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「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル
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「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル

2026.04.28
株式会社ポンデテック

株式会社ポンデテック / 代表取締役 財津和也 氏



関西電力の100%子会社として、中古パソコンの再生・販売事業を展開する株式会社ポンデテック。
代表取締役の財津和也氏は、2011年にITエンジニアとして関西電力へ入社。その後、社内ベンチャーで複数の事業立ち上げに関わり、これまで4つの事業を経験。現在は中古パソコンの再生と販売を行うポンデテックの経営に携わっている。
さらに同社は、障がい者雇用を事業の中核に据え、ITの再生プロセスと組み合わせた独自の仕組みを構築している。各自の特性を活かした作業を任せることで誇りや働きがいにも繋がっている。慈善ではなく、ビジネスとして成立させることで社会課題を解く。事業成長と社会的価値を両立させる独自の経営哲学と、組織の在り方を聞く。

「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル


試行錯誤の末に辿り着いた「パソコンの再生・販売」


社内ベンチャーの定義は様々だが、関西電力における社内ベンチャーは、新しい取り組みとして企業を起こして新規事業を推進していくもの全般を指す。ボトムアップで社員からアイデアを募るケースもあれば、会社の仕組みとして担当者が立ち上げるケースもある。ポンデテックはその両面を持ち合わせているとのこと。
財津氏は、関西電力に入社して今年で15年目。2019年10月に、設立したポンデテックでの挑戦は4社目のベンチャーへの参画だった。

社内では他にいないと思います。2011年にITエンジニアとしてキャリアをスタートし、その半分はエンジニア、もう半分は新規事業に携わってきました。ここ数年で社内ベンチャー4社を経験しているのは多いほうですね。学生時代から「いつか起業する」と考えていたわけではなく、社内のサークル活動を自ら立ち上げイノベーションに関わるうちに、友人や先輩の事業を手伝うようになって、徐々に楽しさに目覚めていったのです。


ポンデテックは創業当初、実は業務内容が何も決まっていなかった。ひとまず「起業ありき」で会社をつくり、中古パソコンのリユースは後から付いてきたそうだ。

会社を設立した当初は何をやるか、決まっていませんでした。当時抱いていたのは「世の中の遊休資産を使えば、社会課題を解決できるのではないか」という仮説でした。そこから半年間、6つの事業をつくっては潰す試行錯誤を繰り返しました。


パソコンのリユース(=形を変えずに再利用)を意識したのは、企業で大量に廃棄されるパソコンがあることを知ったからだった。

企業から大量に廃棄されるパソコンがあることを知り、自分たちで使えるようにして売ってみたところ、想像以上に反響が大きかったんです。世の中に確かなニーズがあることを肌感覚で掴めました。はじめはジャンク品を買ってきたり、オークションで買ったりして、まずは手に入るもので試験的にやっていました。


「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル

高品質なプロダクトを支える「IT×障がい者雇用」のシナジー


現在は、企業の使用済み品として大量に排出されるパソコンを買い取って、新品に負けない安心感で利用できるよう、一部の部品を新品に交換して再生しているという。その作業のために、障がい者の雇用を積極的に取り入れており、障がい者雇用による累計取扱い再生台数は、2025年12月末時点で27,000台を突破した。

まず、再生作業の工程を大きく分けると、データ消去、検品、清掃、部品交換、そしてソフトウェアの再インストールとなります。特にセキュリティを担保するため、データ消去は完全に行います。
障がい者雇用ですが、最初はやはり簡単ではありませんでした。当初は、基準とする品質や生産性との乖離がなかなか埋まらず、パートナー企業との取り組みが頓挫しかけたこともあります。しかし、実際にどこが難しいのかをひとつずつ聞いて、工程を細かく分解し、障がいの特性に合わせて、マニュアル化したり道具を使いやすく改良したりする工夫を凝らしました。そうやって現場で試行錯誤しながら「これならできるのではないか」という型を、根気強くつくり上げたのです。


だが、財津氏は、再生パソコンの販売時においては、障がい者を雇用していることを、必ずしも前面に出してはいないという。そこを特別視してほしくないという想いがあるようだ。

障がい者雇用を前面には打ち出していない理由は、誰が作業したとしても、サービスそのものに価値を有するという自負があるからです。「障がい者が携わったから」という善意や寄付の気持ちでの購入は継続しません。実際、自社販売サイト『PC next』にはリピーターの方が少なくありません。その理由を「思ったより綺麗」「起動が速い」といった声もあって、品質を評価してくださっていることの裏付けだと考えています。


障がい者が携わる業務は一般的に簡易的なサポート業務や事務補助業務が多いといわれるが、同社の作業現場は各自に作業が割り振られてているためモチベーションが高いと財津氏はいう。

障がい者雇用の現場は、どうしても補助的な仕事になりがちだと聞きます。ですが、私どもの仕事は、お客さまのレビューという形で直接、ありがとうと感謝の声が届きます。また、自分にはパソコンの仕事は無理だと思っていた方が、パソコンの清掃や部品交換を通じてITの仕事に携わっているんだという誇りをもつことができます。これは現場の管理者からも高く評価されている質の高い雇用だと考えています。


「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル

「なぜ人が辞めないのか?」柔軟な働き方が生むチームづくり


中古パソコンの再生・販売という事業を通して、これまでの価値観を超えるチームづくりにも挑戦しているようにも見える。財津氏が考える「最高のチーム」とは、どのようなものだろうか。

