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“ ものを大切に ”の想いに、ブランド品リペア職人集団で応える! 価値を未来へつなぐ2代目経営者の新たな挑戦
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“ ものを大切に ”の想いに、ブランド品リペア職人集団で応える! 価値を未来へつなぐ2代目経営者の新たな挑戦

2025.07.24
株式会社 レザーアート





株式会社 レザーアート / 代表取締役 井上富雄 氏



大阪府八尾市に本社を構える株式会社 レザーアートは、およそ100人の職人とともに海外ブランドのバッグや靴、ジュエリーなどを修理する“リペア職人集団”だ。

製造業が盛んな地域として知られる八尾の地で、創業者の母、営業力で拡大した叔父に続き2代目である代表取締役 井上富雄氏が事業を継承。
「価値あるものを未来につなぐリペア企業」を理念に掲げ、業界屈指の技術力と誇りある職人文化を次世代につなげようとしている。
今回は、そんなレザーアートの歩みと今後の展望について話を聞いた。

“ ものを大切に ”の想いに、ブランド品リペア職人集団で応える! 価値を未来へつなぐ2代目経営者の新たな挑戦


職人技と信頼の実績!レザーアートが展開するブランド品修理の世界


工房を訪れると、職人たちが黙々と作業に取り掛かっていた。カバンの色が剥げてしまった部分を塗り直すため、同じ色を再現しようとさまざまな色の塗料を混ぜている。別の部屋では、手芸店のように色とりどりの糸が置かれた棚の横で、ミシンを使って破れやほつれを直している職人の姿も見られた。

バッグや靴、小物、ジュエリーと幅広く対応している中で、靴が全体の3割を占めます。ソールの交換やかかとの修理のご依頼が、意外と多いんですよ。それから、カバンのファスナーの修理もよく来ますね。


そう語った井上富雄氏が率いるレザーアートの中核事業は、海外の世界的有名ブランドと取引するBtoB(企業間取引)だ。
年間で手がける修理品は15万〜18万点、取引先は海外有名ブランド各社や輸入販売店、全国の百貨店など多岐にわたる。

創業は1961年。袋物製造の職人だった井上氏の母が、知人の依頼でブランドバッグを無償で修理したことがきっかけだった。評判が口コミで広がり、修理業が事業の中心になっていく。1980年代には叔父が営業を担い、ブランド品の普及とともにBtoBビジネスを拡大させる。
職人による丁寧な手仕事が評価され、今や従業員130人中、100人が技術部に属する「リペア職人集団」へと成長を遂げたのだ。
その背景には、ブランド品を長く大切に使いたいという顧客の強い想いがある。

やはり高額な商品ということもあって、「良いものをなるべく長く使っていきたい」というニーズはありますね。お母さんから受け継いだものや、おばあちゃんの形見を、もう一度きれいにして使いたいという声もよく聞きます。


修理依頼は、営業スタッフがブランド直営のお店やアフターセールスのセンターに引き取りに行くケースや店舗から直接工場へ送られてくるケースなどがある。
BtoBという間接的な立場ながらも、井上氏は「修理はお客様の心も整い、喜ばれる仕事です」とやりがいを語る。

クレーム品の対応も多く含まれるが、直すことで販売店の信用回復にもつながる。まさに“もの”だけでなく、使い手の心や“信頼”をもつなぐ仕事なのだ。

“ ものを大切に ”の想いに、ブランド品リペア職人集団で応える! 価値を未来へつなぐ2代目経営者の新たな挑戦


営業経験で再発見、「価値」と「誇り」を次世代へ


レザーアートを率いる井上氏にとって、家業は物心ついたときからすぐそばにある存在だった。母がミシンを踏む音や職人として働く姿は、幼い彼の日常の一部だったという。印象的なエピソードを教えてもらった。

創業して間もない頃に、幼かった僕か兄が熱を出して、母が「納期に間に合わないかもしれない」と取引先に電話したらしいんですね。そうしたら相手から、「お宅の息子がどうなろうが、うちには関係ない。納期は守ってもらわないと困る」とバッサリ言われたと。この言葉がとても悔しかったそうで、母はそれ以来、「約束は絶対に守る」という思いでずっと仕事をしていました。
そういう話を何度も聞かされてきたので、「仕事って、中途半端にやったらあかんのやな」という意識が自然と根付きましたね。


その母から明確に「継いでほしい」と告げられたことはなかった。だからこそ進路には悩んだという井上氏。大学卒業後、アメリカでの2年間の語学留学を経て、家業を継ぐことを決意した。

