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「また産みたい!」 出産をリスクにしない社会をつくる、若き改革者の<前と後>
吹田市情報・教育・サービス医療・介護・福祉新着女性社長

「また産みたい!」 出産をリスクにしない社会をつくる、若き改革者の<前と後>

2026.07.06
株式会社maemo atomo

株式会社maemo atomo / CEO 西山夏実 氏



特別に体調が悪かったわけではない。持病があったわけでもない。それでも、妊娠をきっかけに命が失われることがある。
西山夏実氏が妊娠や出産が持つリスクを目の当たりにしたのは、助産師1年目のときだった。
自分自身もいつか妊娠・出産を経験するかもしれない。一人の女性として強い怖さを感じたという。
そこから、「リスクを下げるためにできること」を探し始めた。そして、たどり着いたのが、医療者の視点から産前産後の運動を支えるピラティス(※)スタジオ「maemo atomo(マエモ アトモ)」である。

(※)ピラティス:ドイツ人看護士のジョセフ・H・ピラティス氏が第一次世界大戦中の負傷兵のリハビリを目的として開発。インナーマッスル(深層筋)を鍛え、骨格のバランスを整えるエクササイズ。胸式呼吸とともに、身体の深層部を意識して動くことで、姿勢やボディラインの改善、柔軟性やバランス感覚の向上、肩こりや腰痛などの解消、心身の安定といったさまざまなメリットがあると言われている。

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助産師1年目に感じた、妊娠・出産への怖さ


西山氏は、もともと助産師として医療現場で働いていた。多くの産前産後の方と関わる中で、妊娠や出産が持つ喜びだけでなく、不安やリスクにも向き合ってきた。
助産師1年目には、妊娠高血圧症候群により、お母さんと赤ちゃんの命がともに失われた事例に遭遇した。

医療が進んだ日本でも、妊娠をきっかけに命を落とすことがある。その現実を見たうえで、西山氏はできることを探してきた。
出産リスクを下げるためにできることはないだろうか。そう思って、たどり着いたのが<運動>でした。

怖さを消すのではなく、怖さに向き合うための仕組みをつくる。maemo atomoは、そうした考えから始まった。

「また産みたい!」 出産をリスクにしない社会をつくる、若き改革者の<前と後>

病院の外で、継続的に関われる仕組みをつくる


医療現場は、病気になった後の治療やリスクの高い方への対応に多くの時間が使われる場所だ。一方で、西山氏は予防や退院後の継続的な支援には手が届きにくい現実を感じていた。
妊娠中の運動をしようとしても、既存のフィットネスジムでは、妊娠中であることを理由に断られることもある。病院内で運動クラスをつくろうと考えたこともあった。しかし、簡単ではなかった。

妊娠中や産後の運動に専門的に対応できる人材は限られていたので、病院内で運動クラスをつくるのは難しいと感じました。だから、病院の外で病院と連携しながら、安全に運動できる場所を作ろうと思ったんです。

そのためには、自分自身も運動やエビデンス(根拠)について理解する必要があると感じ、まずは大阪大学大学院医学系研究科 健康スポーツ科学講座に進学。現在も、運動することの効果検証といった内容で大阪大学と連携し研究を行っている。
2021年に最初のスタジオを開設し、その後、2023年9月に株式会社maemo atomoを設立。
現在は江坂と南森町を拠点に、医療者が継続的に関われる産前産後ケアの場づくりを進めている。

妊娠による心身へのリスクも下げたいし、継続的に医療者が関われる仕組みも作りたい。この2軸から作ったのがmaemo atomoです。

maemo atomoは単なる運動の場ではない。妊娠前から産後まで、医療者とつながり続けられる場所でもある。

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医療者が支える、産前産後のためのピラティススタジオ


maemo atomoは、妊娠前、妊娠中、産後のリカバリー期にある方を主な対象としたピラティススタジオだ。
助産師や理学療法士などの医療者が、産前産後の方に向けたプログラムを提供している。
妊娠中に推奨されている運動にはヨガやスイミングなどもありますが、運動の中でもピラティスは強度を調整しやすく、インナーの筋肉にもアプローチしやすいんです。マシンを使う楽しさもあるので、続けやすいと思います。

maemo atomoのプログラムには、妊娠を考え始めた頃や、妊娠したタイミングで通い始める人が多く、妊娠中も継続し、出産後も継続する方が多い。
レッスンは対面とオンラインを併用可能。妊娠後期や産後すぐ、子どもを連れて外出しづらい時期には自宅からオンラインで参加できる仕組みがある。
また、レッスン前後には、血圧、赤ちゃんの状態、子宮収縮など、医療者がメディカルチェックする時間を設けている。ただ運動を提供するだけではなく、体調や妊娠週数、産後の回復状態を見ながら、その人に合った形で無理なく運動できるよう支える。それがmaemo atomo だ。

