株式会社ネクスト・ワン / 代表取締役 礒崎正浩 氏
株式会社ネクスト・ワンは大阪府堺市に本社を構え、OA・情報通信機器の販売と施行、メンテナンスなどを主事業として行う企業。礒崎氏は大学卒業後OA機器を販売する会社に入社、社会人としてのキャリアをスタートさせた。その後独立起業し、代表取締役となった。礒崎氏が社会に出たころは、OAが社会を席巻していた時代。起業した背景には、当時の強引な販売方法に疑問をいだいたことがきっかけだった。

当時は業界全体もそうでしたし、私が入った会社もなんでもありというか、強引な販売方法をとっていたんです。会社の都合で商品を売りつけて、お客様のことは二の次。とにかく、売り上げを上げろと。そういうやり方に、早い段階から疑問を持っていたんです。しばらくすると自分で売り上げを上げられるようになってきて、これなら独立してやっていけるなと思いました
独立のためその後に数社での経験を重ね、社会人としておよそ10年が経ったころに、一社目で後輩だった営業マンと会社を立ち上げた。
私が代表を務めていましたが、実際には共同経営に近い形でした。ただこれについては先輩である社長の方々から『共同経営は行く行く、必ずもめる』と聞かされていたんです。私たちはそれを真摯に受け止めて、3年間はいっしょにやろう、それからそれぞれが独立しょうと。当時はお互いが営業マンでしたから、その間に自分の顧客の囲い込みをする。それと商品の仕入れ先ルートの確保や、お客様との契約はリース契約が多いのでリース会社との取引など、商売をきちっとできる体制を3年間で整えていこうとなったんです
土台作りに力を注いで3年が経ち、お互いに独立してやって生ける形が整った。約束どおり共同経営を解消し、その会社は後輩に託し、礒崎氏は個人で創業。かねてから疑問を抱いていた業界に対して、自分が新しい体質の会社を作る。そんな決意を込めて、社名をネクスト・ワンとした。
創業から17年。顧客に向かう
心構えは、今も変わらない
礒崎氏は業界で長い経験があり、共同経営もそれぞれが独立することを前提に行っていた。それもあってネクスト・ワン社は立ち上げから旧知の顧客と取引を行うなど、比較的スムーズなスタートを切った。設立は2008年。あれから17年の月日が経ったが、顧客に向き合うにあたっての心構えは、今も創業当時と変わらない。
私は誠実と感謝を、自分にとってのキーワードにしています。悪い営業マンは、できないこともできますと言ったり、あやふやな言葉でごまかしたりします。そういうのはアカンと、かねてから思っていました。できることはできる、できないことはできないとはっきりと言う。態度を明確にするのはとても大事なことですし、それこそがお客様に対する誠実な向き合い方だと考えています。そのうえで、何事にも感謝の心を忘れない。この感謝と誠実はあえて言葉にするものではなく、身体に染み込ませることで、自然と態度に表れると思っています
現在は15名の従業員を抱え、傘下にはパソコンの保守メンテナンスをメインとする会社、Wi-FiやLANの工事を請け負う会社を従えている。従業員にも徹底しているのは、誠実であり、感謝の心を持つこと。これはまさに、ネクスト・ワン社の背骨たるものだ。
工事に伺うスタッフやサービスマンには、基本的に現地に10分前に到着することを徹底しています。お客様にとって、時間は貴重なものですから。それとエンジニアは、ついつい知識を出したがるんですよ。それがお客様にとっては余計なことになる場合もあるので、そこの線引きはきっちりと守ってくれよと言っています。知っていても、超えてはいけないラインというものがあるんです。また先ほどの営業マンの話にも通じますが『できる限り可能な範囲で』とか、逆に『なんでもできます』などと、相手に期待をさせるあやふやなことは言わない。そしてお客様に対しては、必ず感謝の言葉を言いなさいと。それらはつねに、従業員に言っていることです
来たるAIの時代へ。経営者は
変化への対応が必要と心得ている
OA機器というハードが主力だった時代からデジタル化が進み、最近ではAI(※1)が登場とオフィスを取り巻く環境は目まぐるしく進化している。そんな時代の変化への対応が必要だと当然、経営者は心得ている。
※1 AI(Artificial Intelligence)とは、人間の知能をコンピュータ上で再現する技術の総称で、人工知能と呼ばれています。一般的には「人が実現するさまざまな知覚や知性を人工的に再現するもの」という意味合いで理解されています。
そこは本当に、乗り遅れてはいけないところですね。今後はAIに進む流れを考えて、そういう知識を持った人を雇い入れることを視野に入れています。我々のほうでも業務改善をしながら、お客様に対してしっかりとしたご提案ができる体制を整えていかないといけない。AIなど最新の情報を取り入れて、お客様にフィードバックしていくという意味では、コンサル的な側面も強調されていくと思います。そうした流れのなかで、弊社の形も変わっていくかもしれません。今後は物売りではなく、課題解決ソリューション営業という方向になるのかなというイメージがあります
言葉が先行しているが、AIになってオフィスがどう便利になるのか。ユーザーにとってそれは、まだおぼろげなものかもしれない。それについて、礒崎氏がわかりやすく説明してくれた。

まず業務改善には、必ず役に立ちます。わかりやすいもので言えば、紙に書かれているものを人間が手を使ってパソコンに入力していく作業。そういったものは、AIでできてしまいます。弊社の顧客の業務内容はある程度こちらで管理させていただいていますので、どこにAIを導入すれば効率化が図れるかがアドバイスできます。お客様に合わせてAIを使った業務改善のご提案を、どんな場面で利用が出来るか我々のほうでも考えているところです
誠実と感謝を胸に刻む。
それが経営者たる自らの矜持
AIを導入して、ただ単に人件費の削減を勧めるのではない。単純作業から解放された人材に、別の場所で活躍してもらう。そうすることで、会社も社会も有機的に機能させていく。それが、礒崎氏の提案の根底にあるもの。
まさにそれが、私が大事にしたいと考えているものです。それとこれからは、AIに対応していくのと同時に、地域社会に貢献していきたいとも考えています。コロナ禍になって以降、子どもの自殺者が急激に増えている現状があるんです。それを憂いた女性の絵本作家が、『ひとりじゃないよ』という作品を発表しました。周りには必ず助けてくれる大人がいるから、頼るんだよという趣旨の絵本です。このプロジェクトに会社として登録させてもらって、堺市の全小・中学校に会社から本を贈呈させていただく取り組みをしています。今後もこういったことを通じて、地域社会への貢献をやっていきます

ひとりじゃないよ プロジェクト
礒崎代表はお客様をないがしろにした販売スタイルに疑問を持ち、業界に新しいスタンダードを築くべく独立した。その方針を貫き通しながら時代がOAからデジタル、そしてAIへと進化していってもあくまでも顧客とその従業員に寄り添い、効率化のために切り捨てられる人々が生まれるのを決して善しとはしない。さらに社の活動を通じて得られた利益から、地域社会への還元も行う。それが誠実と感謝を胸に刻む、経営者の矜持(※2)であるかのように。
※2 経営者の矜持とは、経営者が持つべき信念、誇り、そして責任感の総称です。それは単なる個人的な感情ではなく、組織全体を導き、社会に貢献するための重要な要素となります。
