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ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦
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ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

2026.03.25
亜細亜商工株式会社  ダイヤゴム化工株式会社





亜細亜商工株式会社  ダイヤゴム化工株式会社 / 代表取締役 尾崎航平 氏



ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

大阪府八尾市の亜細亜商工株式会社は、77年の歴史を持つゴム関連の総合商社である。第二次世界大戦後の1949(昭和24)年に問屋業として出発し、1963(昭和38)年には新たに製造部門であるダイヤゴム化工株式会社を設立するなどして発展してきた。現在、両社の代表取締役を務めるのは、創業者の孫にあたる尾崎航平氏である。尾崎社長は両社の強みを、こう語る。

亜細亜商工は商社であり、ゴムに関するものでしたら何でも扱えるのが特徴です。ゴム製品も扱えますが、我々は『素材から』作れるメーカーですので、数多くあるゴムの種類も市販されているものであれば、材料としてもご提供することができます。ダイヤゴム化工はその素材をつくるゴムの加工・製造メーカーで、他社と違いは『色物・黒物の両方のゴム練りができる』ところです。ゴムを練る際に補強材としてカーボンを混合すると製品は黒くなりますが、色物練りはカーボンが少しでも混入すると汚れてしまいます。そのため、一般的にゴム練りを行う会社は『黒物』か『色物』かのどちらかに特化します。しかし、ダイヤゴム化工は色物専用とカーボン専用の工場を分けて保有しているため、両方に対応可能です。この対応力こそが強みですね。両社の機能を合わせれば、お客様にとってワンストップでさまざまな課題を解決できる。これは大きなアドバンテージだと自負しています


ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

祖父が創業し、父親が二代目を継いだ会社を受け継ぐのは尾崎社長にとって既定路線であり、幼少のころからその意識はあったという。大学卒業後は社会経験を積むために卸売業の会社に就職し、3年あまり勤めたのちに家業へ入った。まずは現場でゴムの製造過程を学びながら、関西ゴム技術研修所(※1)にも通って技術を習得した。現場で得た経験は、社長に就任してからも生きているという。

※1 関西ゴム技術研修所は、一言で言えば「ゴム業界の次世代を担う技術者を育成するための専門教育機関」です。ゴム業界の企業が加盟する「兵庫ゴム工業技術会」などが中心となって運営されており、主に若手社員や技術習得を目指す方を対象に、実戦的な知識を伝授しています。http://www.gomu-kensyu.com
机上の空論ではなく、現実的な視点で物事を考えられるようになったのは大きいですね。お客様はそれぞれ多様なご要望をお持ちですが、実際の現場では実現が難しいケースもあります。私は現場を知っているからこそ、実体験をもとにお話しできるため、お客様にも納得していただきやすくなりました。また、販売価格をご提示する際も、実際の作業工程をイメージしながら判断できる。やはり現場で得た知見が血肉となっています

尾崎社長の代になって新たに始めたのは、近隣のゴムを取り扱う会社の社長同士が集まって連携・情報交換を図ること。いわばサークルであり、その名を“ゴム部”という。

ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

私たちはゴムの原料メーカーですが、成型メーカーや仕上げメーカー・金型設計会社、ほかにも金型製造会社・ゴムシート販売会社などの各社の幹部8人が集う“ゴム部”をやっています。それぞれに得意分野が異なる社の人たちが集まって情報交換や、自社ではやっていない分野の仕事をお願いしあったりしているんです。大企業には物量などで敵わないところがありますが、中小企業が集まった集合体で仕事ができるのは、強みだと思っています


自社独自の強みにプラスして、“ゴム部”というサークルとして機能できる強みもプラスされるわけだ。

そうですね。基本的に私たちはゴムの代用メーカーなんで、普通に仕事をしていたら金型屋さんとの接点はないんですよ。でもこうやって部員になることで、成型メーカーさんと金型屋さんと私で話しをする場が生まれ、私は成型と金型のノウハウなどが学べます。金型屋さんは金型屋さんで、材料のことも学べる。そうすることで総合力というか、ゴムに対する知識のベースを上げていけてます

また、これまではBtoB専業だったビジネスを、BtoCにも展開する動きも始めている。その第一段となったのが、2022年にクラウドファンディングを通じてリリースした衝撃吸収ゴルフグリップ「CORFANO」。衝撃吸収の数値化が評価され、目標金額の約8倍となる811%の達成率を残した。

ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

ゴルフでヒジを痛めた先輩が『今シーズンはもうゴルフできひんわ』と言っていたことがきっかけなんです。ゴルフグリップを作っている会社さんと取引があって、相談してみると衝撃吸収性のゴムを使ったゴルフグリップを作ればいいんじゃないかとなりました。最初はノリで作ったのですが(笑)、使っていただいた方からは好評だったんです。それならちょっと、クラウドファンディングにしてやってみようと。実際にやってみたところ、予想以上の評価を頂きました。それでBtoC商品として販売していこうとなって、今で3年目になりましたね。販売サイトは私自身が作ったのですが、この度これをアップデートします。今は本格的なプロにお願いしたものを、作り込んでいる最中です


ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦


「社長とコミュニケーションがとれない」 ベテラン社員の言葉で、自らを見直した



父親の跡を継いで三代目社長に就任したのは、2023年9月のことである。いざトップの座に就いて改めて気付いたのは、自らが発する言葉の重みであった。

やはり、安易に物事は言えません。経営において朝令暮改(※2)は避けられない側面もありますが、熟考なしに進めると社員からの反発も招きますし、実際に苦い経験もしました。強い言葉で押し通そうとして、現場とぶつかってしまったんです。そうした反省から、現在は月に一度の全体会議を始めました。現場の要望をすべて出してもらい、それに対する改善策を私が提示し、さらに社員が意見を返す。こうした場がなければ、現場に不満が溜まったままになってしまいます。本音を出し合える場を設けられたのは、非常に良かったと感じています

※2 朝令暮改(ちょうれいぼかい)とは、一言で言うと「命令や方針が頻繁に変わり、定まらないこと」を指します。朝に命令を出し(朝令)、暮れ(夕方)にはそれを改める(暮改)。つまり、朝に決めたことが夕方にはもう変わっているという、変化の激しさを表した四字熟語。

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そんな尾崎社長は就任後、自身の胸に深く刺さる出来事を経験する。長年勤めた女性事務職員から退職の申し出があり、その理由が「社長とのコミュニケーション不足」だったのだ。この一件は尾崎社長に、小さくないインパクトを与えた。

私は、職場とはそういうものだと思い込んでいたんです。余計な私語はなく、仕事だけをきっちりとこなす場所こそが理想なのだと。先代からも直接言われたわけではありませんが、父の背中から『現場や事務所に笑いは必要ない、私語を慎め』という厳しい空気を感じ取っていました。その姿を見て育ったからこそ、それが正解だと思い込んでいたんですね

そこで一度立ち止まり、トップとしての在り方を見つめ直した。

あの一件を機に振り返ってみると、確かに十分な対話がなかった。それからは朝礼で、自分のプライベートな話題や今考えていることなどを積極的に話すようにしました。そうすることで『社長はこんなことを考えているのか』と、社員に人となりを知ってもらう機会になります。私の言葉に盲目的に従うのではなく、『自分はこう思う』という意見が出てくる関係がベストです。私と社員、あるいは社員同士が互いをより深く理解し合える組織にしていきたいですね

三代目はいわば、社風の変革にも着手している。歴史ある会社だけに現場からの反発もあったが、対話を通じて相互理解に努めてきた。かつてはトップダウンで物事を決める傾向があったが、「もうそんな時代ではない」と自らのスタイルを改めた。こうした取り組みを経て、社内の空気感も変わり始めている。

ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

社内の雰囲気は、以前より明るくなったと感じています。働いてくれている社員のためにも、今後は月並みですが『いい会社』にしていくことが私の役割です。親睦の機会を増やし、社員一人ひとりがアウトプットできる場を整える。現場の意見を吸い上げ、より働きやすい環境を作っていきたいと考えています


ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦


仕事のやり方を教えるだけであれば、単なる伝達 そこに仕事への思いがプラスされれば伝承になる



働く社員たちには、自分の仕事に誇りを持って取り組んでもらいたいと願っている。

良いものを作っているという自負心を持ってほしいんです。その想いがあれば、後輩に指導する際も、単なる作業の手順ではなく『なぜこの工程が必要なのか』という意図まで丁寧に伝えることができます。それは単なる『作業』ではなく、『仕事』を教えるということです。やり方を教えるだけなら『伝達』ですが、そこに思いが乗れば『伝承』になります。自分の仕事を誇り、継承していくという気概を持って取り組んでいただきたいですね

同社は間もなく、創業80周年の節目を迎える。尾崎社長の代で90周年、100周年も射程圏内に入っている。そこに向けて三代目は、どのような舵取りを行うつもりなのか。

まず80周年に向けて、社史の編纂を計画しています。その先の未来については、就任時に掲げた経営理念である『信頼できる仲間とともに素材からものづくりの可能性を追求し、安心と優しさを提供します』という言葉に集約されています。私たちは素材メーカーでもあるので、時代に求められるゴム製品作りに社員全員で取り組んでいく。その製品は、安心できるものであり、ユーザーにとって『優しい』ものでなければなりません。『優しい』の漢字は読み方を変えれば『優れる』ともなります。優れた商品を生み出し、経営者として私自身も成長しながら、社会に必要とされ、従業員が誇りを持てる会社を築いていきたいですね


ゴム商社とメーカーを率いる3代目社長。100年企業への挑戦

亜細亜商工株式会社 ダイヤゴム化工株式会社
本社:大阪府八尾市渋川町6-1-1
オフィシャルサイト:https://www.asia123.jp/