Vision Match Osaka
三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。
大阪市中央区小売・流通飲食・フード女性社長

三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。

2023.09.01
ケンズパス株式会社

ケンズパス株式会社 代表取締役 高好理紗氏

                                                                

ポルトガルの伝統菓子、エッグタルトが日本に初上陸したのは1999年のこと。
マカオにある名店『ロード・ストウズ・ベーカリー』(※1)のアンドリュー・W・ストウ氏によって開発され、アンドリューのエッグタルトとして日本に上陸した。
サクサクのタルト生地に、卵の風味豊かなカスタードクリームがたっぷり詰まっていて、一度食べるとまた食べたくなる、そんなくせになる魅力的なお菓子である。
卵とタルトの絶妙な配合から生みだされるエッグタルトは、上陸するやいなやたちまち大ブームになった。
(※1)ロード・ストウズ・ベーカリー:本店はマカオのコロアン島にある。創業者で英国人のアンドリュー・W・ストウ氏の名前から、アンドリューのエッグタルトと呼ばれている。

そのマカオの『ロード・ストウズ・ベーカリー』から受け継いだ製法・レシピ・味を忠実に守り続け、製造販売しているのが、ケンズパス株式会社である。

道頓堀本店を始め、大阪難波駅店、JR鶴橋店など、店舗数は6店舗あり、手土産や家族のおやつに親しまれている。
このアンドリューのエッグタルトを日本の文化にしようと奔走しているのが、2017年にケンズパス株式会社の代表取締役に就任した高好(たかよし)理紗氏である。

三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。


代表取締役に就任する前はどんなことをされていたんでしょうか?
大学卒業後は、航空会社で地上職に就いていました。
そのあと、店舗でボディコスメを販売する仕事を経験しました。


アルバイトを掛け持ち中に、アンドリューのエッグタルトの販売員になる



父の背中を見て育った高好氏は社長になることへの憧れはずっとあったという。
いつか自分も起業したいという思いを持っていた。
多くのアルバイトの掛け持ちもした。

なぜ、アルバイトの掛け持ちを?
起業に向けての資金を稼ぎたかったのと、一社に縛られず、さまざまな業界や業種で経験を積みたかったというのが理由の一つです。

アンドリューのエッグタルトに関わることになったきっかけも、アルバイトからだった。

ちょうどアルバイト先を探していた私と求人募集をかけていたお店のニーズがマッチしたので、父の勧めもあってアルバイトをすることになりました。

三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。

会社を経営していた高好氏の父親は、10年前から飲食業、自動車関連の会社など経営の多角化を進めており、買収した会社のひとつにアンドリューのエッグタルトの製造、販売会社、ケンズパス株式会社があった。

高好氏がアルバイトをしていた時に、大阪難波駅店をオープンする話が持ち上がり、立ち上げに参加することになった。
しかし、立ち上げに参加した高好氏は、アルバイトをしていたときからずっと感じていた違和感があったという。
その違和感とは・・・・。

大家族経営のぬくもりが感じられず、当時は父の会社とは思えませんでした。
それが違和感であり、ショックでしたね。


大家族経営と高好氏がいうのには、理由がある。
幼いころから父親の会社の雰囲気を見てきて、いつも社員も家族のような雰囲気があったそうだ。
働く人はみなが楽しそうだったという。
しかし、そんな雰囲気がまったく感じられなかったそうだ。
また、父親がケンズパスの社長の人選に悩んでいる姿も目にしていた。

ケンズパス株式会社の代表取締役に就任する決意をされたきっかけはなんだったんですか?
父の助けになりたい、会社を良くしたいという思いがきっかけです。


ケンズパス株式会社の代表取締役に就任したのは2017年10月、27歳のときである。
大家族のような会社経営を行いたい、父親を笑顔にしたいという強い思いを叶えるための道は険しかった。

収益は落ちていき、買収後最大の損失を出してしまう。
PR活動や店舗、工房には目を配り、奔走していたが、経理は任せっきりだったそうだ。
月末にお金が回らない事態も発生した。最初は戸惑いも多かった。

本部と現場の溝を感じました。本部が決定したことを受けて現場が行動するという仕組みができていました。
その結果、現場は言われたことしかしないという状況に戸惑いを感じました。


