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「自社製品嫌い」だった社長 お客様のことを考え、主体性あふれる会社を作るまで
豊中市製造・メーカー

「自社製品嫌い」だった社長 お客様のことを考え、主体性あふれる会社を作るまで

2022.02.18
ダイワアドテック株式会社

ダイワアドテック株式会社 / 代表取締役社長 熊代 琢 氏

                                                            

私たちが普段利用しているスマートフォンやPCなどの部品は、非常に高精度な機械で加工されています。しかし、いくら機械そのものの精度が高くてもその土台にぐらつきがあったり、置き場そのものが水平でなかったりすれば、機械本来の機能を発揮することはできません。ものづくりの現場において「土台」は目立たないながらも、非常に重要なポイントなのです。そんなものづくりの「土台」を支え、オンリーワンを目指す、豊中市に本拠を構えるダイワアドテック株式会社 代表取締役社長 熊代 琢氏が目指すのは「主体性」があふれる会社です。

「自社製品嫌い」だった社長 お客様のことを考え、主体性あふれる会社を作るまで

まったくの「偶然」から生まれたアジャスターボルト



ダイワアドテックは設備・装置の安定・水平出しに利用されるアジャスターボルトやベルトストッパーなどを扱う企業。工場を持たないファブレス経営(※1)が特徴です。主力製品のアジャスターボルトは国内市場シェア2割を誇り、特に半導体の製造工場からの引き合いが強いとのこと。

(※1)ファブレス経営とは自社で生産設備を持たない経営方式のこと。 製品の生産はすべて他社に委託します。
半導体系はもちろんですが、自動車関連の設備や医療機器・印刷機器の現場など、ありとあらゆる現場で利用されています。アジャスターボルトの用途としては、自動販売機の水平出しをイメージしてもらうとわかりやすいですかね。ただ 自動販売機に使用されているアジャスターは汎用品で販売できる数は多いものの単価は低い。私たちはより単価の高い工業市場をターゲットにしています。

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もともとダイワアドテックは「大和螺子」という社名で、自社製品を持たないネジの販売業者でした。ダイワアドテックがアジャスターボルトを自社製品に据えたのは、まったくの偶然だったとのこと。当時のお客様からの要望でアジャスターボルトを製造したところ、手応えを感じ自社製品化するに至ったそうです。
偶然から自社製品化し、会社の主力製品となったアジャスターボルト。しかし その影には熊代氏の父にあたる先代社長の数えきれない「無謀ともいえる」失敗があったといいます。
先代は「お客様が欲しいもの」よりも「自分が売りたいもの」を作るタイプだったんです。例をあげればキリがないですが、例えば「ボールネジ」というベアリングをナットに入れて摩耗なくネジを送ることができる部品を廉価で販売しようと、大規模な設備投資をしたことがありました。ただ お客様のニーズ調査をまったくしていないので、案の定製品は大失敗。他にも「ネジ屋がそんなことやってどうすんねん」と思うような製品を作っては、失敗していました。
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製品の失敗が続けば、当然会社の経営は危うくなります。何度もピンチに遭遇しながら、その度に「神風」が吹いて、なんとか持ち堪えてきたと熊代氏は語ります。
2000年代初頭は、競合が現れてアジャスターボルトの売れ行きが怪しくなってきたんです。加えて無茶な投資をするもんですから、どんどん経営状況が悪化していきます。そんなとき偶然にもオリンピックに合わせた液晶テレビへの買い替えが急増し設備投資の特需が生まれて、ギリギリで助かりました。こんなことが何度もありましたね。

現在はアジャスターボルトをコア技術として、アジャスターとキャスターが一体となった「ペダルアジャスター」ペダルで水平出しと運搬を使い分けることができる「うんぱんマン」など、アジャスターボルトに次ぐ会社の柱となる新商品の開発に余念がありません。

▼ペダルアジャスター
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▼うんぱんマン
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主体性が生まれる会社づくり



2018年に先代から社長を継いだ熊代氏。ただそれまでの熊代氏は「自社製品嫌いで、社員とも関わりたくない」と思っていたそうです。
ダイワアドテックに入社した当時、ずっと先代である父の作った製品が嫌いでした。それに以前の私は、社員の考えていることが理解不能で大嫌い、できるだけ社員と関わるのは避けようというスタンス。しかしながら、社員に対する想いは、先代は社員の世話をすべて自分がやるというタイプで、私自身は社員に自主性を持って欲しいがためでいつも対立をしてました。どちらも「社員を守る」という思いには変わりないんですけどね。2017年に社長を交代したんですが、先代は最後まで自分を社長と認めてくれませんでした。

熊代氏の考えが変わったのは、先代の逝去がきっかけ。経営者仲間からの言葉で「自分自身が変わることが大切」と気づいたといいます。
社長を交代した翌年の2018年に先代が亡くなって、経営者の仲間から「お父さんが喜ぶことを大切にしなさい」と諭されたんです。そこから私の行動が変わりました。先代が大切にしていたのは「お客様」「従業員」そして「自社製品」。まずはお客様が第一。お客様目線で、お客様が欲しいと思うものを作っていく。従業員を大切にするのは当たり前。その上で、自社製品を愛することが大切だとようやく気づいたんです。


