ビーイングホールディングス株式会社 / 会長 安國正隆氏 代表取締役 三由忠志氏
コロナ禍が収束し1年余。規制から解放され、球場に、コンサート会場に、イベント会場に人々が戻ってきた。
大勢の人、喝采と声援、歓喜に包まれた会場、ともすれば混乱を招きかねない空間をスマートにコントロールし、感動体験をアシストするスタッフたち。
ユニフォームにプリントされた「BE-ING」の文字が一際目立つ彼らは、今や関西のイベントには欠かせない存在となっている。
大阪市西区靱公園前に本社ビルを構えるビーイングホールディングス株式会社を訪ね、会長 安國正隆氏と代表取締役 三由(みよし)忠志氏にビーイング誕生秘話、今後の展開などについて話を聞いた。(敬称略)

左:会長安國正隆氏と右:代表取締役 三由忠志氏
イベントの裏方として才覚を発揮した安國会長
古くは日本武道館で初めてビートルズのコンサートが行なわれたのを皮切りに、ホールコンサートの人気が高まりつつあった1960〜70年代。
人気アーティストのコンサートはステージにファンが押し寄せ、死傷者が出る事故例もあった。
観客に安全にコンサートを楽しんでいただきたい。それは主催者側の切なる願いだった。
当時、大学生だった安國正隆氏(現会長)は、中之島フェスティバルホールで裏方のアルバイトをしていた。
そんなある日のこと「郷ひろみのコンサートで整理員が120名ほど必要になるのだが集めてくれないか」と、打診された。
安國
人集めをするのに苦労はなかったですね。特に人気スターだったらすぐに集まりました。パンクやレゲエなどのコンサートでは、屈強な警備が必要かと思い米軍の人たちを雇ったこともありました。お手本はありませんでしたから、自分で考えて動き、やれることはすべて一人でこなしました。
警備・運営の人員を集めることで観客の事故を防ぎ、催し物を楽しんでもらえる。社会的にも意義のある仕事に、安國氏は生きがいと確かな手応えを感じていた。さらに時代の追い風もあった。
「これからは事業として成り立つのではないか」
そんな思いからビーイングを創業したのは、若干25歳の年だった。
以来、関西での多くのコンサート、スポーツイベント、フェスティバルなど、人が集まるところに「BE-ING」あり!の構図を人々に印象づけてきた。

あらゆる会場運営のフロンティアとして
現社長の三由(みよし)忠志氏がアルバイトとしてビーイングに入社したのは1987年。
まだ大学生だった三由氏は、頑張れば成績があがる、努力を正当に評価され認められる、という社風と仕事の面白さに寝食を忘れるほど熱中していった。
三由
当時、スタッフはまだ6〜7人という規模だったんですが、売り上げは倍々ゲームのように伸びていきました。私はどうやって仕事を取るか、人を集めるのか、試行錯誤しながら日々を送りました。会社を大きくしていく面白さにのめり込んで、気がつくとあっという間に社員になり役員になり、社長になっていたという感じです。
1983年には大阪城ホール開業、1997年には大阪ドーム(現、京セラドーム大阪)開業と、会場の大型化・ドーム化が進んだ時代。
イベント運営業界のフロンティアとして最前線を疾走していた同社ならではの苦労もあった。
安國
甲子園球場などの運営を手がけたことはあったのですが、ドームはまったくの未経験で、3〜4万人の観客をどう案内し誘導していくのか。
「大阪の会社でやれるのか?」と当時はよく言われました。
現在のように現場でコンピュータが多用されていなかった時代、図面に線を引き、点を打ち、人の配置と導線を決めるなどして、主催会社と警備会社とともに手探りで会場の運営を計画し、実行していった。
アルバイトから社長へ。努力は必ず報われる
一言では語れない幾多の創意工夫と苦労、そして実績と信頼を重ね築き上げてきた40数年。
現在は年間登録者は8,000人を超える。卒業生も多く、彼らが広告塔となって各方面で営業活動を展開してくれている。
中にはアルバイト経験の2世代、3世代目もいて、同社がいかに若者に人気職で、人を大切に育ててきたかが容易に想像できる。
ビーイングは以下の7つの関連会社で事業を展開している。
ビーイングホールディングス(株)、(株)ビーイングプラス、(株)ライズビーイング、(株)神戸ビーイング、(株)スタービーイング、(株)ビーイングスピリット、(株)ビーイングippo。
特筆すべきは、各社の社長はすべてアルバイトからの昇進ということだ。
現場の第一線で働く学生を同社の社員として採用することがほとんどで、離職率も少ないことはその大きな利点と言えるだろう。
しかし、それ以上に「人を大切にする」同社の経営理念が根付いているように思える。
それは三由社長からの言葉からも感じ取れた。
三由
当社に登録している若者は、エンタメが好きなんですね。彼らのスキルを生かして働ける場所を探すのも我々の仕事だと思っています。
登録スタッフの登録促進には大学生向けフリーペーパー『頑張る学生を応援する実感マガジンBE/ST(ベスト)』の発行、自社専用の採用webサイト「BE-Live.tv」の運営や合同就職説明会を開催しています。
当社で育った優れた人材をエンタメ業界により多く輩出できればと考えています。

エンタメ業界の未来に貢献していきたい
エンタメ業界はIT化が遅れており、人海戦術による作業がいまだ主流となっている。会場設営ではステージ作りや撤去なども人手に頼るところが大きい。
三由
この先、少子高齢化で人手不足が顕著になり、スタッフが潤沢に集まらない時期が必ずやってくると思っています。
未来を見据え、今我々が考えなければならないことは多くあります。アンテナを張って、知恵を集結して、スタッフの募集や配置、何より労働の効率化をいかに目指していくか。それにはITの積極的な活用も視野に入れていかなければなりません。
業界で働くスタッフの労働環境の整備はもとより、個々のスキルアップの向上も重要だ。
早くからスタッフ教育にも尽力し、プロフェッショナルとして活躍できるマナーや技能の修得を後押ししている同社。
主催者も観客も、そして働くスタッフたちも「感動」を共有できる新しいエンタメ業界の未来に大きく貢献していくに違いない。

