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食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。
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食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

2025.10.28
創作料理 一喜(いちき)





創作料理 一喜(いちき)/ 代表 吉岡 篤 氏



近鉄瓢箪山駅から南へ徒歩3分、ジンジャモール商店街を抜けた先に「創作料理 一喜」がある。25年前、店主の吉岡篤氏が父とともに立ち上げた店だ。

吉岡氏が何よりも大切にしているのは「在り方」である。お客さまには丁寧なコミュニケーションを通じて言葉の奥にある思いを汲み取り、スタッフには仕事の姿勢の大切さを伝え続けている。
「飲食は最も身近な非日常のエンターテインメント。特別な日に選ばれる店でありたい」と語る吉岡氏。その歩みと未来への展望を追った。

食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

父の一言がきっかけで料理人の道へ。やがて親子で店を立ち上げる



「『一喜』という店名は祖父母の名前から1文字ずつ取った名前です。店のルーツは祖父母の代に遡ります」と吉岡氏。祖父母は奈良・橿原神宮近くで料理旅館を営んでいたが、火事で廃業を余儀なくされ大阪に出てきたという。大阪では布施の近大通りで食堂を経営。その背中を見て育った吉岡氏の父親も、自然と同じ道に進んだという。
祖父母・父親と飲食業の家系だが、吉岡氏は家業を継ぐ気はなかったと明かす。しかし高校時代、転機となる出来事があった。

皿洗いなど、店の手伝いはしていました。ところがある日、父親から『お前のしているのは作業や。作業と仕事は違うんや』と言われたんです。この言葉が強く胸に刺さったんです

作業と仕事の違い、それは何なのか? その答えを知りたい。高校3年だった吉岡氏は急遽、進路を大学進学から調理師専門学校へと変更した。突然のことに担任教師は驚き、何があったのかと自宅まで訪問したという。
卒業後は調理師専門学校に進学し、和洋中とあらゆるジャンルの料理を学ぶ。フレンチに憧れつつも和食の奥深さに魅せられ、大阪・なんばの割烹料理店に就職した。住み込み勤務の厳しい修行時代を経て、2000年に父とともに「創作料理 一喜」を立ち上げる。吉岡氏が20歳のときだった。

食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。


「一喜が売るのは料理ではない」記憶に残る時間を過ごす店に



一喜の料理は和食をベースに、洋食や中華のエッセンスを取り入れた創作料理だ。人気は「カニとキノコのウニソース焼き」や「牛タンのやわらかサイコロステーキ」などで、多くの常連客に支持されている。しかし吉岡氏は「うちは単に料理を売っているのではない」と力を込める。

食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

私たちが提供しているのは、お客さまが食べた後のその先の感情なんです。食後に『楽しかった』『また来たい』と思ってもらえる店の在り方を何よりも大切にしています

食は人の生と死に関わっている。お食い初めから葬儀の会食にいたるまで、食は人の節目に関わり、生を彩る存在なのだ。だからこそ一喜でのひとときが記憶に残り、世代を超えて来店してもらえることが何よりの喜びだという。

店は15年前に父から吉岡氏へと世代交代する。

食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

祖父母の名前をつけたこの店をこれからも大事にするためにも、店の理念は非常に大切だと考えるようになりました。飲食業の10年生存率は1%と言われていますが、生き残っていくためにビジョンは必須です

三代目となった吉岡氏の代では「感情を届ける」という明確な軸を育て上げた。飲食店は単に腹を満たす場ではなく、お客さまの人生をともにする同伴者としての誇りがそこにあるのだ。


きっかけはリーマンショック、集客を学び社会に還元



吉岡氏は厨房に立つだけでなく、集客に悩む飲食店に向けたコンサルティング業も手がける。吉岡氏が集客の重要性を認識したのはリーマンショックがきっかけだったという。

未曾有の経済危機は当店にとっても大打撃でした。起死回生にと、父親が2店舗目を出したのですがそちらも大苦戦。積極的な集客が必要だと痛感しました


そう振り返る吉岡氏。店で待っていても始まらない。店の認知を広げ、来店を促したい。自らビラを作り配り歩いた取り組みは、やがて成果へつながる。この経験が集客コンサルティングへと発展した。

食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

スマートフォン普及で世の中に広がる情報量は爆発的に増えました。父の世代と違い、『おいしい料理さえ作れば客が来る』という考えはもはや通用しません。選ばれる店になるには戦略が必要です


吉岡氏の提供するコンサルティングは半年契約である。これはクライアントを長く依存させずになるべく早く自立を促すためだという。「この期間に必死で勉強して、必ず卒業してほしい」と力を込める。

さらに現在は仕出し弁当や宅配事業も展開する。

店内は席数が決まっているので店舗運営の売上には上限があります。しかし宅配事業にはその制約がないのが大きなメリット。うちの仕出し弁当は、法事の会食や、企業のセミナーで出される弁当などで利用されています


コロナ禍では国からの飲食店への協力金を「社会に返す」思いで、感染者へ無料で弁当や冷凍食品を配布した。店を開け続けることが取引業者の支援にもなると考えたのだ。コロナ後は地域から「助けてもらった」と感謝の声が集まった。その経験は、飲食業が単なるビジネスではなく、人と人を支え合う社会的役割を持つことを再認識させたという。

結果として緊急事態宣言終了後、コロナ前を超える売上を記録しました。理念に基づく行動が信頼と繁盛をもたらすことを実証しました


食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

小さな店だからこそ「逆張り」(※1)で。人を育て、笑顔の町をつくる



吉岡氏の視線は、既に未来を見据えている。今後は自身が培った経験を若い弟子たちに伝え、独立を望むスタッフには支援の仕組みを整えたいという。

※1 逆張り(ぎゃくばり)とは、多くの人がとる世間の一般的な流れや常識、多数派の意見に逆らって、あえて少数派の選択をしたり、人と異なる行動をとったりする考え方のことです。

料理を通じて、料理人として成長してもらうことが大前提。テクニックを追うのではなく、人としての“在り方”を何より大事にしています。事業承継についても血縁にこだわらず、人に寄り添える在り方を持つ人なら託したい


食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

単に料理の技術を磨くだけでなく、人としての生き方を重んじる姿勢は一貫している。将来は、自らが主人公でなくてもかまわない。町に笑顔あふれる飲食店が増え、経営者が楽しそうに働く姿こそ理想なのだ。

非日常を楽しむ空間だからこそ、お客さんを楽しませる経営者自身が笑っていないと意味がないんです

AIが発展する時代だからこそ、「小さな店は逆張りで人間臭くやっていきたい」と言い切る吉岡氏。客とのコミュニケーションを大切にし、声にならない声を拾い上げることが生き残りの鍵だと信じている。

食べた後の感情を売りながら、人としての在り方を教える!それが一喜。

作業と仕事の違いは今でもわかりません。しかしそれを問い続けるのがこの仕事だと思います。古臭い言い方だけど、料理は愛しかない。愛を持って人に接することが、やがて町を豊かにすると信じているんです

創作料理 一喜の挑戦は、一軒の店を超えて、飲食業界と地域社会を照らす灯火となるに違いない。

創作料理 一喜(いちき)
本社:大阪府東大阪市神田町3-3-8 門脇ビル 2F
オフィシャルサイト:https://ichiki-sousaku.net/