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50年を超え、愛され続ける街の本屋
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50年を超え、愛され続ける街の本屋

2025.12.16
株式会社西日本書店





株式会社西日本書店 / 代表取締役社長 金谷 文 氏



50年を超え、愛され続ける街の本屋

地下鉄南森町駅の3番出口を上がると、天神橋筋商店街の2丁目に出る。写真店、薬局、パン屋、喫茶店、飲食店が並ぶ一角に、誰もがふらりと立ち寄りたくなる“街の本屋さん”がある、西日本書店である。入り口には雑誌が並び、話題の本を集めた企画コーナーに目が留まる。ずずっと奥に入っていけば、新刊書はもちろんのこと、デザイン本、絵本、コミック等々、とにかく品揃えが豊富である。2024年6月に代表取締役社長に就任した金谷文氏に話を伺った。
-日本一長い天神橋筋商店街にある西日本書店は、地域密着型の街の本屋である。天神橋筋商店街周辺に勤務している会社員、散歩の途中に立ち寄る方、商店街で買い物がてらの方、そして訪日外国人が訪れる。

Q. 創業50周年を迎えられたそうですね。それ以前も書店をされていたそうですね。

はい。1975年に法人化して、今年で50年になります。創業したのは父です。福岡県の出身で、本が好きで、文章を書くのも好きでした。同じ商店街の中で父が小さな本屋を始めたのが1969年です

-西日本書店という店名は、西日本一帯に店を構えたいという創業者の思いからつけられた。アイデアマンで思い立ったらすぐに行動に移す自由人であったそう。最初の頃は店の奥をギャラリーにし、絵画や陶芸品を展示販売していた。

50年を超え、愛され続ける街の本屋

Q. 大変、品揃えが豊富ですが、どのようにして選んでいらっしゃるのでしょうか。

「現在、私と会長である母と妹を含めて6名のスタッフなのですが、長年勤めてくれているスタッフが多いんです。私の方からこうして欲しいというよりは、スタッフが自主的に思うことをしてもらえるようにしています。企画もアイデアを出し合いながら一緒に考えています。うちは、店長以下、スタッフが優秀で、それぞれに得意な分野をいかして活躍してくれています。例えば、店長は雑誌やビジネス書に詳しいですし、絵本や美術書に秀でているスタッフもいます。近くに天満天神繁昌亭があるので、落語ファンの方もよく来てくださるのですが、妹が落語に詳しいので、落語関連の書籍の品揃えを任せています。落語家の方もよく来てくださいます」

-専門分野に長けたスタッフがいるというのは本屋としての強みである。加えて、ひときわ目を引くのが店内各所にあるPOPである。立体模型のように作られているものもあり、その完成度の高さに驚かされる。一体だれが作っているのか聞くと...

店内のPOPは、すごい手先が器用なスタッフの手作りなんです。すごいでしょ


50年を超え、愛され続ける街の本屋

-POPの横に関西在住の作家が本を応援してくれていることに感謝の言葉を書いたコメントがあった。また、取次店と協力してイベントを企画することもあり、西日本書店に来れば、今話題の本、注目の本に出合える。
POP以外にも店内の陳列を見て驚いたことがある。本屋の陳列方法はいくつかあるが、大半の書店では、新刊書やベストセラーは一定期間平積みといって表紙を上にして陳列するが、定番商品は背表紙を見せて陳列する。しかし、西日本書店では、表紙を見せて陳列している本がかなり多いので、どんな本かが一目で分かり、知らなかった本にも出会えるため、買う側にとってもありがたい。店内が比較的広いので、こういった陳列が可能だと金谷氏はいう。


時代のニーズ、人の動きに合わせて並べる本も変化



-コロナ禍の時期は西日本書店はどうやって乗り越えてきたのだろうか。

コロナ禍のときは大型書店が閉めたり、商業施設に入っているところは閉めざるを得なかったのですが、うちは雑誌の売れ行きが増えました

-緊急事態宣言の期間(2020年4月7日〜5月21日)は、お客さんの数も売上も増え、大型書店が営業再開した後も、コミックの売れ行きが増えた。

時代の流れで客層の変化もありますが、それに対応していく品揃えをしています。訪日外国人の方には、ポストカードやコミック本、料理本も人気です。最近は子どもさんが増えたので、子どもさんが興味を持つ児童書なども充実させています

-ひと通りの多い天神橋筋商店街の中にあり、駅からも近いという立地を生かし、大型書店や郊外型書店との差別化を図っている。観光客も多い土地柄を生かし、店頭には大阪のグルメ本が並んでいる。
また、街の本屋ならではのありがたいサービスもある。定期購読であれば、配達料無料で雑誌を届けてくれるサービスである。雑誌は発売日から一両日中には届けてくれる。また、注文の書籍、コミック等も届けてくれる。

街の本屋であり続けるためにめざすこと



-金谷氏の母親であり、現会長でもある石井久二子氏は、午前中は必ず店に出て接客をしている。創業者である父は56歳で他界し、以来、西日本書店を支えてきた。アイデアマンで次々に実行するため失敗もあったそうだが、創業者の遺伝子はどうやら金谷氏にも受け継がれているようだ。

父はお酒を扱う店と提携して地酒展をしたりしたこともあるのですが、私は雑貨が好きなんで、来てくださるお客様に楽しんでいただけるようにアクセサリー作家さんのものを置いていて、なんだか父と同じようなことをしているなって思うことがあります。父が土台を築いてくれたんだと思います


50年を超え、愛され続ける街の本屋

-常にお客さん第一に考え、喜んでいただきたいという思いが強い金谷氏。年配の方は欲しい本の発注が気軽にできるのでよく利用してくれるという。 今後、やっていこうと考えていることはあるのだろうか。

街の本屋として地元とのかかわりをベースにしていきたいと考えています。天神橋筋商店街とのかかわりや、街に住む人とのかかわりを大事にして行こうと思っています。住んでいる街に本屋があってくれてよかったと言ってくださる方を大事にしていきたいです。電車に乗って本を買いに来てくださる方もいるんです。うちでしか手に入らない本ではないのに、わざわざ来てくださるのはとてもありがたいです

-街の本屋を続けてほしい。街に本屋がなくなっては困る。そんな思いを持ち、西日本書店を訪れるファンも多い。

本屋を待ち合わせ場所に使ってほしいです。本を手に取っていただけば、知らない本に出合ってもらえるので、リアルの楽しみを味わっていただきたい。そのためにも本屋に来たくなるようなことをこれからもやっていきたいです


50年を超え、愛され続ける街の本屋

愛され続ける街の本屋であり続けるために、常に時代の変化を見据えている。いくらネットで本が買えても街の本屋があってよかった。本を探しに出かけよう。そんな気持ちはなくなりはしない。西日本書店が街の本屋として果たしている存在価値はとても大きい。

株式会社西日本書店
本社:大阪市北区天神橋2丁目北1-14
オフィシャルサイト:https://www.books-nishinihon.com/