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プラスチックを使い続けるために!プラスチック製工具箱のトップブランド企業の<向き合い方>
大阪市城東区製造・メーカー小売・流通新着

プラスチックを使い続けるために!プラスチック製工具箱のトップブランド企業の<向き合い方>

2025.09.19
株式会社リングスター

株式会社リングスター 代表取締役社長 / 唐金吉弘 氏



工具、釣具、アウトドア分野のプラスチックボックスではトップブランドのリングスター(Ring Star)。
そこに至るまでには、多くの困難があった。
スチール製より軽いけれど割れやすいことが難点だったプラスチック製工具箱を、素材から見直して「割れないプラスチック製工具箱」の開発に成功する。
蓋を固定するバックル(留め金具)の形状も工夫され、<割れない・壊れない>リングスターの工具箱の愛用者は多い。
長持ちするあまり、20年間使い続けるヘビーユーザーもいるほどだ。

一方で現在、プラスチック製品メーカーでありながら、真正面から海洋プラスチックの問題にも取り組み、長崎県対馬に漂着したプラスチックごみを回収して材料に配合した製品も生み出している。

「歴史あるプラスチック製品メーカーだからこそプラスチックに責任を持ちたい」と語る代表取締役社長 唐金吉弘氏と取締役営業統括部長 唐金祐太氏に話を聞いた。

プラスチックを使い続けるために!プラスチック製工具箱のトップブランド企業の<向き合い方>
正に親子鷹!唐金吉弘代表(左)と祐太部長(右)



「割れない」プラスチック製工具箱<スーパーボックス>誕生!


工具箱は昔、木製だった。今から100年以上前、二代目唐金重平氏は木製工具函を開発。時代と共にそれがスチール製になり、耐久性が増したかわりに重くなった。そこで、成形しやすく軽量なプラスチック製の工具箱が海外から輸入されたが、強度に難点があって割れやすい。
ならば割れないプラスチック製工具箱を自社で開発しようと取り組んだ。強度を高める素材探しが困難を極め、道のりは予想以上に険しかった。

スチール製の工具箱は、弊社でも以前から大阪で製造していました。1985年頃から、海外からプラスチック製の工具箱が入ってきて、業界では「プラスチック製のほうがいいんじゃないか」というふうになってきました。


当時の代表取締役だった先代(四代目)の唐金昭次郎氏とともに渡米した吉弘氏は、現地で展示会場などに足を運んで視察し、プラスチック製工具箱を輸入販売することを決める。

ところが、我々はメーカーです。販売は慣れていませんでした。しかも寸法の単位が日本ではメートル法ですけど、アメリカはインチ法なんですよ。日本製の工具を入れてみたらサイズが足りなかったり不自然に余ったりして、使い勝手が良くなかったのです。

寸法の基準が異なる上に、アメリカ製品はつくりが粗かった。日本から改良を要請しても、アメリカのメーカーからは「こういうものなんだ」といわんばかりの対応をされ埒が明かない。
しかも強度が足りず、人が乗っただけで割れてしまったという。付いているべき部品が付いていない不良品も多く、仕入れたら全品を検査しなければならなかった。
ひどい状態でしたね(笑)。やっぱり他社製品を仕入れて売るより、自社で作ろうということになりました。


会社としてプラスチック成型の経験はなかったが、吉弘氏の兄が成型技術を勉強し、1991年に新たな工場を建てた。
作ったら、お客さんが買ってくれる自信はありました。プラスチック製は割れやすいという概念を覆すべく、先代も熱意をもって取り組んでいました。


商品を開発する際に欠かせないのがデザインだが、当時はデザイナーがいなかった。ところがたまたま一般財団法人大阪デザインセンターに出入りしていたとき「僕にやらせてもらえませんか?」と声をかけてきたデザイナーがいた。
どこでうちのことを知ったのか分かりません。もしもデザインが気に入らなかったら、報酬は要らないというのです。自信がありそうだったし、お願いすることにしました。そうしたら、いいデザイン画ができあがってきたんですよ。


そのデザインは今も継承されているという。だが、いくらデザインが良くても、強度の問題はなかなか克服できなかった。
先代と一緒に夜遅くまで、材料を変えてみて試行錯誤を繰り返したのですが、うまくいかない。ノウハウがないことをやろうとしているから、尚更ですよね。


強度試験はシンプルだった。10kg分の工具を入れて床上1mの高さから落とすという方法だ。何度試しても割れた。
解決の糸口が見えない中で、吉弘氏はとうとう「割れるのは仕方ない」と弱音を吐いてしまう。だが、先代はあくまで「割れないプラスチック」にこだわった。

先代とは、よくぶつかりましたね。そんなときに飛び込みでセールスに来た原料メーカーが「うちで持っている材料はどうですか?」と言ってくれたのが、バンパー材(=ポリプロピレン)だったんです。もう、天から降ってきてくれた感じでした。


遂に1991年2月、「プラスチック工具箱は割れる」と言う概念を覆し、日本で初めて「割れない」プラスチック工具箱<スーパーボックス>が誕生する。

プラスチックを使い続けるために!プラスチック製工具箱のトップブランド企業の<向き合い方>


試行錯誤を繰り返しているうちにうまく離形ができるようになって、やっと製品化しました。職人のお客さんのところへ持って行ったときは、びっくりされましたね。「ホンマに割れへんのか?」と疑いの目で見られましたけど(笑)。


バンパー材は弾力があって、たしかに割れにくい材料だった。しかし型に流し込んだときに流れが悪い上、成型後に型から外れにくい。それでも材料は他のどれよりも断然良かった。

