Vision Match Osaka
強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に
動画 ピックアップ大東市飲食・フード新着

強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

2025.06.30
新大阪食品産業株式会社






新大阪食品産業株式会社 / 代表取締役 北尻正太 氏



働く人々の活力源となる食事。大企業では食堂で準備されることも多いが、規模の小さな会社でも一生懸命働いてくれる従業員にはおいしい食事をとってほしいものだ。そんな経営者の切なる願いを叶えてきたのが、大東市に本社を置く新大阪食品産業株式会社のサービスである。
今回は「シンショク」の愛称で知られる新大阪食品産業の代表である北尻正太氏に話を聞いた。地元の製造業など中小企業の胃袋を支えてきたこだわりや理念、そこに至るまでの経緯、そして今後についても語ってもらった。

強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

こだわりは「おいしい、やさしい、おもしろい」



シンショクの食事は「おいしい、やさしい、おもしろい」がこだわりである。信頼できる業者の食材と衛生指導員によるチェックにより安心・安全を確保しつつ、真心を込めた「おいしい」食事。管理栄養士によって栄養バランスが整えられた、食べる人の健康に寄り添う「やさしい」食事。では「おもしろい」とはどんな意味なのだろうか。

強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

「おもしろい」ごはんは、食べた人を笑顔にするごはんです。私たちのごはんは、老舗ラマダホテル出身の城堂料理長とベテランのおばちゃんがタッグを組んで提供しています。言ってみればプロの味とおふくろの味の融合です。おいしいだけでなく、おばちゃんの会話や心遣いで食事を楽しく、そしておもしろく感じてほしいんです。 加えて、「おもしろい」という言葉には私の願望も入っていたかもしれません。本来の私は、人見知りだったり暗い部分もある人間なんです。でも、おもしろいことは昔から好きでした。自分も含めて会社にいるメンバーには、おもしろいと感じながら働いてほしいという想いがあるんですよ。

食べた人だけでなく作っている従業員も笑顔になれる食事。そのような想いにたどり着いたのにはある体験が大きく影響していると、北尻氏は明かした。

強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

同友会との出会いから経営理念を確立し、社長就任へ



シンショクは約60年前に北尻氏の祖父と父が創業した会社である。給食弁当から事業を開始し、社員食堂の受託へと事業を展開していった。当時は数百人規模の会社で行うのが主流だった食堂の調理を、30人規模の会社でも見事にシステム化した。
実は北尻氏は大学卒業後すぐにシンショクに入社したわけではなく、いずれ後を継ぐことを意識しながらも他社メーカーの営業職の道を選んだ。これは一人のシンショク従業員からの勧めだったが、「自社商品をいかに愛して、いかに提供して喜んでもらうか」「自分自身をどう売り込むか」など多くのことを学ぶことができた。10年の勤務を経ていよいよシンショクへ入社するのだが、数年後の社長就任にはある出来事がきっかけとなる。

シンショクへ戻ってしばらくは、これまでの経験を活かして営業をしていました。その間に経営者に関する勉強をしなければと漠然と思っていましたが、父を見ていてもどう勉強するべきかいまいちわかりませんでした。ある日、既存のお客さまから知り合いの経営者を紹介されて、いつものように営業に行く機会があったんです。お話をうかがうと「大切な社員に温かいごはんを食べさせたい」とのこと。その熱い想いはどのように生まれてきたのか気になって率直に聞いてみたところ、同友会の存在を知ったんです。


この大阪府中小企業家同友会(同友会)(※1)との出会いが北尻氏のターニングポイントとなる。同友会の趣旨は中小企業の経営を守り、共に団結していくことだ。北尻氏もいずれ経営に関わる者として誘いを受け、集まりに参加し始めた。

※1  大阪府中小企業家同友会は、中小企業の経営者が自主的に集まり、企業経営の健全な発展を目指す団体である。経営課題の解決や経営指針の確立、後継者育成などを目的とした学習会や交流会を実施。企業間の連携を深め、地域経済の活性化に貢献している。  https://osaka-doyu.jp/

同友会に入っても最初は専門用語ばかりでよくわかりませんでした。しばらくして経営計画書の作り方を学ぶセミナーに参加することになり、父の掲げた経営理念を持って臨んだんです。そこでも自分自身の経営理念は何なのか問い詰められ、答えが出ないままずっと考えていましたね。

だがまもなくして、北尻氏は現在のシンショクの核心を築く体験をする。

ポスティングをした会社から食堂の相談を受けて、状況確認に現場へ向かうことがありました。従業員の方々が冷めたお弁当をかきこむだけの光景を見て、食堂で調理した温かいごはんを提供するサービスを提案したんです。いろいろと準備をしてオープン当日、そこには素敵な従業員の方々の笑顔と会話がありました。社長さんから労いの言葉をいただき、それをベテランのおばちゃんに話すと、「私はこの瞬間のために仕事をしているんです」という言葉が返ってきたんですよ。