三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。


本部と現場との溝をなくすための改革


本部と現場との溝をなくすために、お客様と直接接する現場の士気を高めるためにはどうすればいいのか。
高好氏は、本部社員のみならず、現場社員にも光を当てる仕組みづくりを行っていった。

具体的にはどのようにして仕組みを作っていったのでしょうか?
具体的には、お客様と直接接している店舗スタッフの声を商品に繁栄できるように、企画会議に参加してもらったり、SNSやWEBでいただいたお客様の嬉しい声を社内のチャットツールで全社共有したりするといった取り組みを実践しました。

こうした取り組みの結果、本部と店舗の関係をピラミッド型ではなく、バランスの取れた支え合う関係性に変わっていった。


積極的に店舗に足を運んで、現場の声に耳を傾けるように心掛けています。

店舗スタッフが企画開発に関わることで、販売数も伸びたという。
インナーブランディング(※2)に力を入れ、社員や現場スタッフの連携の強化を図っている。
社員に営業日報を書いてもらい、高好氏が、毎日コメントバックし、社員との連携強化を図り、社内勉強会をすることで価値観教育、理念の浸透に力を注いでいるそうだ。
(※2)インナーブランディング:社内に向けて行うブランディング活動。外部に向けて発信されるブランドと従業員を結び付け、従業員にブランドが持つ意味を浸透させることで、実際の行動につなげてもらう。

企業は人です。1人1人の社員がいきいきと働いてもらえるようにしています。本部と各店舗の待遇面も改善していきました。
1人の力では何もできないです。何もできない私に付いてきてくれる社員を不幸にすることは失礼な話です。
責任の重さが今になって増してきましたね。


就任当時16店舗あった店舗数を6店舗に縮小したが、コロナ禍でも各店舗の売り上げは上がり、2023年6月末の利益は過去最大になった。

昨年には、道頓堀本店の改修工事をし、今年は大阪難波店をリニューアルする予定である。

三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。


2020年には「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」(※3)チャレンジ企業の認証を受け、2022年には「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」二つ星企業の認証を受けた。
(※3)「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」:平成26年にスタート。女性にとって働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組むことで、一定の基準を満たしている企業等を大阪市が定める基準に則って認証される制度。

やっと父に少しだけ恩返しができました。

そういって笑顔を向けてくれた高好氏は、この春に第一子を出産したばかりである。
さぞ、大変ではないだろうかと聞いてみると・・・

夫が協力してくれるので助かっています。出産した翌日もチャットで仕事をしていました。
コミュニケーションできることが心地よかったです。

なによりも社員とのコミュニケーションを重視している高好氏らしい答えが返ってきた。

ブームから文化に!三世代に楽しんでもらえるお菓子、エッグタルト


エッグタルトが日本にやってきてもうすぐ25年経ちますが、まだまだ伸びしろがあると考えています。
エッグタルトはお子さまからおじいちゃん、おばあちゃんまで、三世代にわたってご家族みんなで楽しんでもらえるお菓子です。
愛するエッグタルトをみなさんに長く愛していただけるように、日々、こつこつと努力を積み上げていきます。


アンドリューのエッグタルトは、今でも一番の看板商品である。
独自に日本のフレーバーを使った季節商品は出しているが、売り上げの8割は定番のエッグタルトが占めているそうだ。

高好氏にアンドリューのエッグタルトに合う飲み物を聞いてみると、なんでも合いますがと言いながらオリジナルのドリップコーヒーバッグ(「オリジナルブレンドコーヒー 」ドリップバッグ)を見せてくれた。
エッグタルトに合う昔ながらの濃いめのコーヒーである。

最初に目指した温かみのある大家族のような会社にしたいという姿勢は今も変わらない。
バームクーヘンやワッフルが日本の代表的なお菓子として定着したように、エッグタルトも長く愛される商品にするために高好氏のさらなる挑戦が続く。

三世代が楽しめるお菓子「アンドリューのエッグタルト」を日本の文化に。

ケンズパス株式会社
本社:大阪市浪速区幸町2-8-7 六甲桜川ビル5F
オフィシャルサイト:https://eggtart.jp