株式会社 E.N / 代表取締役 和田広矢 氏
プロサッカー選手としてキャリアをスタートし、ビジネスの世界へ転身。現在26歳の和田広矢氏は、広告運用・D2C支援・自社商品開発を手がける株式会社 E.Nを率い、若手中心の組織を築き、「本気でやること」「まず行動すること」「“縁”を大切にすること」を軸に急成長を続けている。
今年からは出張洗車アプリ Mobility Box(モビリティボックス)(※1)のCOO(最高執行責任者)としても活躍し始めた。
和田氏に、これまでの歩みや事業への思い、今後の展望を聞いた。
(※1)Mobility Box(モビリティボックス):株式会社REALIZEが運営する日本初の全国出張洗車アプリ。環境に配慮したウォーターレス洗車(※1‐Ⅱ)と、専用アプリを通じた手軽な予約システムが好評である(※1‐Ⅱ)ウォーターレス洗車:水の代わりに専用薬剤を使用した手洗い洗車方式。Mobility Boxの洗車は、天然成分を配合した専用薬剤や触れても車体を傷つけないマイクロファイバータオルの使用などにこだわっている。洗車は、研修を修了した「マイスター」が担当する

プロサッカー選手から起業家へ!本気の挑戦が切り拓いたキャリア
和田氏は、プロサッカー選手としてプレーしていた経歴を持つ。
多くのサッカー少年が夢見ているように、日本代表としてワールドカップに出て活躍する選手になることが僕の夢でした。
高校を卒業し、大学でもひたすらサッカーに打ち込む毎日。しかし4年生の時、一つの出会いが和田氏の運命を変えた。
ある日、知人の紹介で「BOTANIST」や「SALONIA」などのヒット商品を生み出す美容メーカー、I-ne(アイエヌイー)(※2)の役員の方と食事に行きました。有名なシャンプーを作ったことはもちろんかっこいいと思いましたが、ヒット商品になるまでの道のりを語る姿にロマンを感じ、「自分もこんなふうになりたい」と憧れたのです。
それまでの僕はサッカー一筋で、その世界しか知らなかった。でも、この出会いでビジネスの世界の魅力を知ってしまいました。
(※2)株式会社I-ne(アイエヌイー):2007年に創業し、美容関連商品やヘルスケア商品を企画開発・販売。中でも2015年に発売され、植物由来成分を配合したシャンプー「BOTANIST」は、当時のヘアケア市場の隙間に参入して大ヒット。現在もドラッグストアやバラエティショップの定番商品として親しまれている
大学卒業後は、フィンランドや福井のチームでプレー。しかし、サッカー以外の世界を知ったあとは「気づけば引退後のことを考えていた」という和田氏は、プロ選手生活に1年間で区切りをつけた。

引退後の2020年に株式会社E.Nを設立し、まずは販売代理店として高級シャワーヘッド「ミラブル(※3)」を扱った。営業は未経験ながら、銭湯やホテルを中心に取引を進め、個人で数千万円単位の売上を記録。その経験が自信となり、ビジネスの世界へと本格的に足を踏み入れることになる。
(※3)ミラブル:株式会社サイエンスが開発したシャワーヘッド。直径1μm(マイクロメートル:1ミリの1000分の1)未満の超微細気泡(ウルトラファインバブル)を生成し、洗浄力や節水性に優れる特徴を持つ
当時を振り返ってみれば、一生懸命な姿勢を買ってもらえたことが売上結果につながったのだと思います。アポが取れたら、契約してもらえるかも分からないのに、どんなに遠い場所へも車を走らせて営業先に向かっていました。
給料をくれる人がいない環境に身を置いたことで、とにかく行動せざるを得ませんでしたし、何よりも、ビジネスの魅力を教えてくれた先輩方との差を少しでも埋めたくて、必死でした。
その後も事業を通じてWebマーケティングのノウハウを蓄積していき、事業の柱を広告運用・D2C(※4)支援・自社商品開発の3つに広げた。
「かっこいい商品を販売する会社を作りたい!」
会社設立から2期目で年商5億円を達成する。
(※4)D2C:Direct to Consumerの略。メーカーが小売店や卸売業者などを介さずに、直接消費者に商品を販売するビジネスモデル
サッカーの世界で活躍できる選手は、プレーへの覚悟が違う。サッカーのことしか考えていないから成功するのだと、身をもって学びました。ビジネスの世界もきっと一緒で、ブレが生じたらうまくいかないでしょう。僕は、サッカーで夢を叶えられなかった経験を、ビジネスでは本気で生かしていきたいのです。

