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バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来
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バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来

2026.02.26
アイバイオプロダクツ株式会社





アイバイオプロダクツ株式会社 / 代表取締役 福村 修一 氏



バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来

大阪府八尾市に本社を構えるアイバイオプロダクツ株式会社は、東部中央卸売市場で22年間勤めた経験を持つ代表取締役の福村修一氏が2010年に設立した。果物の加工と販売を主事業とする。創業の経緯を、福村社長はこう話す。

中央卸売市場には、百貨店に並ぶような美しいものから、形や色の悪い農産物まで、さまざまなものが入ってきていました。かつて、形の悪い野菜は漬物業者などが利用していましたが、加工効率の観点から次第に敬遠され、最近では『輸入したほうが早い』と、卸売市場では規格外の農産物を扱わなくなってきたのです


バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来

野菜だけでなく果物も同様の状況であった。産地が気になり実際に足を運んでみると、そこで目にしたのは生産者に不利益が生じている現実だった。
形や皮の色の悪い果物は、ジュースやゼリーの業者が引き取っていましたが、驚くほど安価に取引されていました。そういったものに何とか付加価値をつけ、収益化できる取り組みはできないか。それによって、生産者の所得を向上させられないかと考えていました


そんな中、はっさくやデコポンなどの皮が厚い果物は、剥く手間から消費者に敬遠されがちであることに着目する。あらかじめ皮が剥かれた状態で商品化されていれば、消費者の手も伸びやすくなるはずだ。そこで福村社長は大学教授の協力も得ながら研究を重ね、化学薬品を使わず、安心・安全な酵素を用いて皮を取り除く「酵素剥皮(こうそはくひ)」(※1)の技術を確立。特許を取得した。

※1 酵素剥皮(こうそはくひ)とは酵素の力で、果実の皮と実をつないでいる成分(ペクチンなど)だけを溶かして剥く方法

付加価値をつけるには加工業しかないと考え、酵素剥皮の工場を作りました。そこからどう販売していくか、という模索が弊社のスタートでした


しかし、「この商品が流通すれば世界が変わる」と信じて始めた事業だったが、市場の反応は芳しくなかった。大手スーパーとの取引も、一旦停止を余儀なくされる。事業を継続させるために次に選択したのは、カットフルーツの販売だった。複数の果物をパックにした商品を開発し、大手スーパーとの取引が成立。これが現在の事業の柱となった。

結果として、現在は軸足が完全にカットフルーツへと移行しました。果物のカットには、スーパーの店舗内で行う『インストア』と、外部工場で製造したものを仕入れる『アウトバック』の2種類があります。我々は後者ですが、市場規模は著しく拡大しています


思い描く理想を形にするため、 カットフルーツの販売でさらなる成長を目指す



とはいえ、創業当初に思い描いていた理想を手放したわけではない。
現状、取り扱う果物の60~70%は海外産ですが、当初目指していた方向性に変わりはありません。弊社には分厚い柑橘類の皮を剥く独自技術があります。これをさらに効率化してビジネスベースに乗せ、九州や青森など各地に加工工場を設ける仕組みを構築したいと考えています。低等階級品にまで付加価値をつけ、最終的に日本の農家の所得向上につながる流れを作りたいという思いは、今も変わりません


バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来

「ただ……」と、福村社長は社の現状を率直に吐露する。
今の私たちには、まだそこまでの力がありません。年商の面で見ても、理想が現実になる段階ではないのです。まずは我々がもっと力をつけ、企業として成功事例を作る必要があります。そのうえで私たちの手法を広めていくことが、業界全体の活性化につながると考えています。目標や理想を叶えるために、今はしっかりと現実と向き合っている最中です


今後の展望について尋ねると、数字を交えた具体的なプランを明かしてくれた。
関西圏でのカットフルーツの売上上限は、おそらく10億円程度でしょう。それ以上も可能ですが、人員確保や工場の増設は容易ではありません。まずは売上10億円への到達が第一の目標です


次の一手として考えているのは、加工品の製造・販売だ。
例えば、果物を活用した洋菓子などをセントラルキッチンで製造し、供給するモデルです。現在、洋菓子業界は人手不足や原料高騰で非常に厳しい状況にあります。そこで、ベースとなる洋菓子を弊社で作って供給し、仕上げの数パーセント(果物を切って乗せるなど)だけを現場で行って『本物感』を出す。そうした商品展開により、次の目標である売上20億円を目指したいと考えています


一口食べれば四季の情景が浮かぶ そんな果物の魅力を、より広く伝えていく



バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来

主力商品であるカットフルーツは、現在、販路を関西圏から山口県までの西日本一帯へと広げている。いずれは全国展開を、と見据える福村社長の視野は、国内にとどまらず海外へも向けられている。
ウズベキスタンには、年に3回ほど足を運んでいます。輸入先として非常に魅力的ですし、現地での加工場建設や作物の栽培計画も進めています。今年の春からは、本社でウズベキスタン人を雇用することになりました。彼らが日本で果物の加工・保存方法を学び、母国の発展に貢献してくれればと願っています

果物は主食ではない。しかし、食と暮らしを豊かにする力がある。そこにこそ、果物の存在価値があるのだ。
その通りです。栄養素がどうこうと理屈で語るから、ややこしくなる。野菜は一年中同じものが手に入りますが、果物は農産物の中で最も四季を感じられるものです。青森のりんごや熊本のいちごを口にすることで、その土地の情景や季節が浮かんでくる。味はもちろん、そうした情緒こそが果物の魅力です


バイオテクノロジーの特許技術とカットフルーツで挑む、農業の未来

福村社長の根底にあるのは、生産者の所得向上と消費者へのサービス提供だ。その具現化のために果物と真摯に向き合い、旬の美味しさを届ける。フルーツの可能性を信じ、伝え続けることで、同社はさらなる成長を遂げていくだろう。

アイバイオプロダクツ株式会社
本社:大阪府八尾市恩智北町1-38-1
オフィシャルサイト:https://www.i-bio.co.jp/