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一度食べたらもう一度食べたい!川浦農園のイチゴは記憶に残る味
東大阪市小売・流通飲食・フード農林水産

一度食べたらもう一度食べたい!川浦農園のイチゴは記憶に残る味

2023.02.17
川浦農園(KAWAURA FARM)

川浦農園(KAWAURA FARM) / 代表 川浦慎太郎氏

                                                                

東大阪市といえば、町工場のイメージが強い。しかし大阪府が認証する(※1)エコ農産物が大阪府下でナンバーワンの件数を誇っているエリア。そんな東大阪、梅田から20分大阪メトロ・中央線の長田駅から北へ10分ほど歩くと、ビニールハウスが見えてくる。そう、ここでイチゴを栽培しているのが川浦農園(KAWAURA FARM)の代表・川浦慎太郎氏だ。

一度食べたらもう一度食べたい!川浦農園のイチゴは記憶に残る味

カフェのような直売所で販売されている自慢の(※2)「紅ほっぺ」は、芯まで赤くほっぺが落ちるほどおいしいと名付けられた名前の由来通り、果汁が豊富で酸味と甘みのバランスのいいイチゴである。ビニールハウスの隣にある直売所は、まるでケーキ屋さんのようなかわいい造り。中に入った途端、真っ赤な「紅ほっぺ」が目に飛び込んできた。イチゴ好きなら見ただけで「これ、絶対おいしい」というに違いない。朝に取材に伺ったこともあり、直売所の奥では、イチゴの箱詰め作業に追われていた。箱詰めしているのは全員女性。川浦氏以外、スタッフは全員女性なのだそう。代々続く農家ではあるが、最初からイチゴを栽培していたわけではなく、川浦氏が後を継いでからイチゴ栽培を始めた。今ではイチゴが一番の主力作物。ただ川浦氏が農家を継ぐことになったきっかけは、突然だった。

※1)大阪エコ農産物:農薬や化学肥料の使用量を通常の半分以下で栽培された農産物のこと。より安心で、環境にも配慮した農産物を届けるために様々な工夫をしながら手間をかけて栽培されています。また大阪府が市町村・JA等と連携し「大阪エコ農産物」として認証している。
※2)紅ほっぺ:イチゴの品種。2002年(平成14年)に品種登録されたイチゴの品種。「章姫(あきひめ)」と「さちのか」をかけ合わせて生まれた。甘味が強く酸味もやや強めで、イチゴ本来の甘酸っぱさが堪能できる。


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父には「ずっと一緒にやろうか」と言われていたんですが、大学卒業後、農協に就職して最初は(※3)営農経済に在籍し、いろんな農家と接する機会が多かったのでよかったんですが、それから(※4)信用事業に配属、農家に行く機会もなくなり、少し仕事がつまらなくなっていました。そんな時、父が急死したんです。

(※3)農協営農経済:農協の言う「営農」とは、「組合員の方が農業を通じて働きに見合った所得を得て、健全な農家経営・農村生活を行えること」を意味します。
(※4)農協信用事業:信用事業とは、 「JAバンク」として一体的に金融サービスを提供することを意味し、農協の信用事業は、組合員などから貯金等を預かり、それを原資として、組合員などに貸し出しを行うものを意味します。

子どもの頃から、農家を継ぐことは無意識のうちに刷り込まれていたという川浦氏だが、まさかこんなに早く継ぐことになるとは思ってもみなかった。当初は周囲に助けられながら田んぼで米作りだけをやるのが精いっぱいの状況だったという。

農業を継いでから1~2年は迷走を続ける



農協を辞めて1~2年は迷走をしていました。「農業」ということに対し東大阪の農家さんであまり本腰を入れてる方に出会えてなかったんです。「これって本当に農業っていえるの?」と心の中で思っていました。そんなとき泉州の農家さんに出会い刺激を受けたんです。そこはキャベツ・玉ねぎ・等を作っている「(※5)射手矢(いてや)農園」さん。大阪では数少ない大規模農家で、かなり刺激を受けまして、農地の大きさも違うのにこちらでキャベツを育ててみたりもしました。


一度食べたらもう一度食べたい!川浦農園のイチゴは記憶に残る味

(※5)射手矢農園:射手矢農園は大阪府南部の泉州エリアで泉州玉ねぎを中心に栽培をされているトップランナーで十代続く伝統ある農家です。代表は射手矢康之氏。農業を通して食の大切さを知ってもらう活動をされています。

川浦農園の作付面積は60アール(約6,000平方メートル)、決して大規模農家ではない。キャベツというのは、連作障害が出やすい作物なので同じ畑で栽培するときには、2~3年ほど開けてから作らなければならず、小規模農家には向かない野菜であった。
正直、資料を見ても立地を考えても、僕が一人で栽培するにはキャベツは現実的ではありませんでした。そこで狭い限られた土地で儲けを出すためには水耕栽培がいいと思い、いろんな業者に当たり、それにはかなりの初期投資がいるのかが分かってきました。そんな時、(※6)水耕栽培の業者の方に「イチゴもありますよ」と言われたんです。

(※6)水耕栽培:水耕栽培とは、土を使わず、水と培養液で植物を栽培する方法のこと。草や花などの植物をはじめ、野菜や果物なども育てることができます。主にレタスやサラダ菜・ほうれん草・小松菜・三つ葉といった葉野菜の栽培に適しています。