『4つのValue(価値観)』

1. 現場から考える:現場の声と事実からすべてを始める
2. 成果に向き合う:結果から学び、次の成長につなげる
3. 自分らしく挑む:自分の強みを信じて挑戦
4. 大切に思う:人・モノ・社会に敬意を持って向き合う


これらは、元々あったチームの雰囲気とか、今私たちがどういうことを大事にしているかっていうのを言語化したイメージです。ですから「こうなりたい」という理想論ではなく、日々いろいろな人と事業をつくってきた中で、自分たちはこういうことを大事にしてるチームだから、新規採用で新しく入ってくるメンバーにも共有したい。同じ価値観をお持ちの方は一緒に仕事をしましょうとか、パートナーとして同じチームでやっていきましょうということをお伝えしたいですね。


聞くところによると、同社で採用した社員・スタッフはアルバイトやパート従業員も含めて離職率が極めて低い。昨年9月に茨木市から現在の吹田市へ会社が移転した際も、自転車通勤から電車通勤に変わり通勤時間が長くなるにもかかわらず、移転に伴う離職はゼロだったという。

徹底したコミュニケーションと、働き方の柔軟性にあると考えています。私たちは人が来てくれたらいつでも仕事があるという設計にしているため、短時間勤務や不規則なシフトも柔軟に受け入れられるのです。
例えば、お子さんを習い事へ送っていき、終わるまでの待ち時間だけ働くママさんがいます。つまり1日2回勤務という、珍しい働き方ですね。大学でITや情報を学ぶ学生も「一般的なアルバイトをするより、自分の専門に近い仕事ができる」といって、パソコンの分解スキルを学びながら楽しく働いています。職場の雰囲気も、手を動かしていればワイワイ雑談することが許容されるせいか、非常に柔らかい雰囲気だと思います。だから、居心地がいいのでしょうね。


採用にあたっては全てに関わるという財津氏。自身が大切にしている、譲れない基準があるようだ。

全ての採用に私自身が関わります。スキルも大事ですが、今のフェーズで最も重視しているのは、私どもの価値観や文化に馴染めるか否かという軸です。一般的にベンチャー企業は、抜群のスキルがあるんだけれども、会社の文化に合わないために離職するケースも多くあると思っています。やはり、スキルがマッチしていても文化が合わなければ長続きしないと考えています。変化に適応する意欲があり、チームとして一緒に歩める方を求めています。


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社会に埋もれた価値を、どう再起動するのか


今後はパソコン以外にも、タブレットやスマートフォンにも事業を広げていく構想があると同時に、障がい者雇用にはこだわり続けたいという。

基本的に『IT×障がい者雇用』という軸は保つつもりです。障がい者とか就労困難者の方は仕事を探すのが難しい一方で、人手不足に悩む企業があります。このミスマッチが非常にもったいないと思うのです。人間の能力を特性別に五角形とか六角形で表すとすれば、平均的な人は綺麗な形なんです。ところが障がいをもっている人は、ある部分の能力は低いけれども、別の部分は突出して高い場合が多いです。でも、点数を合計では同じぐらいなんですよね。だから、へこんでるところがすごくへこんでて、尖ってるとこがものすごく尖ってるので、社会という形のパズルに嵌まる場所がすごく少ないだけなんです。でも、社会が変化してくると、そういう人も活躍できる場が出来るかもしれないですよね。


例えば、ルーチンワークじゃないと仕事ができづらい人がいらっしゃるんですけれども、裏を返すと、業務をルーチンワークに設計すれば、その精度が極めて高くなるのです。そういった特性を活かせる環境を整えたら、我々以上に生産性の高い仕事ができる可能性もあるかなと思っています。また同時に、例えば出産や子育てのためにキャリアの中断を余儀なくされた女性などが、もう一度輝ける場所も提供したい。そうした『社会に埋もれた価値』に光を当てて『再起動』していくことが私たちの使命と考えています。


「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル

財津氏は、大企業の中にこそベンチャースピリットが必要と考えている。親会社である関西電力や日本経済にどのような影響を与えたいかを、最後に訊いてみた。

ベンチャー企業だけでなく、大企業も変わらなければ、日本経済全体がポジティブな方向へ大きくは動きません。ポンデテックが挑戦し、成果を出し続ける姿を見せることで、大企業内の志をもった社員を含め、多くの人たちに「自分たちにもできるのではないか」と、一歩踏み出すきっかけを与えたいですね。それが結果として、日本全体の活性化に繋がると信じています。


「社会に埋もれた価値を再起動する」
という言葉は、単なるスローガンではない。
財津氏が目指すのは、中古パソコンという「モノ」の再生にとどまらず、障がい者雇用という「人」の可能性を最大限に引き出す仕組みの構築だ。
個性を受け入れ、適切な場所へ配置するアプローチこそが、持続可能な社会モデルと事業成長を両立させる、これからのベンチャー企業の在り方を提示しているのではないだろうか。



「社会に埋もれた価値を再起動する。」 関電ベンチャーが挑む中古パソコン×障がい者雇用の新しい社会モデル



株式会社ポンデテック
本社:吹田市豊津町9-1 EDGE江坂B2F
オフィシャルサイト:https://www.pontdes.tech/