運動した方がいい。でも、どうすればいいかわからない


近年、妊娠中の運動についての必要性は少しずつ広まってきている。一方で、妊婦さん自身にとっては運動に対する不安も少なくない。
妊婦健診などで、「運動をした方がいいよ」と言われるけれど、どう運動したらいいのかわからない。自宅で運動するのは不安だと言われる方が本当に多いです。maemo atomoであれば医療者がメディカルチェックを行うので、この日の体調や状態を見ながら、その日の状態に合わせた運動を提案できます。

妊婦健診で問題がないと言われていても、日々の体調は変わる。妊娠高血圧症候群や切迫早産の診断がついている場合など、運動が適さないケースもあるだろう。
「今日の自分の体調で動いていいのか」「この不調は大丈夫なのか」。これらを一人で判断するのは容易ではない。

妊娠中の体は、時期によって大きく変わります。お腹が大きくなることで仰向けの姿勢が負担になることもありますし、ホルモンの影響で関節や靭帯も変化します。お産に向けて、股関節の柔軟性や骨盤底筋、腹筋、横隔膜などの機能を見ながらアプローチする必要があるんです。

「運動した方がいい」というだけでなく、どう動けばよいのか。どこまでの運動なら無理がないのかなど、医療者の視点で具体的な部分まで支えることが大切なのかもしれない。

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「また産みたい」と思える経験を増やすために


西山氏が医療現場で働いていた頃には、「妊娠なんてするんじゃなかった」「出産が怖い」といった言葉を耳にすることは、一度や二度ではなかったという。一方でmaemo atomoに通う方からは、「妊娠中が楽しい」「出産が楽しみ」「また産みたい」という言葉を聞けるようになった。

妊娠中や産後には、体の不調だけでなく、気持ちの揺れも起こる。西山氏は、医療者が継続して関わる価値について、こう話す。
maemo atomoでは、医療者と日常的に話す機会があります。言語化されていない悩みも、顔色・声色・日常会話から拾えれば、問題が大きくなる前に解消されることがあるんです。

さらに、同じ不安を抱える他の利用者との関わりも、妊娠中や産後の不安を一人で抱え込まない支えとなっている。

本人と家族と医療者がつながる場をつくる


maemo atomoでは、パートナーへのアプローチも大切にしている。
その一つが『出産まえ会議』だ。産後に起こり得る出来事や、夫婦それぞれが大切にしたい価値観について、出産前に話し合う機会をつくっている。

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『出産まえ会議』では、夫婦それぞれが、パートナーシップの形を2人で考えるきっかけを作っています。たとえば、「産後にこういうことが起こりました。何を大事にしますか?」といったテーマで話し合い、夫婦ですり合わせをします。

妊娠中や産後の運動について、パートナーが理解を示し、応援してくれることは、女性にとって大きな支えになる。『出産まえ会議』に参加したパートナーが、産後に「運動を始めてみたら?」と積極的に声をかけることもあるという。
maemo atomoが支えているのは、運動を通じた体づくりだけではない。妊娠・出産・産後を一人で抱え込まないために、本人と家族がつながる場でもある。


大阪から全国へ「出産を、リスクにしない社会へ。」


今後は、江坂と南森町の拠点で、妊娠中や産後の方に満足してもらえるプログラムをさらに磨いていく。2026年5月末、新たにオープンした新店舗『江坂町店』では、産後すぐに運動へ戻ることが難しい方に向けて、よもぎ蒸しを導入する予定だ。
産後、体がすごく疲れている状態の人にとって、運動で復帰するのは難しいこともあります。体を動かす前の一歩として、温めながらゆっくり過ごせるよもぎ蒸しを選びました。


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また、助産師や理学療法士にとっても、病院の外で専門性を生かせる新しい働き方にもつながっている。
単にインストラクターとしてではなく、医療者として必要なことを提供できるのだ。
妊娠や出産には、不安もリスクもある。けれど、それを一人で抱え込まずにすむ場所がある。医療者とつながりながら、自分の体と向き合える時間がある。
西山氏がつくろうとしているのは、怖さをなかったことにする場所ではない。妊娠や出産にある不安を見つめたうえで、一人で抱え込まない仕組みだ。
医療者とつながり、家族と話し合い、自分の体と向き合える場を、もっと多くの人へ届けていく。

maemo atomoの歩みは、江坂から全国へと進んでいく。


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株式会社maemo atomo
本社:大阪府吹田市広芝町4−34 江坂第一ビル501号室
オフィシャルサイト:https://maemoatomo.co.jp/