強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

自分の求める経営理念は何なのか、答えは出た。

このときのシーンは鮮烈で、今でもこれを超える出来事はないかもしれません。私たちはすごい仕事をしてるんだと。当時ずっと頭を巡らせていましたが、「シンショクは食を通じて関わるすべての人の幸せ・幸福を追求します。」という経営理念が自然に浮かんできました。おおげさかもしれないけど、「最後まで命をかけてやる仕事はこれだ」と感じた瞬間でしたね。


「おもしろい」食事は、「関わる人すべての人の幸せ・幸福」というこの経営理念から導き出される。自分の使命を悟った北尻氏はこの日、現場の枚方市から帰る道中に父へ社長を引き継ぐことを電話で伝え、2005年社長に就任した。

ハイブリッド調理とおばちゃんの温かさを強みに



現在シンショクは、祖父の代から始めたお弁当事業、食堂や調理場まで出向いて調理する給食事業、そして出張料理・イベント出店事業の大きく分けて3つを行っている。中でも力を入れる給食事業では他にはない強みがある。

「温かい料理を食べてほしい」という原点の想いから、メインのおかずやお味噌汁、ご飯は現場で調理しています。副菜については、お弁当を作ってきたノウハウを活かして自社のセントラルキッチンで準備しています。他社のように冷凍で対応することも考えましたが、やはり向き不向きがあってその場で調理したほうがいい献立も多いんです。試行錯誤の結果、調理のハイブリッドシステムを採用することでおいしいごはんを効率的に提供しています。

シンショクが温かさを伝えるのは何も料理そのものに限ったことではない。調理してくれるおばちゃんの温かさも大きな強みである。

強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

私たちの強みは何かって考えると、やっぱりおばちゃんの愛情が詰まった「おふくろの味」に行き着くんです。同じ食材を使っても、おばちゃんによって不思議とおいしさの種類は違ったりします。すべての工程を標準化して同じ味に統一するのも悪くないですが、かしこまらずに食べられるおばちゃんの料理にはどこかホッとする魅力がありますよね。それに、味はもちろん、何気ない会話や触れ合いを通して心も体も温かくしてくれるんです。

シンショクには80代でバリバリ活躍しているおばちゃんもいる。「おふくろの味」には家庭的な料理のおいしさと、ベテランのおばちゃんたちの心遣いが含まれている。

誇りを持って産業給食を担いたい。大切な従業員とお客さまに健康経営で幸せを



以前は給食事業者に対する世間の目は残念ながら冷たかった。〇〇食品と書かれた車を見かけても、何をしている会社か知らない人も少なくない。
これからは、働いている私たち自身がより誇りを持てる仕事にしていきたいです。お米や野菜、肉などの価格高騰の影響でどこも値上げですが、なんとか価格を抑えて食事を提供させていただいています。産業給食の業界から撤退する会社も増えましたが、シンショクは大東市の産業給食をより一層担っていきたいですね。 複数の事業を地道にやってきたおかげで認知度も上がってきたと感じています。「シンショクって何かおもしろい会社やな」と思っていただけることもある。会社の補助がなくても「シンショクのごはんが食べたい」といつか言ってもらえるのが究極の目標ですね。

先代の頃には男性従業員が多数を占めていたが、北尻氏の代になってからはその様相もずいぶん変化した。北尻氏の実妹の尽力により女性従業員が年々増え、今では8割以上を女性が占めるにぎやかで風通しの良い社風になった。

「みんなが喜んでくれるのではないか」と自分が企画したことは、妹を含めて従業員たちがサポートしてくれるので感謝しています。今後は既存のメンバーで企画を提案してきてくれる人なんかも出てきてくれるとうれしいですね。 料理も「ものづくり」のひとつだと思うんです。料理が今は上手くなくても、とにかく好きという人にはのびしろがあります。料理が好き、人を喜ばせるのが好きという新しいメンバーも歓迎しますよ。

最近では健康経営にも目を向け始めている。一昨年、北尻氏が大病を患ったことをきっかけに、大切な従業員の健康管理にも取り組んでいくことを決めた。

強みは「おばちゃん」!大東市の産業給食に関わる人を笑顔に

「まさか自分が病気に」と思っていたので、健康管理の重要性を再認識しました。今まで定期的に行っていた衛生研修に代えて睡眠や腸活のセミナーを行ったところ、従業員さんのほうが意識はずっと高かったと気付かされましたね。自分自身やパートナー、はたまた被介護者の健康問題に直面している人も多いのでしょう。 いずれにしても、健康に関する知識はお客さまに提供する食事の献立にも反映できます。これからは大切な従業員やお客さまの健康に対してより重点を置いていくつもりです。

障害者の方の就労支援など、北尻氏の「シンショクに関わるすべての人が幸せになる」アイデアは尽きない。温かく支えてくれる従業員とともに、今後も食を通じて幸せの輪を広げていくはずだ。

新大阪食品産業株式会社
本社:大阪府大東市平野屋2丁目9-30
オフィシャルサイト:https://www.shinshoku.jp/