社長の行動の変化は、やがて製品、社員の変化へ



「お客様第一」の考えが表れているのが、ダイワアドテックの製品群である「HARMONIE(ハルモニー)」ブランドです。当然ですが、アジャスターボルトはその上に設置する「機械」あってのもの。お客様目線で、お客様の機械に合う部品でなくてはなりません。真にお客様の機械に合ったアジャスターボルトを提供するため、熊代氏は2021年にダイワアドテックの製品群「HARMONIE」ブランドとしてリブランディングしました。
「HARMONIE」というブランド名は、ドイツ語の「調和」が由来です。私たちの製品は、お客様の製品があって初めて価値を発揮するもの。お客様の機械をより輝かせられるような部品でありたいと思い、社内公募で命名しました。公募では「くましろ」だから「ホワイトベアー」とか、他にも面白い案がありましたね。お客様の認知度はまだまだ低いので、これから広めていきたいと思っています。

「自社製品嫌い」だった社長 お客様のことを考え、主体性あふれる会社を作るまで

「HARMONIE」ブランドの認知に加え、新しく挑戦しているのが「BtoC市場への進出」です。工業製品といえば「BtoB市場」のイメージですが、ダイワアドテックでは木目調のデザインがあしらわれたDIY向きなアジャスターボルトを開発、SNSに開発過程を公開しています。そのアイデアを出したのは、社長ではなく社員だそうです。

HARMONIE(ハルモニー)インスタグラム
実はこの製品、私はノータッチなんですよ。社員が自主的に始めたプロジェクトでして、SNSで社外の意見も取り入れながら開発を進めているんです。

製品開発だけでなく、キャリア形成においても、ダイワアドテックは社員の「やりたい」を育んでいきます。文系卒でも「設計をやりたい」と設計に関わっている社員もいるほど。これほどまでに社内で主体性が育まれたのは一体なぜでしょうか。その理由の一つが、毎日始業時に社員全員で行っている「活力朝礼」。1日の節目として、心のスイッチを切り替えていくために、活力朝礼を行っているそうです。
たかが朝礼、たかが挨拶と思いがちですが、これを元気に行うだけで社内の雰囲気が明るくなり、助け合いの精神が生まれてくるんです。社内の自主性の源になっていると思いますね。活力朝礼コンテストというものがあるのですが、今ではそのコンテストで優勝するほどに、社員が力を入れて取り組んでくれています。

朝礼の他にも、コロナ前はUSJや観光地への社員旅行。コロナ禍の現在はiPadを用いた社内コミュニケーションなど、社員の関係性づくりに余念がない熊代氏。他にも社屋に筋トレルームを作るなど、IT企業顔負けのユニークな福利厚生があります。社員を大切にするという「当たり前」の行動が、社員の主体性を育んでいるのでしょう。

「自社製品嫌い」だった社長 お客様のことを考え、主体性あふれる会社を作るまで

ショールームに飾りたくなるほど「愛着を持てる」自社製品を作る



アジャスターボルトや他の新製品が好調とはいえ、コモディティ化(※2)しやすい領域であるのも事実。熊代氏はうんぱんマンやペダルアジャスターだけでなく、アジャスターボルトの新しい可能性を模索しています。
その例の一つが「IoT」(※3)です。アジャスターボルトが自動で水平出しを行ったり、重量センサーによる運搬物の重量を自動で計量したりする製品を企画しているそうです。

(※2)コモディティ(英:commodity)化は、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差のない状態のこと。なお英語の「commodity」は日用品程度の意味しかないが、別儀としては必需品など生活に欠かせないものも指し、後述されているようにその分野の物品は消費者の生活にとってなくては困るものともなっている。

(※3)IoT:モノのインターネット(物のインターネット、英: Internet of Things、IoT)とは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みのことである。
機械の水平を出すのは、実は非常に大変なんです。ミクロン単位で精度を出す必要がありますし、複数人で作業をしなければならない。本当に職人技と言えるレベルなんです。そこをこれから自動化できる付加価値の高い自社製品を生み出していきたいんです。アジャスターボルトに重量センサーをつけて、運搬物の重量データをインターネット経由で自動送信する製品も予定をしています。

他にも部品のユニット化による付加価値の向上など、自社製品の改良について豊富なアイデアを持っている熊代氏。将来的には今の本社を自社製品のショールームに改装し、誰でも見ることができるよう展示する計画があるとのこと。笑顔でショールームの計画を語る熊代氏は、誰が見ても「自社製品が大好き」な社長に生まれ変わっていました。


ダイワアドテック株式会社
本社:〒561-0825 大阪府豊中市二葉町2-6-40
オフィシャルサイト:https://www.d-ad.tech/