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「頑張っても報われない大学をなくしたい」 AI活用で学生募集改革に挑む若き教育起業家
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「頑張っても報われない大学をなくしたい」 AI活用で学生募集改革に挑む若き教育起業家

2026.07.23
株式会社MyREVO

株式会社MyREVO(マイレボ) / 代表取締役 隈本圭佑 氏



18歳人口の減少が続くなか、大学や専門学校の「学生募集活動」は年々厳しさを増している。
オープンキャンパスや広報に力を入れても、実際の出願者数や入学者数を見通すことは容易ではない。募集戦略の立案から結果分析まで、職員の業務負担もかなりのものだ。

こうした課題にテクノロジーで挑むのが、隈本圭佑氏が率いる株式会社MyREVO(マイレボ)。

独自に開発した、AI予測モデルに基づく「学生募集マーケティングシステム MyREVO」を武器に、学内の蓄積データと独自開発のAIを掛け合わせることで、志願者の動向を可視化・最適化し、募集活動の効率化と歩留まり向上という学校経営の意思決定を支援している。

「頑張っても報われない大学をなくしたい」 AI活用で学生募集改革に挑む若き教育起業家


教育一家に育ち、教員を志した青年の転機


隈本氏は1984年に福岡県筑後市で生まれた。隈本家は代々、教育に携わってきた一族であり、先祖は寺子屋的な教室をひらいたり、大学の学長を歴任するなどしていたという。
隈本氏も教員をめざして福岡教育大学へと進んだ。
しかし、教員採用試験の一次試験が終わったタイミングで「本当にこのまま教員になっていいのか」と引っ掛かりを感じたという。
そこで1社だけ民間企業で就職活動をしてみた。それが、人材マッチングや情報サービスで知られる株式会社リクルートだった。

それまで教育大学で学んでいた自分は、ずっと「教員って素晴らしい」という話を聞いていました。中には、一般企業で働いている人は可哀想だという人さえいたんです。本当か?と疑問に思っていて、それをリクルートの面接でポロッと話したら、「いやいや、そんなことないからね。ビジネス社会にも<教育>はあるし、そこにもたくさんの変化があって面白いんだぞ」と。すごく興味がわいて入社を決めました。


ただ、やはり教育一家の血筋で、隈本氏はリクルートの中でも「まなび事業部」に属した。
個人・学校向けのオンライン学習サービス「スタディサプリ」の提供や、学生の進路選択を支援するサービスなどを行う事業部である。
九州、関東、関西と勤務地は変わりながらも、隈本氏は13年間にわたり一貫して「まなび事業部」に在籍。特に後半は、中小規模の大学が新入学生を確保するための「学生募集活動」の支援に携わっていた。

中小規模の大学は、その多くが定員の充足に苦戦しています。まずは定員を埋め、次は安定化させる。次第に大学のブランドを上げる……。そういった、段階的に“教育の潮目を変える”ような支援を目標としていました。

2018年には、全社表彰で通期最優秀マネジャー賞を受賞するほど成果を上げた隈本氏。
しかし、次第に自身の中で、ある課題感が大きくふくらんでいく。

「頑張っても報われない大学をなくしたい」 AI活用で学生募集改革に挑む若き教育起業家


大学現場で感じた、広報が徒労に終わる現実


隈本氏は、顧客である大学の経営会議にも同席するような立場にあった。中長期構想や学部づくりについて、理事長や学長の話を聞く。大学に何度も足を運び、入試広報の担当職員や教員たちと話し合いながら学生募集の施策を提案する。その繰り返しの中で、一つの現実が見えてきた。
学校現場の方々って、本当に忙しいんです。朝早くから授業、その後も学生に個別対応。もちろん授業の準備や自分の研究もあるし、身を削って働いておられる。でも、どれだけ学生と向き合っても、どんなに学生募集に力を入れても報われないんですよね。ほんの少し偏差値の高い大学に志願者が集まったり、他の大学が追加合格を出すと自分のところが減ってしまったり……。学生を成長させる環境は整っているのに。

頑張っても頑張っても、最後は徒労に終わってしまう。そんな例を見るにつけ、「普通に広報するだけじゃ限界があるな」と痛感しました。僕はリクルートに入ったとき、一定の経験を積んだら、当初の目標であった教員に戻るつもりだったんですよ。でも、やっぱり仕事は面白い。社会にインパクトを与えるってこういうことか!と実感するにつれ「教育を外側から活性化したい」と思うようになったんです。


もともとリクルートは起業文化が根付いた社風でもある。隈本氏も、課題感の解決に向けて起業を意識するようになり、リクルートでの最後の2年間はグロービス経営大学院(※1)にも通った。その中でビジネスデータサイエンス(※2)について学んだ際、「大学というところは、データを膨大に持っているのに宝の持ち腐れになっている。学生募集に活用できないか?」という気づきが生まれた。課題を突破するための“手段”が見えたのだ。
(※1)グロービス経営大学院:日本最大級の規模を誇る社会人向けのビジネススクール
(※2)ビジネスデータサイエンス:数学、統計学、人工知能(AI)などの情報科学を駆使し、膨大なビッグデータを分析し、企業の売上向上やコスト削減、新たなサービスの創出など、ビジネス上の意思決定や課題解決に直結させる手法や学問のこと。

