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大阪銘菓を作る100年企業の4代目  非創業家出身者が次の時代の礎を築く
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大阪銘菓を作る100年企業の4代目 非創業家出身者が次の時代の礎を築く

2024.05.10
株式会社ふじや 株式会社法善寺あられ

株式会社ふじや 株式会社法善寺あられ 代表取締役社長 園田伸一郎 氏

                                                                

地下鉄心斎橋駅を出て、心斎橋筋北商店街を北に向かって歩くとすぐの角にある、あられ屋さん。といえば、多くの大阪の人の目には店先に賑やかにあられやおかきが並べられた、あの光景が広がることだろう。そのお店とは、法善寺あられ心斎橋本店だ。

創業は大正9(1920)年に遡り、歴史は100年を越えた。出発は、珍味を取り扱う商店。戦後からしばらくが経った昭和28(1953)年にあられの生産を始め、それと同時に法善寺横丁の向かいに店を構える。「法善寺あられ」の名は、当時店舗があった場所から付けられた。今や大阪を代表する銘菓を手がけるのが、大阪市西区の堀江に本社を構える株式会社ふじや。現在は4代目となる園田伸一郎氏が、代表取締役 社長を務めている。

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もともとは、私の父がこの会社に勤めていました。当時は3代目社長が経理全般を担当し、取締役専務の父が営業を取り仕切っていたんです。私は畑違いの職場で仕事をしていたのですが、当初アルバイトとして入社して社員になりました。そこから30年以上になりますね



4代目社長は、創業家に血縁のない人物



長い歴史を重ねてきた企業であれば代々、創業家に血縁のある者が後を継いでいくケースが多い。だが、園田氏はそうではない。

私はこの会社に入ってずっと営業部門で働いていたのですが、3代目が社長の座を退いて会長になることになって、その際自分に『4代目社長就任』のお声掛けをいただき、2022年の6月、正式に社長におもむくこととなりました

創業家の血筋で、3代続いた会社を受け継ぐ。そのことに対するプレッシャーは、相当なものだったという。
先ほども申しましたように、私の父親が営業部門の責任者で、私に対しては息子ということもあってすごく厳しかったんです。今、考えればそれが愛の鞭だったとは思います。どちらかといえば昔気質のワンマンなタイプで、私だけではなく、周りも父親が『こうや!』と言えばだれもノーと言えない環境でした。そうやって30年以上いっしょに仕事をしてきましたが、父親は顧問になって一線を離れ、前社長も会長になって経営から退く。経営陣がまったく違う人間になって、新たなふじや社に変わることになります。それに私が社長に就任した時期は、まだコロナ禍の影響も尾を引いていましたし、正直不安でしかなかったですね


株式会社ふじやは、2024年4月から72期を迎えた。これを80期、100期と続けていけるようにすることが自分の使命と捉え、園田氏は社に変革の手を入れる。

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歴史の長い会社ですから、継承していくべきことは多くあります。ですがその一方で父や先代から長く引っ張ってきた古い部分もあり、会社の体質として時代にマッチしていないところも残っています。ですからそれを変えるための新たな取り組みに、まずは手を付けました


具体的にはコンピュータによる基幹システムを入れ替え、社としての関心度が低く、脆弱だったネット環境のセキュリティも最新のものに更新。全従業員にスマートフォンを支給し、一部の営業マンにはノートパソコンを導入するなど、現代の環境に対応できるよう、まずはインフラ整備から始めた。いわば長い歴史を刻んできた看板はそのままに、中身は令和仕様にアップデートしたのだ

本社を始め工場・物流センター・本店の電話回線も今の時代に対応したものに入れ替えました。それに本社のオフィスは私が入社してから30年以上、なにひとつ変わっていなかったんです。みんな、これが当たり前だと思っていたんでしょう。だけど今は決まった席ではなく、フリーアドレスで仕事をする時代じゃないですか。オフィスも改革して、従業員さんがより力を出せるような働きやすい職場に変えていきたいなと考え、徐々に改善している状況ですね

