株式会社ゆかり / 代表取締役 山下真明 氏
株式会社ゆかりは昭和25年に、「甘党ゆかり商店」として創業以来、人と人との縁を大切に日々営業してきました。現在は、大阪府内に7店舗、東京と横浜に各1店舗の計9店舗展開し、こだわりの材料と技術で、鉄板を囲んだコミュニケーションを楽しんでいただける店づくりを続けています。
―――甘味処からパーラーを経て、お好み焼専門店へ
「ゆかり」という屋号には、創業者の思いが詰まっています。
お客様に対してはもちろん、取引先様、従業員同士もご縁があって出会っている
その"ご縁を大事にしたい"
そんな思いを込めて名づけられました。
創業当時は、お好み焼専門店ではなく、甘味処としてスタートしています。
ぜんざいや焼餅などが主なメニューでした。
昭和40年に富国生命ビル1階にてパーラーゆかり開店時は独自で洋食を業態開発し、パーラーが好調だったのでWhityの洋食店主様が共同経営をしましょうという話になりました。
お好み焼店を始めようと提案したのは3代目社長でした。まずは本店の2階から始めたところ評判が良かったので3店舗ともお好み焼店に業態変更することにしました。
弊社は、初代社長と2代目社長の共同経営でスタートし、初代は祖父の兄弟の旦那さん、そして2代目が私の祖父にあたります。3代目が私の父で、現社長の私は4代目にあたります。

私は2007年から2011年までは、ゆかりの店舗の現場に入っていました。いったん事務方になった後、2012年の天王寺ミオプラザ館店の立ち上げに伴い再び現場に入りましたが、2013年に現場を完全に離れました。私が社長に就任したのは2016年からです。
経営者の一人として意識していたのは飲食業界をはじめとした経営者の方々との交流を大切にするということです。
近隣にはいわゆる競合店が多数あり、いい意味でのライバル心はありますが敵対心はありません(笑)他店が新しいメニューや企画を出せば、気兼ねなく情報共有しに伺います。これは様々な協会や会合に参加し、みなさんと親睦を深めているからこそ生まれる関係だと思います。
材料へのこだわりと季節感を大切にした個性的なメニュー
弊社のホームページにも「ゆかり七自慢」として記載していますが、ゆかりのメニューは材料もこだわっています。お好み焼だけでなく、マヨネーズや麺に至るまで、鶏卵はすべてヨード卵を使用しています。

メーカーさんの話によると、ここまでこだわっている店舗は全国でもわずか2社しかないそうで、関西では弊社だけだと聞いています。粉は、特等級のきめ細かい粉を使っています。これはケーキなど製菓用に使われるのと同じグレードで、外はパリッと中はしっとりとした仕上がりになります。
また、ソースもマヨネーズもオリジナルです。配合は、パーラー時代のコックさんが考案したレシピを今も使っていますが、時代の変化にも負けない絶妙な味だと自負しています。
焼そばの麺とソースの味はエリアによっても調整しています。当初は関西のレシピで関東で出店したのですがお客様の御意見もあり、改良いたしました。
弊社のメニューのもうひとつの魅力は、季節感を大切にした店舗ごとの限定メニューです。
各店舗で作るまかないメニューを「せっかくなら商品化してみないか?」という意見があり、店舗ごとのオリジナルメニューとして採用しました。
例えば、黒ごまペーストを入れた生地に、白ごまと温泉卵をトッピングした「富国焼」は、富国店でリニューアルオープン時に生まれたのですが、人気メニューとしてすっかり定着しています。
この夏に関西限定メニューとして採用されたパクチー焼も、季節ごとに実施しているコンテストから生まれたメニューのひとつ。秋メニューにも10作品ほど応募があり、試食して投票数の多いアイデアを基に商品化されます。
また、4年前から実施して好評を博している肉フェアも、肉ブームがじわじわ来ていた時に、店長からの提案で始めたものです。

さらに、東通店では社員の希望もあり、今年の7月16日より【ゆかり「宴」阪急東通り店】として、鉄板焼きメニューを中心とした業態にリニューアルしました。
ゆかり各店の店長の権限は、おそらく他社さんと比べても大きいかと思います。リスクは社長である私が負うので、雇われ店長というよりは個人事業主の感覚でいてほしいと常々思っているからです。
感情が伝わるように密なコミュニケーションを
弊社では、社員とのコミュニケーションを大切にしています。直接顔を見て話すチャンスを増やすため、部長や店長クラスの社員とは週1回2時間のミーティングを実施。その他の社員にも、月1回は必ずスキルに応じた研修に参加してもらいます。これらの場には私も必ず参加して、ゆかりのスピリッツを伝えます。そして、核になる部分は私が決めてリーダーシップを取りますが、そこから派生する部分にはできる限りスタッフの意見を取り入れるようにしています。各店長と直接じっくり話すことが大事だと思っているので、関西と関東で新規出店はしても、他のエリアへの拡大は今のところ考えていません。
今年は、就労ビザを取得した外国籍の社員を5名採用しました。翻訳メニューをわかりやすくリニューアルしたり、文字だけでは説明が難しい内容も細かいニュアンスまで伝えたりと、創意工夫から生まれる新たな発見が、社員同士で刺激を受け、それがサービス向上に繋がっているんだと思います。
社員はいったん配属が決まると、近い店舗で働いていても普段はなかなか接点がありません。定期的に集まる機会を設けることで、何かへこむことがあっても仲間の頑張りに励まされ、それが結束力に繋がると考えています。そうした日頃のコミュニケーションの賜物なのか、百貨店での催事や屋台などで行う社会貢献活動にも積極的に参加する社員が多いです。

他社さんではこうした活動への参加を嫌がる人も多いという話を耳にしますが、弊社ではむしろ自ら楽しんで参加してくれているという印象です。社員から研修の要望があれば定期的に博多や東京の百貨店の催事コーナーでの研修の機会も設けています。
飲食業界の醍醐味を、プラスの発想で一緒に楽しんでほしい
私は、2007年にゆかりの経営に本格的に関わるようになるまでは、実は小売業界にいました。小売業は商品の販売までなので、お客様が購入された先のことは見えません。
一方、飲食業は結果がすぐに見える業界で、それが何よりの醍醐味だと思っています。お客様がお帰りになる時の表情や言葉で、美味しいと思ってもらえたかどうか?
お客様からいただく「美味しい」の声が続くことで食文化は守られ、次の世代へと継承されていきます。

飲食業界は決して簡単な業界ではありません。お金があれば出店はできますが、どうやってお店を維持していくことができるか?自分にとってどのポイントを醍醐味とするかにもよりますが、やった分だけ形にできる飲食業界は、やり甲斐があります。
弊社では役職が上がればできることもどんどん増えます。向上心を高める機会がたくさんあります。そんなプラスアルファの気持ちを一緒に楽しめる方なら是非、弊社でチャレンジしてみてください。