“縁”を軸に、売れる仕組みと届ける想いを形にする若手チームの挑戦
E.Nが展開する事業の核は、MetaやGoogleを活用した広告運用と、D2Cブランドに対する包括的な支援だ。
広告を代行するだけではなく、「売れる商品とは何か」をクライアントと共に考え、商品企画から販売施策まで一貫して支援する。
社名のE.Nは“縁”に由来し、「全てのお客様・パートナー企業とのつながりを大切に」との信念を込めた。
取り扱う商材を決める際は、携わる人の人柄を見て、“この人と一緒にやりたい”と思えるものや、自分自身や社員が心から欲しいと思えて、“たくさんの人に届けたい”と熱くなれるものを選ぶようにしています。それが「幸福を創造し届ける」という僕たちのビジョンにもつながっているのです。
自社商品についても、これまでに一部取り組みはあったものの、今期からはいよいよ本格的に注力している。ターゲットは、ニッチだが確かな需要がある分野。ライフスタイルブランドを中心にガジェット(小型機器・装置)系領域を中心に、初夏の販売開始を見据え、実需とトレンドの重なる地点を見極めながら急ピッチで開発を進める。
「やると決めたことを最短ルートでできる」というベンチャー企業の強みを生かし、シーズンごとに商品を開発していくE.N。
現在は26歳の和田氏を最年長に、若手のメンバーそれぞれが主体となって組織を築いている。
社内のコミュニケーションは、部活に近い感覚です。部活って、レギュラーやベンチのポジションがあって、ライバル同士の関係になることもありますよね。お互いが高め合えるような環境で、仲間としての結束力を持って一緒に事業を動かしていきたい。
僕だけが主導権を握って指示を与えるのではなく、一人ひとりがどれだけ自発的に動けるかによって会社の今後も大きく変わっていくはずです。それぞれが活躍できるポジションを僕が整えることで、メンバーにはどんどん夢を掴めるチャレンジをしていってほしいです。
COOとして挑む新領域。出張洗車アプリが秘める可能性とは
和田氏には現在、E.Nでの事業のかたわら、注力していることがある。
COO(最高執行責任者)として運営に携わるは、いま急成長を遂げている出張洗車アプリ Mobility Box(モビリティボックス)だ。
Mobility Boxの特徴は、環境に配慮したウォーターレス洗車と、専用アプリを通じた手軽な予約システム。ユーザーは車を動かさずに、自宅や駐車場でプロの洗車を受けることができる。
お客様は時間を大切にする傾向が強いので、「出張先での仕事中に車を離れている間」「会食のため、店の近くに車を停めている間」といったタイミングでサービスを活用できることを好んでいただいています。こまめに手入れすることは、車の資産価値を保つためにも欠かせません。現在は特に、高級車を所有されている方からのニーズが高いですね。

韓国で普及している出張洗車アプリをモデルにした、日本では新しいこの取り組み。現在は東京と大阪を中心にフランチャイズを展開しており、順次サービスエリアを全国に拡大する予定だ。
ゆくゆくは洗車に限らず、車の保険や買取、メンテナンスを含めたモビリティの総合プラットフォームへと進化する構想を描いている。
Mobility Boxの方向性が「世の中に充実感や幸福感を届けられる商品やサービスを作りたい」というE.Nのテーマに近しいものを感じて、事業に参画しています。Mobility Boxには尊敬する経営者の先輩をはじめ多くの方が関わっており、一緒にサービスを成長させていく経験を大切にしていきたい。E.Nとしては、まだまだ大きい目標ではありますが、いつかニッチ市場から世の中に広く普及できるヒット商品を開発したいです!
人とのつながりを基盤に、スピードと柔軟性を兼ね備えて挑戦を続ける和田氏。
「数年後に取材をしたら、また違ったお話が聞けそうですね」と水を向けると、「どんどん変わっていかないといけないですね」と表情を引き締めた。

