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「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦
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「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

2025.12.02
合同会社wakka





合同会社wakka  / 代表 久保綾佳 氏



2009年に始まり、すっかり大阪の冬の風物詩となった御堂筋イルミネーション。2023年からその演出を担っているのが、照明デザイン会社「合同会社wakka」代表の久保綾佳氏だ。光を用いて建物の魅力を引き出し、街や人々の暮らしに寄り添ってきた久保氏。照明デザイナーとして、都市と人との関係を豊かにすることを大切にしながらキャリアを重ねてきた。今回は、そんな久保氏のこれまでの歩みと今後の展望を伺った。

「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

ものづくりが身近だった幼少期。建築物の撮影から光に興味を持つように



久保氏の出身地は奈良である。子どものころは照明や建築物に特別興味を抱いていたわけではなかったが、家には「ものづくり」が息づいていたという。父親は電子デバイスの回路設計の開発者で、家には半田ごてが転がっていた。祖父は工作機械を作る工場を経営していたといい、身の回りに技術や創意工夫の空気が漂っていたことは確かである。 高校では文系クラスを選択。将来は国際関係の学部に進みたいと漠然と考えていたという。しかし思わぬきっかけで、建築分野に興味を抱くようになった。

テレビ番組『大改造!!劇的ビフォーアフター』(※1)を見たことが転機です。住宅リフォームを見せる番組で、建築が人の暮らしを劇的に変えるのを目の当たりにしたんです。仕事で目の前の人を、こんなに喜ばせることができるんだと衝撃を受けました

※1 『大改造!!劇的ビフォーアフター』は、朝日放送テレビ(ABCテレビ)制作のリフォーム(リノベーション)をテーマとしたバラエティ・ドキュメンタリー番組。自宅として利用している戸建住宅やマンションなどが抱える様々な問題(老朽化、狭小、生活の不便さなど)を、「匠(たくみ)」と呼ばれる一流の建築士や専門家が、知恵と技術で見事に解決し、**劇的に大変身(リフォーム)**させる様子を追う内容。完成後の「アフター」の劇的な変化と、それによって依頼者家族の生活や絆がどう変わったか、という感動的な結末が大きな見どころです。
この気づきで進路を大きく変更。進学先は大阪市立大学(現・大阪公立大学)の生活科学部居住環境学科を選んだ。理系・文系どちらも受け入れる学科であり、ここで久保氏は住宅やインテリア設計を学ぶ。
大学では「ヒューマンスケール」という、人の体格や感覚、生活に即した空間設計に向き合う。授業では実際に土地を観察し、そこにどのような住宅を建てるかを考えたり、椅子を自作したりと、生活に直結する設計に触れた。

授業では建築物を撮影する機会が多く、その中で光に強い興味を持つようになりました。建物は時間帯や角度によって違う表情を見せることを、写真を通して実感したんです。光が建物や空間に大きな影響を与えることを体験し、照明への関心が深まりました


「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

大企業で住宅設備を提案。「専門性を高めたい」思いから転職に踏み切る



卒業後はパナソニックホームエンジニアリング株式会社(現・パナソニック建設エンジニアリング株式会社)に入社。キッチンや浴室、床材、建具といった住宅設備を総合的に扱う会社で、扱う設備に照明も含まれることから入社を決めたという。 業務では家を建てる施主に向けて、住まいの“中身”をトータルで提案する業務に携わった。

仕事は、お客様のご要望を聞いてショールームに案内して、説明や提案をするような内容でした。入社時は京橋にショールームがあり、2年目には梅田のグランフロントに移転してリニューアル。その際は接客スタイルの方向性などの意見も出し合いました

ショールームの業務では毎日2〜4件の接客を行い、来館者の要望を丁寧にヒアリングしながら、最適な組み合わせを考える。色のバランスや機能性を踏まえた提案は評価され、アンケートには「久保さんでよかった」という感謝の言葉が並んだ。製品の魅力とともに、担当者としての対応に顧客が満足を寄せてくれることに、大きなやりがいを感じたという。