入社後は営業からのスタートでした。それは、先代の叔父が営業出身で、「営業が分からなければ何もできないだろう」という教えから。うちが扱うのは、“もの”ではなくて“サービス”です。カバンの修理と一言で言っても、状態もサイズも全部違うから、価格も一律では決められません。修理にどれくらい手間がかかるか理解していなければ、見積もりも出せないのです。
大変な反面、「この仕事ってめっちゃくちゃ感謝されるんやな」という実感もありました。修理品の中にはクレームで持ち込まれたものも多く、うちがきちんと直すことで、お店の人もお客さんもホッとできる。「助かったわ」と言ってもらえるのが嬉しいし、こんなに人の役に立ってる仕事なんだと。自分で営業してこそ、この仕事の真価に気づくことができました。


入社して4年が経ち、会社を率いる立場となった井上氏が、経営において重視したのは「組織化」である。
創業者のマンパワーに頼るのではなく、次世代へ繋げるための土台づくりとして役職制度を導入し、組織体制を整備した。
「2代目で終わらせてはいけない、組織力を高めて3代目につなげるのだ」という覚悟がそこにある。

また新たな経営理念「価値あるものを未来につなぐリペア企業」も策定した。

それまでは「困ったを喜びに」という理念を掲げ、最初しっくりは来てましたが、言葉が汎用的すぎてビジネス全般の企業に当てはまるため、今回はもっと「レザーアートらしさ」を表現できる言葉にしようと考えました。

“価値”には、①思い出 ②ブランド ③技術 ④資源の4つの意味を込めています。
これまでの経験や、先代の言葉、「ものを大切にする」をはじめとする会社に根づいてきた考え方を整理して、自分なりに形にしました。


理念を社内全体に浸透させるうえで、井上氏が注力しているのが「誇りの再認識」だ。
社員の内面から湧き上がる誇りをどう育てるか。その一環として、家族や地域を巻き込んだ取り組みを行っている。

先日、社員のご家族に工房へ来てもらう「ファミリーデー」を開催しました。見学やワークショップを通じて、自分たちの仕事を身近な家族に「すごいね!」と言ってもらえる体験が、誇りにつながると考えたのです。
これからは「ファクトリズム」(※1)などにも参加して、社外の方にもレザーアートの仕事を知ってもらう場を増やしていきたいです。外部との接点が、社員自身の再発見にもなるはずです。

(※1)ファクトリズム:八尾市を中心に関西広域で行われるオープンファクトリーイベント。ものづくりの現場が一般公開され、参加者は見学やワークショップの体験ができる

“ ものを大切に ”の想いに、ブランド品リペア職人集団で応える! 価値を未来へつなぐ2代目経営者の新たな挑戦
家族からの「すごいね!」が嬉しい〈ファミリーデー〉


BtoC参入と職人技術の継承で目指す「ブランド修理のトップカンパニー」


BtoBに強みを持つレザーアートだが、近年はBtoCにも本格参入している。
2025年秋に東京・麻布台ヒルズへの店舗出店予定など、個人客向けの窓口を別会社として立ち上げたのだ。
この背景には商品のブランドポリシーの範疇を超えた、「お修理する」ということをより多く一般の方に直に知ってもらい、身近に感じてもらうためである。

そこで井上氏は、ブランド業界に限らず広く修理需要に応え、ブランド修理のトップカンパニーとしての地位確立を目指している。
その中でも大切にしたいのは、「職人技術の価値」と話す井上氏。

最近は芸術系の大学や服飾の専門学校などで学び、「理念に共感した」とうちに来てくれる方が多いですね。中途採用では、営業職だった方やラーメン店で働いていた方など、経歴はさまざま。
共通して言えるのは、「指先を動かして何かをするのが好きだ」という気持ちがある方に向いている仕事だと感じます。
今の製造業界は、ボタンを押せば機械が自動で作業してくれたり、パソコンで設計図を描いてあとはロボットが作ったりという方法が一般的になりつつあります。でも、うちの仕事は全く違う。1から10まで職人が自分の指先の感覚だけで仕上げていく、今の時代ではかなり珍しいアナログなものづくりなんです。


修理作業には“一点ものの状態に応じた最適な処置”を求められるため、マニュアル化も難しい。
だからこそ、レザーアートには職人の勘と経験が活きる世界が広がっている。

技術の継承は経験がすべてで、資料やマニュアルでは伝えきれません。だからこそ日々の仕事を丁寧に積み重ね、「価値あるものを未来につなぐ」という経営理念を通して、技術の大切さと想いを次の世代につなげていきたいです。



“ ものを大切に ”の想いに、ブランド品リペア職人集団で応える! 価値を未来へつなぐ2代目経営者の新たな挑戦


株式会社レザーアート
本社:大阪府八尾市清水町1-1-29
オフィシャルサイト:https://www.leather-art.co.jp/