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受付係から今や複数の代表者へ。前職で磨いた<サービスの眼>で介護・福祉・保育を再設計。
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受付係から今や複数の代表者へ。前職で磨いた<サービスの眼>で介護・福祉・保育を再設計。

2026.01.26
株式会社ortho vim





株式会社ortho vim / 代表取締役 清原るり子 氏



大阪の天下茶屋を中心に、高齢者の暮らしから子育て世代の働き方まで、多様なニーズに向き合う事業を展開する株式会社ortho vim(オルソビム)。
その背景には、休息・栄養・運動・手技・地域医療という「五つの療法」を連動させ、医療と暮らしをひとつにつなごうとする母体、オルソグループ全体の考え方がある。

健康寿命の延命をめざす「オルソ村」構想の中で、ortho vimは生活領域を実装するポジションとして期待が寄せられている。

※オルソグループ全体の取り組みや「オルソ村」構想の詳細は、『オオサカジン』取材記事でも紹介

★『オオサカジン』記事 ⇒ https://shacho.osakazine.net/e787977.html

では、その世界観を現場でどう具体化しているのか。自立を後押しする関わり方、そこに込めた思い、そして未来へ向けた新たな取り組みを、代表取締役 清原るり子氏に聞いた。

受付係から今や複数の代表者へ。前職で磨いた<サービスの眼>で介護・福祉・保育を再設計。


暮らしに「元気」を。介護・保育・生活支援をつなぐ実践


休息・栄養・運動・手技・地域医療が互いに補い合い、暮らし全体を整えていく……そんな考え方を背景に、生活領域を担う事業として多様な取り組みが進められている株式会社ortho vim。

デイサービスや老人ホーム、保育園など、日々の生活に直結する領域を幅広く手がける同社の名前「vim」は、“活力・エネルギー”を意味する言葉だ。
代表取締役の清原るり子氏がこの響きに惹かれ、「暮らしの場に元気を取り戻したい」という思いを込めて名づけたという。

その“元気”を支えるうえで、清原氏が特に重視しているのが「必要以上に手を出さない」という姿勢だ。

高齢者の方が本来できることまでこちらがやってしまうと、本当にできなくなっていくのが早いんです。多少時間がかかっても、自分でやってもらうほうが絶対に力になる。
だから私は、できるだけ見守るようにしています。急がせないし、先回りもしません。その積み重ねが、結果的に健康寿命にもつながるし、ご家族の負担も軽くなると考えています。


利用者の行動や習慣を細かく観察し、無理なく自分でできる範囲を見つけていく。その上で「任せる」「見守る」を繰り返すことが、基本の姿勢だ。

介護だけにとどまらず、保育園も運営しているのには、清原氏自身の実感があった。

働ける力があるのに、子どもを預けられなくて仕事を辞めてしまう女性が多く、ずっと「もったいない」と思っていました。保育園を始めたのは、女性が働き続けやすい環境をつくりたかったからです。


現場で見えてきた「働き続けられない」という課題に、できる形で応えようとした。その一歩が、保育園の開設につながったのだ。


現場に活きる、アパレルで磨いた「サービスの眼」


清原氏の強みは、福祉とは別の世界で培った“サービス業の眼”を、介護・保育の現場に持ち込んだことである。

20年以上、接客・販売・店舗運営に携わり、ストリート系ブランドの複数店舗を任されてきた。
スタッフ管理から売上管理まで、現場を動かす仕組みづくりを徹底して学んだ。

受付係から今や複数の代表者へ。前職で磨いた<サービスの眼>で介護・福祉・保育を再設計。


ただ、アパレルの働き方には、少しずつ無理が生じていたという。勤務時間は長く、スタッフの穴を埋めるため休みも取れない。
「もう続けられないかもしれない」と思った頃、知人の紹介でオルソグループのクリニックの受付を手伝うようになった。

受付の仕事は、正直簡単なものではありませんでした。限られた勤務日数の中で覚えることも多く、座り仕事の大変さもありました。
当時は「一年働けば一区切り」と考えていました。


退職の相談をしたタイミングで、オルソグループ会長から「デイサービスを立ち上げてみないか?」と声がかかる。
「自分にできるのか」と迷いながらも、ここから清原氏の“持ち味”が活き始める。