とはいえ、この仕事は完成形を自分の目で確認することができないんです。私がした提案はその後、営業担当や施工担当に引き継がれますが、完成した建物の様子を見ることはありませんでした

自分が手がけた案件を見届けることができないもどかしさ。大企業ならではの“縦割り”の限界も見えてきたという。 26歳を迎えたころ、「専門性を深めるなら早いほうがいい」と転職を決意。照明分野に本格的に踏み込みたいという思いから、少人数で大規模案件を手がける照明デザイン事務所・有限会社スタイルマテックに飛び込んだ。

照明デザイン会社で武者修行。イルミネーション案件に手応えを感じ独立へ



転職したスタイルマテックはわずか3名の小規模事務所である。そこで久保氏はCADでの図面作成、配灯計画、現場確認、夜間検証まで一貫して担うことになる。

入社時は照明に関して特別な技術があったわけではないので、右も左もわからないところからスタートしました。1年目は言われたことに対し必死に付いていく感じでした

同社が扱う案件はホテルや病院、タワーマンションなど、大規模かつ都市の“顔”となる空間だ。住宅中心だった経験から一転、スケールの大きな照明計画に向き合いながら、実務を通じて力を磨いた。大きな転機は2018年。御堂筋イルミネーションのコンペで、スタイルマテックの提案が採択されたのだ。所長から大幅な裁量を任され、ゼロベースでの企画から関係者との調整、実際の実装までを一貫して担当した。
「最初から最後まで自分の手で収める」経験は久保氏にとって大きな自信となった。

いける、と手応えを感じました。もともと独立を視野に入れての転職だったので、これがきっかけになり独り立ちへと踏み切りました

そして2019年、wakkaを設立。照明デザイナーとして、建築照明と演出照明の両輪で活動をスタートさせた。

「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦


目指すのは「光でまちづくり」。”輪”を広げ、多くの人と街の魅力を引き出したい



wakkaの事業は多岐にわたる。建築照明では、オフィス建築、分譲マンションの共用部、商業施設や住宅など幅広い。 演出照明では2023年と2024年〜2025年の御堂筋イルミネーションを手がけている。

2023年のコンペは万博の機運醸成を背景に、インパクトのある演出が求められました。インパクト勝負だったら、初めての挑戦でも勝算があると思いチャレンジしました

久保氏の提案はキタとミナミでレーザーを上げて「1970年と2025年を光でつなぐ」演出。年代ごとに色を変えた樹木イルミネーションやプロジェクションマッピングも組み合わせ、インパクトにストーリー性を落とし込んだ内容で高い評価を得た。 2024年は2025年度と連動。テーマは「育てる光」とし、2024年のイルミネーションを発展させた演出を、万博の始まった2025年4月13日から年末まで続ける。

「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

公共事業は利益が薄く、赤字すれすれになることもあるという。それでも「実績は信頼につながり、次の挑戦への名刺になる」と捉えてチャレンジを続ける。

街路灯などと違い、演出照明はなくても空間は機能します。しかしあることで雰囲気や感情を大きく変える力を持っている。ここに照明デザインの意義を見出しています

現在は一人で事業を切り盛りしながら、少人数の強みを生かし柔軟に動いている。今後は「わっか」の名の通り、同じ思いを持つ人々と輪を広げたい考えである。

電気施工会社、地域団体、インテリアやまちおこしに関わる人々と協働し、光でまちを変える挑戦を続けていきたいですね。領域を越え、何事も楽しんで挑戦できる仲間とともに、光で空間をつなぎ、まちの魅力を高めていければと思います


「光でまちを豊かにする」御堂筋イルミネーションを手がける照明デザイナーの挑戦

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合同会社wakka
本社:大阪市中央区北浜2-1-17 北浜ビジネス会館402
オフィシャルサイト:https://www.wakka-lighting.com