そこで2021年、リクルートを退職。グロービス経営大学院で知り合った先輩が福岡で立ち上げた企業に約1年参画し、スタートアップ(=革新的なアイデアや新しい技術を用いてビジネスモデルを創出し、短期間で爆発的な急成長を目指す企業やチーム)の現場を見てから、自身の創業に向けて動き出した。

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「半年で潰れるね」と言われた創業時


MyREVOは現在、隈本氏を含め業務委託・インターンシップ生も合わせて常時9名が稼働している。
創業時に隈本氏が「一緒にやらないか」と最初に声をかけたのが、グロービス経営大学院で知り合った今井貴文氏である。
今井氏は鉄道輸送のデータサイエンスに従事した経歴をもち、機会学習等も活用したデータ分析に長けていた。
隈本氏が会社のビジョンを語り、フロントで営業推進する立場であるならば、今井氏はバックオフィスでデータと向き合い、システムを開発する立場となる。

今井氏は話に乗ってくれたものの、入社初日に“キツイ一言”があったという。
2022年2月22日に会社を設立して、4月1日に今井が入ってきてくれたんですけど、いきなり「この会社、このままいくと半年で潰れるね」と言われました。初日に言うか!? と、一気に険悪な雰囲気ですね。
いや、でも率直に言ってくれて良かったんです。タイムリミットまで時間がないと突き付けられたわけですから。
そこからはもう、睡眠を削ってシステムの初号モデルを必死で作りました。“寝ずの甚八(真田十勇士のひとりで怪力の荒武者)”ってやつですよ(笑)。


大学や専門学校には、進学フェアに来た高校生へのアンケートデータや、進学情報サイトを介しての資料請求データが蓄積されている。それらのローデータ(生データ)を前処理する既存のシステムを使い、機会学習させ、新たな「学生募集マーケティングシステム」を構築していった。
それが特許まで取得した「MyREVO(マイレボ)」だ。

「頑張っても報われない大学をなくしたい」 AI活用で学生募集改革に挑む若き教育起業家


「MyREVO」を導入した大学や専門学校では、高校生一人ひとりの属性や志向から、AIの働きによって来校確率や出願確率を予測することができ、「この学生にはどんな個別アプローチが刺さるか」といったことまでわかる。

2022年8月のサービス開始以降、導入校での年間出願者の予測精度は90%以上。
例えば「見込みの薄い高校生にはパンフレットを送らない」といった対応がとれるため、時間やコストの削減に大きく貢献している。


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企業CM「学生募集にほえろ!」篇


大阪から教育をさらに変えていく「MyREVO」の未来


「MyREVO」は、実際に運用しながらも幾度かのブラッシュアップを重ね、精度を高めるとともに可能なかぎり自動化を進めてきた。創業直後は、大学や専門学校からデータを預かってからシステムを提供するまで1週間ほどかかっていたものが、今は3〜5時間でアウトプットできるという。
当初は関西の学校から導入をすすめてきたが、現在は全国へと広がってきている。

しかし、そもそも福岡で生まれ育った隈本氏が、なぜ大阪で創業したのだろうか。
関東でも働いた経験があり、最後に参画したスタートアップも福岡の企業だったはずだ。その理由を自身はこう語る。
教育の変革って、西から起きるんですよ。新しい学部も、新しい取り組みも、昔から始まりは関西。これは教育に限らず、産業でもそうじゃないですか。特に大阪は中央から離れた商人のまちですから、自由にやれる中で“やってみなはれ精神”が根付いていますよね。だから自分が創業する時も、やっぱり新しいチャレンジにベット(賭け)してくれるのは大阪だよなっていう思いがありました。

今後は学生募集時だけでなく、学生の在学期間中のデータサイエンスにも着手していきたいんです。
例えば「このタイプの学生は、どの授業をどんな順番で履修すると最大限に成長するか」をAIで予測する。
あるいは入学時から卒業までに、いわゆる“大化け”した学生をプロファイリング(断片的なデータや状況証拠から、対象の全体像、行動特性、または人物像を推測・分析する手法)して、より良い成長機会の創出に役立てる。
そういったサービスで先生方の負担を減らし、学生の中退者も減らし、中小大学の価値向上によりいっそう貢献したいと考えています。


次は在学期間中へのアプローチで、学校教育にREVOLUTION(革命)を起こしたい!   
そう語る隈本氏は、すっかり“ オオサカジン ”の顔になっていた。

「頑張っても報われない大学をなくしたい」 AI活用で学生募集改革に挑む若き教育起業家




株式会社MyREVO
本社:大阪市北区堂山町1-5三共梅田ビル7階 StartupSide Osaka内
オフィシャルサイト:https://my-revo.co.jp/