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「少しだけ優しい社会」の実現へ。<枚方>から発信する新しい形の生活支援ビジネス
枚方市医療・介護・福祉新着

「少しだけ優しい社会」の実現へ。<枚方>から発信する新しい形の生活支援ビジネス

2026.01.15
株式会社LICOS (リコス)

株式会社LICOS (リコス)/ 代表取締役・理学療法士 川内雅和 氏



理学療法士として介護の現場に身を置き、「社会の在り方」に違和感を抱いた川内雅和氏。
その問題意識から株式会社LICOS(リコス)を設立し、高齢者の歩行機能を維持・改善するために開発した新しいプログラム『ロコフィット』を考案するとともに、不動産や写真館など多角的な事業を通じて、高齢者や住居確保要配慮者(※1)を支援する「居住支援」を推進している。
「少しだけ優しい社会」の実現に向け、社会課題の解決と安定経営を両立させる独自の戦略を聞く。

(※1)住居確保要配慮者:高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者、被災者、外国人など、様々な理由で賃貸住宅を借りにくい人々をいう。

「少しだけ優しい社会」の実現へ。<枚方>から発信する新しい形の生活支援ビジネス


理学療法士が抱いた「違和感」が起業の原点


理学療法士である川内氏が起業に踏み切った原点は、社会人になった当初から抱いていた「社会の在り方」に対する強い違和感だった。
特に介護の現場で、利用者が保険サービスで買い物を代行してもらうとき、「自分で選ぶ」という当たり前の経験が奪われている現状を憂慮した川内氏は、2016年にショッピング施設内で「買い物支援サービス」を行う一般社団法人を設立した。

商業施設内に理学療法士が常駐する「買い物支援サービス」を謳って、買い物カゴ付きのカートを置いて事業を始めたのですが、驚くほど需要がありませんでしたね。


「少しだけ優しい社会」の実現へ。<枚方>から発信する新しい形の生活支援ビジネス

原因は、介護保険サービスとの価格差だった。「買い物支援サービス」は、介護保険の対象外のため、費用は実費にならざるを得ない。片や買い物代行は介護保険が使えるため、少しの自己負担で済む。利用者がどちらを選ぶかは、明らかだった。
結局、一般社団法人は2年で畳むことになったが、川内氏の事業を見ていた行政側から新たなアプローチを受ける。

それまでの活動を評価してくださった枚方市から、「地域の介護予防事業を委託したい」との依頼をいただきました。それが『ロコフィット』の原点です。


当時の枚方市は、健康寿命延伸のためにノルディックポール(スキーのトレーニング用ポール)を使ったウォーキングの普及を目指していた。その中で、体力の低下や怪我などで一時的に活動量が落ち込んだ高齢者が、再び歩けるようになるまでのプロセスが抜けていた。
川内氏は、座ったままできる運動から始め、スティックの使い方に慣れ、徐々に立って練習して最終的にウォーキングにつなげるプログラムとして『ロコフィット』を実践した。
現在ではリアルとオンラインとのハイブリッド形式で、月間延べ500人近くに利用されている。

手軽さを追求するなら、椅子だけでもいいのです。最終ゴールは自分の足で歩き続けることです。体力が落ちたときから回復して歩けるようになるまでの過程が抜けていたので、座った姿勢でスティックの使い方に慣れ、体力をつけて立って練習し、最後に歩くというステップを提案しました。


「少しだけ優しい社会」の実現へ。<枚方>から発信する新しい形の生活支援ビジネス

「少しだけ優しい社会」に向けた、事業安定の多角化戦略


枚方市から委託された事業を、はじめの2年間は個人事業として請けていた。だが、やがて大手企業からも事業の相談を受けるようになったことと併せて業務が多様化してきたこともあり、2019年に「株式会社LICOS」を設立した。
スローガンに「少しだけ優しい社会を作ろう」を掲げているが、なぜ「少しだけ」なのだろうか。

みんなが優しい社会をつくりたいと思っていても、全員で一生懸命やるのは難しいので、みんながちょっとずつ協力したらいいという想いがあります。みんなが少しずつ協力すれば、社会はもっと良くなるというメッセージを込めています。


高齢者向け生活支援事業のほか、セルフフォトスタジオ「Shamoe(シャモ)」の運営や、空き家リノベーションを通じた不動産事業も展開する川内氏。
多角的なビジネスを展開する狙いを聞いた。

保険サービスだけではビジネス的に厳しいので、事業の安定を図るためです。中でも今は、不動産仲介の売上が大きな比率を占めています。「Shamoe(シャモ)」は韓国発のビジネスモデルを参考に、気軽に楽しめる写真撮影の機会を提供しています。


実は「Shamoe(シャモ)」にも、介護とのつながりがあるという。
リハビリで「健康になりましょうね」と指導するより、「3カ月後に家族で写真撮影をしましょう」と明確な目標を設定するほうが、高齢者がより意欲的に、運動に取り組むことに気づいた。

写真を撮ること自体に、楽しみを見出してもらいたいと思っています。多くの人は綺麗な写真を撮りにきますが、私がいちばん嬉しいのは「楽しかった」と言ってもらうことです。それが実際にお客様の声として多く、価値提供としては成功だと思います。


「少しだけ優しい社会」の実現へ。<枚方>から発信する新しい形の生活支援ビジネス


もうひとつ、川内氏は、空き家リノベーションや居住支援を通じて、地域コミュニティの活性化や住環境の改善を目指している。
空き家のサブリースや転売といった不動産事業は、いま社会問題となっている空き家問題の解決と安定的な収益確保を両立させ、居住支援の基盤を固めるという側面もある。

