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「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社
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「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社

2026.09.17
株式会社セフテック

株式会社セフテック / 代表取締役 橋口 大 氏



 普段は目立たないが、人々の安全を守るのに欠かせないもの。消防・防災設備は、その一つである。橋口大氏が代表取締役を務める八尾市の株式会社セフテックは、そんな消防・防災設備の販売と施工・工事に保守点検などを手がけている。同社は避難器具メーカーに勤めていた、橋口社長の父親が独立して創業。当時の橋口社長はまだ大学生。卒業後はスポーツ用品を扱う商社に入社した。

「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社

 当時は父の仕事を継ぐとか、手伝うといった考えはまったくありませんでした。ですが商社の仕事は朝早くから夜遅くまでと、結構ハードだったんです。それで父に『今の仕事、しんどいねん』と相談したら、『ほんなら、いっしょにやるか』みたいな誘われ方をしました。父は個人事業として始めていましたが、そのころは法人化して、業績も順調に伸びていました。やったことがないので、どんな仕事なのかはわかりませんでしたが、とりあえずやってみようかという気持ちで誘いを引き受けたんです

 橋口社長は業界素人ゆえ、最初はとにかく教えられたことを忠実にこなしました。この仕事にはさまざまな資格が必要なため、勉強して資格を取得していった。そうするうちに仕事も覚え、当時は工事専門だった会社に、新たに点検も請け負うことを提案。これが先代社長に受け入れられ、取り扱う業務の幅を広げると同時に、売り上げも伸ばしていった。そして2016年に先代が一線を退き、新たに代表取締役に就任。その直前に橋口社長は、社内の改革を提案しました。

 それまではずっと家族経営でしたが、私は社員さんを迎えてやりたいと思っていました。それで代替わりするタイミングの前に、『僕が社長をやるんやったら、社員を入れてやる』と父に言ったんです。父はもともと会社員で、採用にも携わっていました。だから身内だけでやっている会社に人をいれたら、苦労するのはわかっていたと思います。『やめといた方が良い』とは言われましたが、『やりたいなら、やってみなさい、』と任せてくれました

 工事専門だったところに点検も請け負い、増加した仕事は協力会社の助けを借りてこなしていた。仕事は順調だったが、会社を大きくするなら家族経営のままではいけない。そう考えた橋口社長は社員を雇い入れる方向に舵を切った。

 弊社としても私としても、そこは大きな転機でしたね。だけど、最初は……

と言って、苦笑いを浮かべながら話を続ける。


「誰でもいいから」と採用した人たちは
朝は来ない、休憩から帰ってこないとハチャメチャ



「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社

 もう、めちゃめちゃでしたね(苦笑)。募集もかけてはいましたが、こんな家族経営のところに来てくれる人はいなくて、先輩らに『誰でもいいので、誰かいませんか』と声をかけてお願いしていました。そうしたら来てくれた人はいたのですが、私の常識とはかけ離れた人ばかり……。朝は来ない、休憩に行ったら戻ってこない。領収書を偽造した人もいました。それでやっぱり、『誰でもいい』ではアカンのやと学びました

 そこからは採用に対する考え方と、取り組み方を改めた。どんな人物を求めているかを明確にし、人づてばかりでなく費用を投じて求人サイトなども活用した。

 時代の流れも良かったのかもしれませんが、5年くらいで従業員が8人にまで増えました。とはいっても会社としては来た仕事をこなすといった感じ、組織としては成り立っていませんでしたね。今から思えば申し訳ないのですが、私は当時、従業員を『手足』と捉えていたところがあったのだと思います。だから彼らも自分で考えることなく、目の前にある仕事をこなすだけになっていました

 そのような状態では、会社として行き詰まるのは当然のこと。従業員同士の諍い(いさかい)が頻発するなど、社内の雰囲気も良くなかった。そしてとうとう、8人の従業員のうち5人が短期間に次々と社を離れていく事態が起こった。

 あれは本当に、辛かったですね。1年にひとりだったらまだしも、一気に離れていきましたから。こうなったのは、『自分に問題があるんやろうな』と思わされました。知識やスキル以前に、もっと人を大切にしなければいけない。社員さんの家族も、私たちにとっては社員さんである。それを含めて、大家族と考えなアカンと。次からはそのことを考えて採用しようと取り組み、そこから少しずつ変わってきました


採用方針を転換したところにコロナ禍
これが、「災い転じて福となす」転機に



「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社

 橋口社長が姿勢を改め、新たな人材が社に加わってきたところで、突然のコロナ禍に見まわれた。当然、会社の売り上げは落ち込んだ。しかし、悪いことばかりではなかった。

 コロナが騒がれ始める前の2019年12月くらいから多くの人を採用していって、緊急事態宣言が出たのが2020年4月。みんな未経験の人で、十分に育っていない状態でした。仕事がないし、こんなときやからこそ、資格を取る勉強をみんなでやろうと取り組みました。この仕事にまつわる資格の数は、10種類では収まりません。資格を取れば取るほどできる仕事は増えますし、給料にも反映されます。あの時期はみんなが頑張って勉強をしてくれて、そのときに資格を取った社員たちが、今は中心になってやってくれています

