈の精神で乗り越えた女性社長は、歴史ある会社に新しい文化を築くことも自らの使命であると認識して、社を前へ進ませる。

度重なる転移を繰り返し、余命宣告まで受けたガンを克服、総合化粧品メーカーへの扉を開いた女性社長

株式会社マックス
本社:大阪府八尾市植松町2丁目9番29号
オフィシャルサイト:https://www.soapmax.co.jp/