アパレルからデイサービスへ。一見すると遠い転職のようだが、清原氏はいま、こう語る。

やっていることは同じなんです。誰がいても同じサービスを提供できる状態をつくることは、アパレルも福祉も変わらない。


手探りで始めたデイサービスの中で、清原氏が最初に着目したのは「現場のバラつき」だった。

制服の色味を揃え、業務の流れを見える化し、利用者への対応基準も整理する。アパレルでは当たり前だった「ブランドを守るための整え方」を、現場に持ち込んだのだ。

スタッフの個性は会話で出せばいい。見た目やルールがバラバラだと、現場が混乱するだけです。まずはみんなが動きやすい土台をつくることが大事だと思いました。


マニュアルづくりと研修制度を整えたことで、誰が入っても同じケアが提供できる体制が整い始めた。
こうした取り組みは、清原氏にとって特別なものではない。アパレル時代から続けてきた“現場を機能させるための工夫”が、そのまま福祉の現場でも活きたのだ。

さらに、「一つの場所でできたことは、別の場所でもできる」。
整えた型を展開することで、複数の事業所でも同じ質を保てるようになっていった。

最初は現場の管理だけだったのですが、少しずつ任されることが増えていって。気がつけば、見る範囲が広がっていましたね。


デイサービスを始めて数年が経つ頃には、清原氏は事業全体をまとめる存在に。肩書きが変わっても、「現場を整える」というスタンスは変わらない。

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愛と自立を軸にしたマネジメント哲学


福祉の現場には、年齢も働き方も、何を優先したいかも異なるスタッフが集まる。

清原氏が大切にしているのは、強いトップダウンでも、完全なボトムアップでもない。その人が生きてきた時代や優先順位を理解することだ。

私たちが若い頃は、給与を上げることを重視する声が多かったように思います。
一方で今は、「時間を大切にしたい」「納得感のある働き方をしたい」と考える人も増えていて、同じ世代であっても、価値観は一人ひとり異なりますね。


その人が今どんな価値観で働いているかを踏まえて、「どう仕事を捉えてもらうか」を考える。それが清原氏の育成の出発点だ。

40代で福祉業界へ転身した頃、清原氏は“自分探し”の真っ最中だったという。
コーチング(※)を受ける中で、自身の口から自然と繰り返し出てきたのが「愛」という言葉だったそうだ。

(※)コーチング:対話を通じて本人の価値観や目標を引き出し、気づきを促す支援手法のこと。

「叱るのも、期待するのも、任せるのも全部 “愛” なんやと気づきました。」

そんな清原氏の根っこにあるのは、「依存させず、自立を促す」という考え。
この姿勢が介護の現場だけでなく、スタッフ育成でも一貫している。

できることはまず自分でやってもらうんですよ。迷っていても「とりあえず一回やってみ?」と背中を押す。もし失敗しても、「経験できてよかったやん」と言ってあげる。時間の無駄なんか一つもないから。失敗した時間も、その人の財産になりますからね。


スタッフが自分の役割を理解し、できることを自分で進められるようになると、挑戦する人が増え、リーダーが育つ。その循環が、オルソ村が掲げる〈地域療法〉を支える土台になっているのだ。

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高齢者・女性・子どもが“ゆるやかにつながる”暮らしへ。生活領域を広げていく未来構想とは?


いま清原氏が思い描いているのは、年齢や立場の違う人たちが、日常の中で自然に関わり合える社会のかたちだ。

高齢の方を見ていると、人と関わることで本当に元気になられると感じます。また、出産や育児などのライフイベントによって働き方が分断されやすい人たちが、それぞれのタイミングで社会とつながれる場所をつくれたらと思っています。


「暮らしの領域」を広げる動きは、農業やエステなどの新しい取り組みにもつながっている。

農業もエステも、うちの施設の満足度を上げるための選択肢。畑で育てたものを老人ホームや保育園で使えたらいいなと思ってますし、エステも、高齢の方が気持ちよく過ごせるようにするサービスのひとつとして考えていますね。

既存領域のまわりに、生活の選択肢を少しずつ積み上げていく広がりの中で、ortho vimの事業はより立体的になっていく。

清原氏は、新しい役割を任されたとき、まず動いてみて、経験を重ねながらその意味をつかんでいくタイプだという。

全体像がよくわからないものに対しても、任されたらやってみる。そうすると「あ、これ私に必要なことやったんやな」と思う瞬間が来るんですよ。


そうした積み重ねが、ortho vimの事業を少しずつ広げ、暮らしに寄り添うサービスへと育ててきた。
延長線上にあるのが、「自分だったらどんな場所で歳を重ねたいか」という問いだ。

自分が歳を重ねていったときに、「ここに入りたい」と思える老人ホームをつくりたいですね。“オルソ村”の中なら、それができる気がしています。


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株式会社ortho vim
本社:大阪市西成区天下茶屋3-26-16
オフィシャルサイト:https://ortho-g.co.jp/