コミュニティ活性化をいえば、『ロコフィット』のオンライン体操を行う際に、地域の自治会館で高齢者の方々が自らパソコンやプロジェクターを準備して、映写まで行う取り組みが現在十数カ所で定着しています。
これは、高齢者がデジタルデバイス(電子機器)の扱いに慣れるだけでなく、災害時の自治会館同士のコミュニケーション手段を自分たちの手で立ち上げて運用できる手段を得る点で、災害対策への貢献も期待されています。

また、住環境の改善については、坂の上にあるハイツに住んでいた高齢者の方が、平地の物件に住み替えることをサポートし、慣れ親しんだ地域で暮らせる環境を提供した実績があります。施設への入居が必ずしも悪とは考えてはいませんが、地域で暮らし続けたいという本人の希望をできるだけ叶える選択肢を提示できたと思っています。


「居住支援」は、まだ聞きなれない感のあるワードだが、具体的にどのようなサービスを提供しているのだろうか。

住宅確保要配慮者といって、高齢者や精神疾患をお持ちの方、あるいはホームレスの方など家探しに困難を抱えている方を支援する事業です。
具体的には、そうした方が不動産業者とうまくやり取りできるように私どもが同席してサポートしたり、オーナーさんが抱える「孤独死」や「トラブルのリスク」といった不安に対し、入居後の見守りサービスをセットで提供したりします。そうすることで、オーナーさんも安心して物件を貸せるようになります。


その事業を推進する中で、川内氏の苦労は多いはずだ。人の数だけ個性があり、事情もそれぞれあるため、何らかのトラブルを抱えているケースが少なくないという。

支援の対象となる方の多くが、複雑な人間関係のトラブルを抱えています。例えば、支援が必要な高齢者の方に、DV(親密な関係にある人からの暴力)を行うご家族がいるといったケースがあります。ご本人から助けを求められても、ご家族から「家族内のことだ。勝手なことをしないでくれ」と拒まれたら、私はもう口出しできません。
また、居住支援法人が比較的新しい制度のため、どこまで介入していいのか、あるいはするべきなのか、明確なガイドラインがまだ確立されていないのです。行政も事業者も、まだ手探り状態なのが現状です。
純粋な家族間のトラブルなのか、公的支援が必要なケースなのか、私の裁量で判断を迫られるケースも少なくありません。


地域貢献にいそしみながら、自由な人生を


2025年で6期目を迎える株式会社LICOSの今後について、川内氏は「やや守りに転じるかもしれないが、1年ほど様子を見て、リソース(資産)配分を再考するつもり」だという。

今のところは、写真館、不動産、介護とバランスシート(貸借対照表)をうまく散りばめながら進めていく方針で、リソースをひとつの事業に集約して突き抜けるか、このまま多角的に進めるか、今期は様子を見て判断したいと考えています。
特に、空き家を預かってリノベーションして転売する不動産投資は、この数年間で40件ほど実施して収益もしっかり立っていますが、このまま規模を拡大していくか否かは、慎重に見極める時期と捉えています。複数の事業を展開することはリスクヘッジにもつながりますので、安定を重視した経営を続けていきたいと考えています。


一方、川内氏の「私人」としての展望を聞くと「42~43歳でセミリタイアしてもいいかな」という言葉が返ってきた。
それはちょっと早すぎないかと、真意を質してみた。

私には子どもが4人いるのですが、使命感と共に経済的にも自立して、自由に楽しそうに生きている父親の姿を見せたいという想いがあります。しかし、事業拡大のために融資を受け、不動産投資を進める中で、銀行にお金を返すために一生懸命働いている現実があります。それって結局、資本主義に振り回されているだけですよね。これでは、自分が本当に目指していた「自由に生きる姿」とは違います。子どもたちにとって「負債の返済に追われる父親」よりも、例えば「山小屋で遊んでばかりいるけど、楽しそうなお父さん」のほうが面白いはずです。


最後に、社会課題に挑む、あるいは多角的な経営を行う経営者に向けてメッセージをお願いした。

どんどん行こう!というエネルギーに満ちた経営者の方々を見ると、純粋にすごい!と感じますし、そのエネルギーがどこから湧いてくるのかうらやましく思います。私は石橋を叩いて渡るタイプですから、リスクヘッジのために事業を多角化しました。
これは一方で、地域に貢献し続けるためでもあります。経営の形や価値観は人それぞれですが、自分自身が起業した動機の根源にある想いと、目の前の事業、そして人生のゴールを照らし合わせる時間を持つことは大切だと思います。
資本主義の波に呑まれず、自らが望む経営と人生を築いていくために、ぜひご自身の価値観を見つめ直してみてくださ
い
。
私自身も、地元・枚方から、今後も地域に密着した事業を展開し「少しだけ優しい社会」の実現に向けて尽力してまいります。


理学療法士という専門職の視点から地域社会の課題を見つけ、独自のビジネスモデルを展開する川内氏の経営は、一見すると多岐にわたり脈絡がないように見えるかもしれない。
だが、その根底には「地域で暮らし続けたい人」を支える、一貫した想いがある。

川内雅和氏著書最新刊 『となりの先輩患者 自分で改善する変形性膝関節症・ひざ痛』のご紹介(発行/KADOKAWA)

この膝の痛み、同じ悩みを持つみんなはどうしているんだろう?
予防と治療のプロ、理学療法士でもある川内雅和 氏が痛みなく歩けるようになった先輩たちのやり方をひとつずつ紹介! 
食事術、ストレッチ法、生活習慣……セルフケアの仕方をトータルサポートしています。

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株式会社LICOS(リコス)
本社:大阪府枚方市堤町10-24 鍵屋別館 5F
オフィシャルサイト:https://licos.info/