社歴が長い社員のなかには、変革に難色を示す者がいなかったわけではない。そこで園田氏は剛腕を振るうのではなく、丁寧に対話を重ねながら理解を求めていった。

実は父親のワンマンぶりが、私はすごく嫌だったんです。だれも歯向かえないから、みんな自分の意見を言わなくなる。今も少数精鋭でよく頑張ってくれている従業員さんばかりなので、私はともに話し合ってやっていくべきだと思うんです。かつての社風を徐々に変えていき、個々の意見を大事にし、やる気を出して自由に働ける企業に変えていきたいと考えています



変えるべきを変え、守るべきを守る



変えないといけないものに手を入れながら、守るべきは守る。そのひとつで主たるものは、原材料や製法にこだわった製品作り。

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原材料は契約農家さんにお願いして、減農薬栽培した米も使用して精米から焼きまで一貫して、弊社の職人が自社工場で作っているんです。製法に関しては品質が変わらない部分は機械を用いて、省力化を図っています。ですが、弊社のいちばんのヒット商品である『鬼サラダ』は昔ながらの製法を守らないと、触感や味が変わってしまう。そういったところは製品のクオリティを第一に考えて、昔からの作り方を守り続けています

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そうして伝統を守りながらも、時とともに時代は移ろいでいく。ふじや社がこれからも歴史を重ね続けていくためには定番品だけではなく、時代に合わせた商品が求められることも認知している。

新商品の開発も、もちろん行っています。以前から販売していた『海鮮あられ』を、インバウンドのお客様向けに改良しているのもそのひとつですね。それだけではなく、次の定番品になるような商品も必要だと考えています。弊社の商品をご購入いただく方は、完全に40~70代の女性が中心なんです。つまりそれ以外の、たとえば30代以下の世代に向けてのアプローチは、今の課題ですね。より購入しやすい価格で、なおかつパッケージデザインも工夫して、OLさんのハンドバッグのなかに入っているようなイメージの新商品を開発して5月から販売します。ほかにも20~30代のサラリーマンの方が、たとえば出張で新幹線に乗って、車内でちょっとしたお酒のおつまみになるような新商品にもなります

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歴史と革新が融合したとき、あらたな「ふじや」が生まれる



社内の環境改善を図り、同時に次の時代に向けた新商品開発。就任からわずか2年ほどながら、4代目は精力的に動いている。次に目指すのは、商品の全国展開。

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今後いちばんのメインになってくるのは、『法善寺あられ』をはじめとした商品の全国展開ですね。そのためにはマーケティングや他社さんとの差別化が必要ですが、そこは弊社がこれから強化していかないといけないところです。SNSを活用するのがいいのか、あるいは別の方法があるのか。そこをどうしていくかは私の課題であり、会社全体の課題でもあると認識しています。例えば「大阪みやげといえば、法善寺あられ!」のポジション獲得です


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創業者一族から経営者が替わり、なおかつ時代も変わった、現在のふじや社は、いわば第2創業期にあるといえるだろう。

そうですね。これまでは順調に売り上げを伸ばしていましたが、今はそれが鈍ってきているのは否めません。だからこそ、ここからがステップアップしていくタイミングだと思いますし、そのためにいろんなことにチャレンジしていこうと考えています


園田氏は昭和の風土が根強く残っていた社風を改善するべく動き、社員がモノを言え、社もその声を有機的に活用する環境に変えようとしている。それは一朝一夕に果たされないかもしれないが、やり続けることで必ずや成果を実らせるはずだ。そのときに本当の意味で歴史と革新が融合した新たなふじや社・法善寺あられが誕生し、そこからまた魅力的な商品が届けられることだろう。

株式会社ふじや 株式会社法善寺あられ
本社:大阪市西区北堀江1丁目4番12号
オフィシャルサイト:https://fujiya-houzenjiarare.co.jp/