20年間も使い続けるヘビーユーザーがいる


割れないプラスチック製工具箱が知れ渡ると、これが大ヒットした。すると今度は新たな問題に直面する。
製造機械が1台しかないから、生産が追い付かないんですよ。1日に200個しかつくれないから、注文に全然間に合わないのです。発売してから3年間はそんな状態で、私も夜勤に入ったりしましたね。


それが今も広く使われ続ける製品に成長し、用途に合わせてバリエーションも増えた。バックルの形状を湾曲させ、移動中に引っ掛けても蓋が勝手に開きにくい工夫も施されている。
とりわけプロのユーザーに評判がよく、リングスターの工具箱を使っていることがある種のステータスになっている風潮があるとも聞く。
リピーターが多いと思います。リングスターの工具箱しか使わないという職人さんもいらっしゃいます。


驚くことに20年間使い続けているユーザーも数名いてるという。取っ手やバックルに過剰な負荷がかかって破損することがあるので、それについては部品を別売りして対応しているそうだ。

漂着プラスチックのリサイクル製品化と寄付活動


リングスターが取り組んでいることのひとつに、海洋プラスチックの問題がある。
取締役部長の唐金祐太氏はこの問題を正面から取り組んでいる。
海洋プラスチックには、海から流れ着いたことが証明できるプラスチックごみ(オーシャン・プラスチック)と今後海に流出する可能性があるプラスチックごみ(オーシャン・バウンド・プラスチック)がある。
プラスチックは自然に分解せず、海を漂って海岸に漂着したり、微細な粒子(マイクロプラスチック)になったりして海洋生物に影響を与えることが問題視されている。
リングスターでは、対馬に漂着した海洋プラスチック(オーシャン・プラスチック)を回収を進めている。

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唐金祐太氏:プラスチックを扱っているメーカーということで、何人かの伝手(つて)をたどって、対馬市から弊社へ相談をいただきました。


他のプラスチックメーカーからも、合わせて15人が対馬の視察に招待されたという。海岸いっぱいに打ち上げられたポリタンク、ブイ、漁網らしきものなど、事態は想像以上に深刻だった。
島の形状や潮流の影響で、年間2万~3万立方メートルもの海洋プラスチックが打ち上げられる。対馬市は約2億8000万円をかけて、処理事業を行っているという。
「解決を図るため対馬に協力したい」と相談を受けた代表の吉弘氏は、初めは渋っていたが、祐太氏の熱意に押されてOKを出した。
海洋プラスチックをただ処分するだけではなく、リサイクルして有効活用すればいいことは分かっているのだが、打ち上げられ素材の質がそれぞれ異なっていたり、それ自体すでにリサイクル品かもしれなかったりするため簡単ではないのだ。
2013年10月に、漂着したプラスチックを使った「ECOTTE」という工具箱を製造しました。再生材100%でつくったのですが、案の定割れました。再生材で強度を求めるのは、非常に難しかったですね。ちなみに今の「ECOTTE」は普通のプラスチックです。

代々培ってきた信用に傷をつけるわけにいかないため、再生材を使った工具箱はすぐにやめたという。

その失敗があるから、再生材には手を出さないことにしました。

だが、プラスチックメーカーとしての責任も感じていたという祐太氏。
2019年頃から、製造業の展示会で「脱プラスチック」を謳う製品が目立ってきた。顔にストローが刺さったウミガメの画像が、あたかも脱プラスチックの象徴のようにSNSで拡散された頃だ。また、そこにビジネスチャンスを見出そうとするメーカーも現れて、環境への配慮が置き去りにされている様相も呈し始めていたことに、祐太氏は疑問をもった。
それがどうしても嫌でした。僕らはプラスチック使い続けるために、歴史を守って、ずっと長期的に発信しようとしてやってきたので。


再生材100%だと強度が足りないので、材料に再生材を10%配合して製品をつくったのが2023年4月のことだった。
「10%も入れた」「たった10%」、見方は人それぞれだという。
「対馬オーシャンプラスチックバスケット」と「対馬オーシャンプラスチックボックス」の2アイテムがつくられ、バスケットは1個につき100円、ボックスは1個につき200円が対馬市へ寄付される。

ほかにもオーシャンプラスチックを配合した製品を展開していきます。その際は100gにつき100円を、対馬市へ寄付いたします。


プラスチックを使い続けるために!プラスチック製工具箱のトップブランド企業の<向き合い方>


ちなみに、「対馬オーシャンプラスチックバスケット」は大阪・関西万博2025の公式ライセンス商品会場内オフィシャルストア用のショッピングバスケットとして、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会へ協賛している。

また環境省選定「ローカル・ブルー・オーシャン・ビジョン事業」の一環として、生駒市内の小中学校の児童に対して対馬市のプラスチックごみ問題と併せて、プラスチックとの正しい向き合い方や捨て方について学んでもらう機会を設けている。
最後に、これからの展開について吉弘氏に聞いた。

今までの商品展開が職人さん向けだけでしたから、裾野をもう少し広げたい。一般の方にも、リングスターの名が浸透する会社にしたい思います。


製造現場で自社製品を使っている職人さんを見かけたら、つい声をかけてしまうという吉弘氏。
「モノがいいから」といわれることが至福の瞬間だと、顔をほころばせた。

プラスチックを使い続けるために!プラスチック製工具箱のトップブランド企業の<向き合い方>



株式会社リングスター
本社:大阪市城東区東中浜3-19-16
営業本部 ロジスティクスセンター:奈良県生駒市北田原町1208-5
オフィシャルサイト:https://www.ringstar.co.jp/