 現在は当時を経験したメンバーが積極的に資格を取る流れを社内に作り出したり、未経験で入社してきた者にも仕事を教えられるという好循環が生まれた。

 会社全体として成長する、前進するといった姿勢は、昔と比べるとずいぶんと出来ていますね。会社を大きくするというか、しっかりと社会に貢献しながら利益を上げて、給料も上げていこう。そういう意欲をみんなで持って、頑張ってやっています

 会社の風土が醸成され、目立たなくとも社会にとって必要な仕事に対して、社員たちのプロ意識も高まった。社員の誰もが積極性と向上心を持ち、各々が万一の事態に備える自らの役割に対して誇りを持って取り組んでいる。外部人材の採用を始めたころは整っていなかった組織が、今では確かな形を成している。「災い転じて福となす」とは、まさにこのことであろう。


「社員さんは自分の家族を、いちばん大事にしてほしい」
トップはそう願い、そのための支援も会社として行う



 セフテック社の同業他社にない強みは複数あるが、そのなかで大きなものは点検から工事、さらには消防申請まで、一括で対応が可能であること。いずれかの業務のみを請け負う業者が多いなか、橋口社長は事業継承したころから、すべてを自社で担う体制を思い描いていたという。

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 点検を始めたころから、この流れを作りたいと思っていました。点検をして不具合のある箇所の改修を提案して、実際に直していく。これを当たり前にしていきたいと思っていて、今はその体制が整っています。点検と工事では仕事の質が違うのですが、弊社は両者の連携が上手く図れているので、点検から工事の流れが作れている。それが他社にはない強みだと思っています

 会社を成長させるための当面の目標は、従業員を30人まで増やすこと。そのためには、会社の基盤をさらに強くする必要がある。

 そのためにまず一番大切なのは、人だと思うんです。人材育成に、もっと力を入れていかないといけない。まだまだ『現場で覚える』といったところがあるので、まずは教育体制を整えていく。新しく入ってきた人たちに、社内で教えられるようなシステムを作っていかなければなりません。資格取得者が多くいて、彼らが未経験で入社した人に教えてあげる場面も日常的にありますが、会社として教育の仕組みを体系立てて築く必要があると考えています


「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社


 社内の教育環境を整え、その先には支店を増やしていくことを目標に掲げている。

 現在、営業所は奈良に1店ありますが、今後は神戸方面に支店を出したいと考えています。そのためには、業務を任せられるチーム数を増やしていきたい。幸い、今では仕事を任せられる人材が育ってきています。そこに別の社員さんが入って経験を積み、成長した人たちが中心になって新たなチームを作っていく。そういうチームを複数作っていければ、事業を拡大していけると考えています。そうやって西日本に広げていき、やがては父の出身地である長崎まで行けたら面白いなと。今のところは、夢のような話しですけど(笑)


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 経営を引き継いだ当初は組織の作り方もままならず、自らも自分勝手だったと省みる。あれから経営者としてさまざまな経験を積み重ね、あの失敗があったから、今があると思えるまでになった。そんな橋口社長が従業員に願うのは、自分の家族を大事にしてほしいということ。そのための支援も、会社として行っている。

 社員さんにはみんな親御さんや配偶者・子ども、それぞれの家族がいます。社員さんには、自分の家族をいちばん大事にしてほしい。人生の土台にあるものは、絶対に家族なんです。家族があっての仕事であり、家族を幸せにできる人は仕事もできると私は思っています

 たとえば子どもの授業参観などがあれば、会社としてはそちらを優先してもらうスタンスでいる。

 実際に男性のパパ育休も3人の取得実績があり、家族との時間を大切にしてもらっています。周りがフォローしていくことも大事ですが、みんなが実際にそうしてくれているので助かっていますね

 従業員は平均年齢33.6歳と若く、女性社員も多くて社内は和気あいあいとした雰囲気。社長が取引先と電話している後ろで、従業員たちが笑い声を上げていることもたびたびあるが「明るいことが、なにより」と受け入れる。

「社長自身の経営者としての成長が、会社の成長につながったのでは?」と話を向けると、橋口社長は顔の前で手を左右に振り、「いやいや、自分ではわからないですよ」と優しい笑顔を浮かべて答える。だがそんな実践・勉強ができる場所には積極的に顔を出し、成功している経営者を訪ねては教えを請う。資格の取得を奨励している従業員もそうだが、経営者も日々、勉強せねばならないことを心得ている。

 みんな頑張って、それぞれに成長してきてくれています。その姿を間近に見ているからこそ、私がいちばん勉強せなアカンと思わされていますよ(笑)


 この取材を通じて感じられたのは、橋口社長は剛腕を振るって従業員を従わせるタイプの経営者ではないことだ。そんなセフテック社のトップは、代替わり時の外部人材採用の失敗から学びを得て、経営者として成長してきた。自社が取り扱う消防・防災設備のように、普段は強く自己主張しなくとも、それがあるゆえの安心感を従業員たちに醸しながら、橋口社長はこれからさらに自社を発展させていくことだろう。

「人を大切にする経営」で躍進を続ける 防災設備会社

株式会社セフテック
本社:大阪府八尾市志紀町西4丁目89番1
オフィシャルサイト:https://seftec.jp/