水耕栽培をするための資金調達で始めたイチゴ栽培



実は水耕栽培、設備投資にお金がかかる。川浦氏はその為にイチゴを栽培し、水耕栽培の資金をためようと考えた。ところが・・・

最初、3棟のハウスでイチゴ栽培を始めました。2年目からイチゴ狩りを始めたんですが、正直イチゴがこんなに需要があるとは思ってもみませんでした。コロナ前は中国やインドネシアの方もたくさん来てくれて、インドネシアの方は、イチゴ狩りに何か持参した謎の調味料をかけているんです。我慢しきれなくなって「何をかけているんですか?」って聞いたら塩コショウでした(笑)。


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ところ変われば、食べ方も変わる、世界は広い。ただコロナ禍でイチゴ狩りを中止して以来、評判だったイチゴ狩りはやっていないという。経営的に困らないのだろうか。
実はこのイチゴ狩り、正直自分の几帳面な性格から、合わないなあ、でも人気があるからどうしようと思っていた矢先のコロナだったんです。それでイチゴ狩りをしてた当時の売上と、コロナ後の直売と出荷のみの売上を比べるとそんなに変わらなかったんです。またイチゴ狩りは人件費もかかりますし、さらにイチゴ狩りをするとキズができたりするマイナス面もありました。だから今ではピカピカのいいイチゴが販売できてます。


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現在は、直売と※7「産直市場よってって」への出荷によるイオンモール四條畷での販売が主だ。東大阪川浦農園の直売は口コミで広がり、お客さんが絶えない。ところで、水耕栽培はどこへいったのだろうか。

※7)産直市場よってって:生産者と消費者の橋渡し役として、「新鮮」「安心」「安価」な地場産品を提供している民間の農産物直売所。大型農産物直売所の多店舗化という新しいビジネスモデル。現在、和歌山県下に14店舗、大阪府下に9店舗、奈良県下に5店舗を展開。大型ショッピングモール、道の駅施設内にも出店。
イチゴ栽培を始めて11年目ですが、3年目にはイチゴの魅力に取りつかれ、水耕栽培 には手を付けず、イチゴ中心の暮らしになっていました。

3棟のハウスで始めたイチゴ栽培、今では倍の6棟に。ハウスに案内してもらい、中に入れてもらった。まずは、靴の裏の消毒。イチゴに病気が発生しないために最善の注意が払われている。さらに驚いた。今までこんな清潔でキレイに整理されたイチゴハウスを見たことがない。

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葉っぱも力強く、濃い緑でイチゴはピカピカに光っていた。「どうぞ、採って食べてください。茎のところをポキンと折ったらいいですよ」と言われ、そのまま口にほおばった。果汁が口の中で溢れ、酸味と甘みのバランスがちょうどいい。「おいしっ」と、思わず口から出た。今、思い出すだけでも味が蘇ってくる。記憶に残る味である。IPM方式(総合的病害虫管理)で、化学農薬だけに頼らない多角的、総合的な方法で消費者、生物や環境へのリスクも抑えた防除を行っている。足元には草が生えにくく、湿気が上がらないシートが敷かれていた。大阪エコ農産物の認証も受けている。栽培方法は、(※9)高設栽培だ。イチゴはすべて「紅ほっぺ」。一つの品種だけを栽培しているイチゴ農家は珍しい。なぜ「紅ほっぺ」だけなのか聞いてみた。

一度食べたらもう一度食べたい!川浦農園のイチゴは記憶に残る味

※9)高設栽培:地面にある土壌ではなく、生産者が収穫などの管理がしやすいように高い位置にベンチを設置して栽培する方法 特にイチゴ栽培で導入されている。
実は僕自身「紅ほっぺ」の大ファンなんです。酸味と甘味のバランスが実にいい。毎日収穫しカタチの悪いイチゴをパクパク食べながらその美味しさの確認をしています。ひんやりしておいしいんですよ。

実に贅沢、いやとても大切な紅ほっぺの試味。収穫は朝6時30分にスタート、寒さで身を守るために甘味を蓄え、朝露をたっぷり吸った状態のイチゴは、果汁たっぷりだ。直売所のシャッターが開くのは10時。その前にお客さんがすでに店頭に並んでいると川浦氏はドキドキするそう。早くお客さんのために収穫し、箱に詰めて並べなければならないからだ。イチゴの収穫時期は12月から5月。6月には田植えシーズンがやってくる。夏場はオクラ、秋には落花生、稲刈りと1年を効率よく栽培できる作物を育てている。

東大阪のイチゴ農家として後から続く人に見本になりたい



現在、スタッフはパートの女性数名と新規就農希望が1名、そして、川浦氏夫妻である。川浦氏にこれからの目標を聞いてみた。
もっと、東大阪のイチゴ農家として、これからイチゴを始めたいという方にイチゴ農園を見に来てもらえるようになりたいです。1粒5,000円とかのイチゴの話を聞いたことがありますが、僕には何か合わないんです。もちろんもっと良いイチゴを作って行きたい気持ちはありますが、やっぱり消費者に身近に届きやすい美味しいイチゴを作っていきたいと思っています。


一度食べたらもう一度食べたい!川浦農園のイチゴは記憶に残る味

最初、イチゴ栽培を始めたときは東大阪ではイチゴ栽培は難しいといわれたそう。イチゴは菌に弱いので、病原菌がでないように工夫を凝らしたり、細かい作業がいる。しかし川浦氏は、自分の性格に向いているかもしれないと思ったそうだ。また最初は、奈良の広い農地で栽培している人をうらやましいと思ったが、東大阪は消費者に近い。いいイチゴさえ作れば売れる立地条件が揃っている。農家を続けるうちに東大阪の良さが見えてきた。「今が幸せでしょうがないんです」と語る川浦氏。続いて、東大阪でイチゴ農家になる人が増える日も近そうだ。これからの川浦農園が益々楽しみである。

川浦農園
本社:東大阪市七軒家4-19
オフィシャルサイト:http://kawaura-farm.com/